なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

HBs抗体値の増加

2018年05月27日 | Weblog

 ICN(感染管理看護師、正確には感染管理認定看護師CNIC)から針刺し事故(相当の出来事)のことで報告があった。病院の若い看護助手さん(女性)が、2月に認知症の高齢者に噛まれた。患者さんは特に感染症を持っていなかったが、規定通り感染症の検査を行っていた。

 HBVワクチンを受けていたがHBs抗体値は下がってきて、またワクチンをするかどうかという話になっていたそうだ。1か月後のフォローの検査では特に変化はなかった。今月の3か月目のフォローの検査で、HBs抗体値が突然約100倍に上昇していた。これはどういうことでしょうか、という。

 感染症に詳しい先生方に訊いてみることにした。ICTの指導に月1回来てもらっている先生にICNがメールしたところ、「暴露源である患者さんはHBs抗原は陰性になっているが、感染の既往があるかもしれないので、HBs抗体とHBV-DNAを測定してみては」、という返事が来た。

 確かに急性HBV感染はHBs抗原陰性・HBs抗体陽性になっても完全な治癒ではなく、肝臓内にHBVが潜んでいる。ただその場合ウイルス血症にはなっていないのでは?。患者さんは3月に誤嚥性肺炎で死亡しているので、もう確認はできない。1か月目の検査でHBs抗体は前と同じで上がっていなかったので、時期の問題からは違うような気はする。

 呼吸器科外来に来てもらっている先生も大学病院の感染症科所属の先生なので訊いてみた。「性感染症など他の暴露があったのではないか」、という。噛まれた女性は最近結婚したばかりだった。まず配偶者がHBVを持っているかどうか確かめたいが、強制はできない。アドバイスとしても、していいのか。

 

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする