内科の若い先生から聞いた話。90歳女性が右下腹部痛で時間外に受診した。炎症反応が上昇していて、急性虫垂炎・結腸憩室炎疑いでCT検査をすると、右下腹部に嚢胞様の病変が写っている。
診察したのは大学病院からバイトで来ている外科医だった。迷わず?急性胆嚢炎と診断して、内科入院の依頼が来たそうだ。その近傍に膿瘍を疑う部分があり、緊急手術でなくても外科入院にしてもらったという。基本的に急性胆嚢炎は外科入院でいいと思う。
MRIで見ると胆嚢らしい画像が得られた。胆嚢の内腔外に膿瘍様の液体貯留がある。入院後は抗菌薬投与で著しく上昇していた炎症反応も改善はしたものの、開腹での胆嚢摘出術になった。胆嚢の内腔外にある液体貯留は胆嚢壁内に形成された膿瘍だった。胆嚢自体捻転していたそうだ。
遊走胆嚢floating gallbladderは、「胆嚢全体が腹膜で被服されて、腸間膜様間膜で肝下面胆嚢窩に付着して、可動性が異常に大きい胆嚢」。胆嚢捻転症として症状をきたす。
ずっと昔小規模病院にいる時に、90歳女性が右下腹部痛で受診した。腹膜炎の所見があった。CTのない病院だったが、常勤の外科医とバイトに来ていた外科医が、急性虫垂炎穿孔による限局性腹膜炎として局所麻酔で手術をした。実際は胃下垂で右下腹部まで胃が下がっていて、胃癌穿孔による腹膜炎だった。急遽、全身麻酔に切り替えて手術したことを覚えている。手術自体は成功した。