先々週にクリニックからの紹介で72歳女性が内科外来を受診した。ご指名での受診だった。春ごろから食欲不振・体重減少(10Kg)・倦怠感があった。「腹部がぐぐーっとなる」、頭が重いなどもあった。
症状が出始めた時から、クリニックの画像検査依頼がきていて、胸腹部造影CT、頭部MRI、それに何とシンチまで行われていた。クリニックで上部消化管内視鏡検査も受けている。これといった異常はなかったようだ。既往歴としては、40歳代で乳癌手術、15年前の十二指腸乳頭部癌手術(膵頭十二指腸切除術)がある。
これまでの検査で異常のないことを知っているというバイアスもあるが、心因性の印象をもつような方だった。当院でも腫瘍マーカーを含めて血液検査を行って(異常なし。鉄は潜在的低下。)、消化管の検査を行っていった。上部消化管内視鏡では残遺炎のみだった。下部消化管内視鏡検査は異常なし。
今日は外来で結果説明だった。どうも身体的には異常がないようで、気持ちの問題のようですが、とお話した。すると、自宅の前の家に住んでいた80歳代の女性が急に亡くなったことがショックだったという話が出た。毎日のように行き来していたらしい。それを話していると、涙ぐんでしまう。
睡眠障害はないような話だったが(実態はわからない)、朝は体調が悪く、夕方には少し気分が良くなるような変動はあるらしい。親しい隣人が亡くなったことがきっかけになったかもしれないが、症状が長すぎるようだ。
よかったら気持ちを楽にする薬を飲んでみませんか、というと同意された。ジェイゾロフト25mgで開始して、2週間後に予約した。鉄剤も少な目に補うことにした。
「魁!!診断塾」を読み終わった。塾生心得九カ条のうち、第七条「1つの疾患が浮かんだら、最低3つは追加で挙げよ!」は確かにその通りだ。これにより、診断の早期閉鎖を防止することができる。志水先生の「診断戦略」は購入していなかったので、すでに出版されて3年経過して第2版が出るかもしれないが、購入しよう。東京GIMや大船GIMに参加するのは難しい。東北GIMがあれば参加するけど。