なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原発性脳腫瘍(膠芽腫)

2017年10月21日 | Weblog

 木曜日に大学病院脳外科から、原発性脳腫瘍の65歳男性が転院してきた。左側頭葉膠芽腫だった。

 2週間前に整形外科の若い先生から、友達の父親のことでと、この患者さんの転院の相談があった。大学病院脳外科に入院しているが、緩和ケアのみとなり、大学での治療はないので退院するようにと言われたそうだ。脊髄播種のために対麻痺(両下肢麻痺)になっていて、家庭でみるのは大変ということで、転院先を探したらしい。予後2~3か月と言われていた。

 自宅から近い個人病院2か所から断られて(脳腫瘍はさすがに診たくないのだろう)、がんセンターのホスピスは空き待ち数か月だった。当院のベットは空いていて、病床稼働率をいかに上げるかが問題になる病院なので、希望があれば入院できる。緩和ケアの専門医はいないので、お看取りの終末期医療で家族が良ければだが。

 2年前に側頭葉の皮質下出血で発症した。血腫除去術が施行されて、組織検査をしたが腫瘍は指摘されなかった。経過をみているうちに、1年経過して同部に腫瘍が出現した。膠芽腫として開頭腫瘍摘出術が行われて、組織学的に確定診断された。その後の再発に対して放射線療法・化学療法、さらに分子標的薬が投与されたが、効果はなく、緩和ケアのみの方針になっていた。

 感覚性失語があり会話しにくい。嚥下障害が進行してきていて、転院時はほとんど経口摂取ができず、点滴を開始した。1~2か月というところだが、脳幹部周囲に進行しているので急変もありうる。けいれん重積でバタバタした最期にならないといいが。

 この方のお子さんは娘さんだけで、整形外科の先生はその長女の娘婿と友人(義理の父になる)なのだった。居住地から当院は遠いが(2つの市と3つの町を経由)、患者さんの弟が当市に住んでいて馴染みはあるそうだ。奥さんは病気に関してはすっかりあきらめている様子だった。

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