なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

RSウイルス感染症

2017年10月04日 | Weblog

 先週の土曜日に内科クリニックから高熱で紹介された86歳女性は、入院後も高熱が続いていた。

 6月に尿路感染症(旧姓腎盂腎炎)で入院したが、紹介前日からクリニックで抗菌薬投与(ファーストシン+クラビット)されてからということもあるが、尿所見は異常なしだった。尿培養は陰性。胸部X線でははっきりしないが、胸部CTでは両側肺、特に右肺に淡い陰影があり、ごく軽度に胸水もあった。今回は気道感染(急性肺炎)?として入院した。

 抗菌薬投与後も高熱が続き、抗菌薬が効いていないのか、そもそも診断が違うのかと思いながら経過をみていた。受診時に右下腹部痛を訴えていたが、画像では腸管に異常はない。肝臓内に多発性嚢胞があり、そこに感染を併発した可能性も考えた。胆嚢炎とは言い難い。 肝機能は正常域だし。

 咳・痰はほとんどなく肺炎といいきれなかった。そのため抗菌薬はセフトリアキソンではなく、ゾシンを使用していた。白血球増加・CRPは2日ごとに検査したが、横ばいだった。CRPは20台で高い。

 今日は入院5日目で、肺病変の悪化の有無と腹部疾患の有無を見るために。胸腹部造影CT検査を予定していた。外来(内科再来)をみていると、病棟から連絡が来て、喘鳴が聴取されるという。また家族から、9月半ばから家族複数がRSウイルス感染にかかっているという話があったそうだ。胸腹部CTは単純のみに変更したが、入院時と特に変わりなかった。

 RSウイルス迅速試験を提出すると、陽性だった。胸部CTでの病変はRSウイルスによる細気管支炎(若干の胸水もあり細菌感染併発?)を表現しているようだ。

 喘鳴(細気管支炎)に対して、ステロイド(デカドロン)を使用するが、抗菌薬も併用しなければならない。ここはやむなくカルバペネムにした。それにしても高熱が先行して(すくなくとも6日間)、その後に喘鳴が出現するというのは、RSウイルスの経過としてどうなのか。

 高熱は別の問題で、たとえばやはり尿路感染があって、それは抗菌薬投与で軽快したが、入院後に見舞いに来た家族がRSウイルスをうつしたので高熱が続いた?。それはさすがに考え過ぎか。

 本当は抗菌薬なしで経過をみたいが、こうなるとそれは難しい。抗菌薬の使用が迷走したかもしれない。もし受診時に発熱・咳・痰・喘鳴があって、家族がRSウイルス感染にかかっているという話があれば、RSウイルスの検査をして、ステロイドと抗菌薬(セフトリアキソンを選択するだろう)で経過をみたと思うが。

コメント
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