なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

誤嚥性肺炎・低血糖

2017年10月09日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。3つ隣の町の救急隊から、前頭側頭型認知症で施設に入所している93歳男性の受け入れ要請がきた。一番近い地域の基幹病院に連絡して、点滴と50%グルコース静注の指示だけもらったが、他の重症患者受け入れがあるのでと搬入は断られたそうだ。当院で受けることにした。

 精神科病院から結構大量に精神薬が処方された。効き過ぎでふらふらになって、かなり減薬されたそうだ。糖尿病で通院している内科医院からグリメピリド3mgが処方されていたが、低血糖が頻発して1mgに減薬していた。処方はこれだけなので、DPP4阻害薬への変更が望ましいのだろう。HbA1cが6.3%で、高齢者の血糖コントロール下限値(この患者さんでは7.0%)を下回っていた。

 搬入時も昏睡状態が続いていた。施設到着時の血糖Lowは、50%グルコース静注で80mg/dlになっていて、低血糖ではなかった。点滴を10%グルコースに切り替えて、さらに50%グルコースを静注した。血糖が180mg/dlになったが、やはり昏睡だった。救急隊が施設に到着した時に、酸素飽和度が80%で酸素吸入が開始されていた。搬入時は94%だった。

 酸素と血糖を正常域にしても昏睡状態だった。他に原因を探したが、電解質は高ナトリウム(150)・高カリウム(6.0)だが、臨床的に問題にならないだろう。BUN・血清クレアチニンの上昇していたが、ふだんの値がわからない。2~3日体調が悪かったというので、腎前性腎不全になったのかもしれない。SU薬は危険だった。

 頭部CTでは、脳萎縮はあるが、頭蓋内出血はない。朝からの発症なので、脳梗塞があればCTでも出ると思われるが、それらしい所見はなかった。胸部X線・CTで両側肺野に誤嚥性肺炎と判断される浸潤影が多数あった。

 昨夜から?の低酸素・低血糖で脳症を起こしているのだろうか。高齢者だと、治療に対する反応が遅れるので、明日になれば回復する可能性があるのか。酸素と血糖を正常域で維持して経過をみるしかない。病状が安定していれば、頭部MRIで確認してみたい。

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