なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高齢者のRSウイルス細気管支炎、肺気腫・肺炎

2017年10月14日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。85歳女性が咳がひどいという訴えで救急外来を受診した。6日前に鼻汁・咳・咽頭痛の風邪症状があり、その後は咳だけが残って、しだいにひどくなったそうだ。微熱はあるが、食欲は普通だった。

 当院の神経内科外来に脳梗塞後遺症で通院している。心房細動があり、抗凝固薬(エリキュース)を内服している。以前の(2年前)胸部X線で心拡大がある。昨日は内科クリニックを受診して、心臓喘息ではと言われたそうだ。両下腿に軽度の浮腫がある。

 胸部聴診上は左下肺野にcoarse cracklesが聴取された。肺炎かと思って胸部X線をみたが、はっきりしない。胸部単純CTでは淡い粒状影~線状影が散在しているように見える。白血球数は正常域でCRP0.8mg/dlとわずかな変化だった。心嚢液が少し目立つ。軽度から中等度で、急性心膜炎も考えたが、心電図で明らかなST変化はなく、心筋酵素の上昇もなかった。肺うっ血・肺水腫~胸水貯留はなかった。

 そういえば、ひ孫からRSウイルス感染がうつった別の86歳女性が、2週間経過してまだ入院している。息子夫婦と孫(1歳3か月)も一緒に来ていた。訊くと、この孫が2週間前にRSウイルスに罹って小児科外来を受診していた(入院はしていない)。RSウイルス迅速試験を提出すると陽性で、RSウイルス細気管支炎だった。(同時に1本でいっしょに検査できるインフルエンザも出してしまったが陰性)

 ご本人は入院を嫌がっていたが、夜間けっこうな咳で苦しんでいるらしく、家族の説得で入院になった。治療は細菌の二次感染予防に抗菌薬(セフトリアキソン)とステロイド(デカドロン)で開始した。

 

 68歳男性が職場のタクシー会社の人に付き添われて、1週間前からの食欲不振で受診した。以前アルコール性慢性膵炎の急性増悪で4回入院しているが、今回は腹部症状はなかった。念のため検査したが、肝機能・血清アミラーゼは正常域だった。最近はあまり飲んでいないというが、食欲がないので飲酒してきていた(発熱はないが、顔が赤い)。

 以前の胸部X線で明らかな肺気腫がある。タバコはやめたと言っていたが、今回食欲がなくなってからだった。咳・痰はふだんと比べてそれほど増加していない。高血圧症で通院している内科医院を受診して、咳と息切を訴えたのでLAMAが処方された。息切れは改善したそうだ。

 白血球数とCRPは軽度に上昇していた。胸腹部CTをみると。肺気腫の中にスリガラス様陰影が数か所にある。COPDに肺炎を併発したようだ。一人暮らしなので、入院を勧めところ素直に承諾した。前に腹痛で入院して1日で退院していったことがあるが、今回はちゃんと入院しているだろう。

 

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