なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞のはずが~肺癌

2017年10月10日 | Weblog

 昨日(体育の日)の日直の時に、83歳女性が左半身不全麻痺で救急外来を受診した。少し足を引きずった感じだが、自分で歩行して診察室に入ってきた。前日に地域の運動会に出て、帰宅した夕方からの症状だった。意識は清明だった。見当識をにみるために月日を尋ねると2日ずれていたが、意識障害ではないだろう。

 頭が重いともいうので、脳出血も疑ったが、頭部CTで出血はなかった。梗塞巣が出現してもおかしくない時間経過だが、指摘できなかった。MRIは機器の調子が悪く、撮影できるまで時間がかかってしまった。拡散強調画像で右基底核に新鮮な梗塞巣を認めた。

 急性期の治療と少しリハビリをするつもりで入院にした。入院時検査として胸部X線も検査すると、予想外の所見があった。右肺上葉に腫瘤様陰影とスリガラス様陰影があった。咳・痰はなく、発熱も受診時にはなかった(入院後微熱はある)。

 胸腹部CTで確認すると、右上葉背側(S2)に腫瘍があり、右肺門リンパ節腫脹もある。気管支は壁外性?に狭窄をきたしているように見える。上葉のスリガラス陰影は閉塞性肺炎なのか。すぐには紹介もできないので、そのまま入院にした。

 今日、地域の基幹病院呼吸器科の先生に電話で相談した。治療はできないんじゃないのと言われた。確かに手術適応はなく、抗癌剤治療も難しそうだ。脳梗塞の急性期治療が終わったら外来に紹介して、ということだった。家族に治療適応はないので、緩和ケアのみという話がされることになりそうだ。

 脳梗塞の治療と、肺炎の抗菌薬治療を1週間行うことにした(入院日から開始)。食事摂取は幸い良好だった。家族に経緯を説明して、今週末に退院して来週呼吸器科を受診することを提案した。できるだけ自宅で過ごして、症状が出た時の当院再入院はいつでもできますと伝えた。

 まずは肺癌の確定診断だが、何しろ痰が出ない。腫瘍マーカーは次回の血液検査の時に提出することにした。

コメント (1)
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