一昨日クリニックからの紹介で86歳女性が受診した。尿路感染症が抗菌薬を使用しても治らず、血清クレアチニンが3まで上昇したという。受診した患者さんは発熱はないが、食欲低下があった。血清クレアチニンが4になっていた。
数年前から大学病院泌尿器科で何度か膀胱癌の内視鏡治療(とBCG?)を受けていた。直近の治療は昨年で、来月はフォローの外来予約が入っている。CTで確認すると、膀胱壁が肥厚して、両側の尿管と腎盂腎杯が拡張していた。腎後性腎不全が疑われたが、食欲不振で腎前性も疑われたので、尿カテーテルを留置して外来で点滴を2本入れた。
昨日大学病院泌尿器科の予約をとって、受診してもらった。泌尿器科に先生から連絡が来て、ふだんから膀胱尿管逆流があり、両側水腎症・水尿管症になっているそうだ。血清クレアチニンはふだんでも2台で、今回は食欲不振で腎前性の腎不全が加わったものと判断されるという。また尿培養で以前から大腸菌ESBLが検出されていて、発熱がなければ抗菌薬は不要ということだった。点滴2本が効いたのか血清クレアチニンは3になっているそうだ。
大学病院に入院することも勧めたが、家族は当院入院を希望されたので、入院しての点滴継続をお願いできませんか、という。当院入院で経過をみることにして、昨日午後に大学から帰ってきて入院した。
一昨日当院でも尿培養を提出したが、やはり大腸菌ESBLが検出された。尿路系に疾患はあるので、無症候性細菌尿と言い切れないが、発熱などの感染症状がなければ抗菌薬は不要なのだろう。神経因性膀胱による尿閉ではなく自尿はあるので、数日経過をみて尿カテーテルは抜去することにした。