なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

汎血球減少症

2018年05月09日 | Weblog

 昨日山間部の診療所から、心不全として90歳男性が循環器科に紹介されて入院した。ハンプの点滴静注が開始されたが、検査で汎血球減少症があった。白血球数1300(好中球24%)・Hb4.2g/dl(MCV111.0)・血小板数6.8万だった。白血球分画で芽球はなかった。 

 診療所から便秘薬のみが処方されていて、血液検査は行っていなかった。2年前に当院を受診した際の検査結果があり、その前の5年前の検査と比較すると、わずかに貧血・血小板数の減少が起こり始めていたかもしれない。血清鉄は上昇して、血清フェリチンは正常域。血清ビタミンB12と葉酸も提出されているが、MCV111.0だと巨赤芽球性貧血ではなさそうだ。肝硬変はない。

 循環器科の先生に聞いてみると、血液内科への紹介を考えているという。循環器科は赴任して2~3か月で、当地域での医療事情がまだよくわからないので、紹介先を聞かれた。地域の基幹病院には大学病院の血液内科から週1回出張で来ている。外来での骨髄検査は頼めるかもしれないが、入院治療はできない。あとはがんセンターの血液内科だが、ちょっと遠方になる。

 家族にどこまでの精査治療を望むかお話していて、返事待ちだという。90歳で難聴はあるが、明らかな認知症はなく元気なので、紹介してもいいのはということだった。

 骨髄異形成症候群や再生不良性貧血が疑われる。網赤血球数は正常位域で、後者はないか。末梢血に芽球が出ていないだけで急性白血病である可能性も否定できないが。どうしてもここでと言われれば骨髄検査を行うが、レポートはSRLの外注になる。MDSの治療も複雑なので専門医紹介が好ましい。

 

 岩田健太郎先生の「つまずきから学ぶ漢方薬」(中外医学社)を購入。やはり岩田節は面白い。「HEATAPP!」(金原出版)も購入。

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