なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

死亡確認

2018年05月14日 | Weblog

 今日は外来(内科再来)を診て、後は病棟の1週間分の指示出しをしていた。先週食事摂取が低下して受診した94歳女性が、反応がおかしいと救急搬入された。外来で一通り検査して具体的にこうすると良くなるというのがなかった。高齢の娘たちが在宅で介護していて、入院を希望しなかったので、2週間後に予約を入れて、いつでも入院可としていた。

 きちんと検査(内視鏡検査になる)すれば消化管の癌があるのかもしれない。血圧が70mmHg台に低下して、血糖50mg/dlと低血糖だった。入院して点滴で経過をみることにした。そのまま亡くなれば老衰とする。

 

 医学部の学生が実習に来た時に「意識障害の診かた」の話をするが、ついでに「死亡確認」についても話をしようと思った。しようと思ったが、資料がない。法医学の教科書に、脳死に対しての心臓死として、死亡確認についての記載がちょっとある。常識的にこうなっているという形であり、脳死判定のように法的に決まっているわけでもない。また、内科学の本には記載がない。

 医学的・臨床的には、「心・肺・脳のすべての永続的(不可逆的)の機能停止」ということになる。つまり、心拍の停止・呼吸の停止・対光反射の消失で死亡確認している。

 具体的には、1)橈骨動脈・頸動脈の脈拍がないことを確認する、2)ペンライトで対光反射の消失を確認する、3)胸部の聴診で心音および呼吸音の消失を確認する、4)心電図モニターで心拍がない(flat)ことを確認する、になる。

 実際は、1)胸部を聴診する、2)対光反射をみる、3)心電図モニターを確認する、というところか。必要な持ち物としては、1)聴診器、2)ペンライト、3)腕時計になる。携帯電話やPHSで確認するのは失礼な感じになるので避けた方がいいそうだ(家族は携帯で確認しているけど)。

 コツは死亡の徴候を満たしていても、死亡確認を早急に行わないことだ。心電図モニターでflatのはずが、無脈性電気活動(PEA)がちょっと出たり、少しだけ呼気が出たりすることもあるので、「亡くなったと思っても間を空けること」が大事だ。

 研修医の時に、病院長の先生に「亡くなったと思っても5分待ちなさい」と言われたことがある。5分は長すぎるが、聴診の動作などはものすごくゆっくりすることにしている。

 

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