なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

タケキャブ(ボノプラザン)Web講演会

2016年01月26日 | Weblog

 今日のお昼にWeb講演会(お弁当付き)があった。武田製薬のタケキャブ(ボノプラザン)で、3月1月から長期処方ができるのに合わせての講演会だった。PPIは酸性環境下で不安定なため、壁細胞の分泌細管内に長く留まれず、血中濃度が低下するとプロトンポンプを阻害できなくなる。一方タケキャブは酸性環境下で安定なため、分泌細管内に高濃度で集積して長時間残存してプロトンポンプを阻害し続ける。

 PPI抵抗性の逆流性食道炎では、PPIを倍量にする(パリエットのみ)、PPI内服を夕~就寝前にする、就寝前にH2ブロッカーを追加する、消化管運動薬など他の薬剤を追加する、などで対応していた。今後は、PPIをタケキャブに変更で対応して下さい、重症例では最初からタケキャブを投与して下さいという講演だった。

 長期投与できるまでは、よほど使いたい患者さん以外は長期投与解禁を待つことにしている。タケキャブはピロリ菌除菌療法でだけ使用していた。他のPPIの成功率70%に対して、タケキャブを使って除菌すると90%以上成功するそうだ。実際、処方数が少ないが、タケキャブを入れた除菌では、全例除菌に成功している。

 消化器科医に、GERDや消化性潰瘍は全例タケキャブになるかと訊くと、PPIで治療できていれば当然変更はしないし、PPI抵抗性はそんなに多くないしという、もっともな話だった。ただ、タケキャブは効果の立ち上げりが速く、投与数時間で効くので(PPIは何と数日かかる)、入院ではまずタケキャブを使用することになりそうだ。来月、島根大学の木下芳一先生のタケキャブ講演会があるので、都合がつけば行ってみたい。

 内科の若い先生のひとりが家庭の事情で辞めるので、内科再来で診ていた患者さんを振り分けている。今日も不在だったので、代わりに診ていた。糖尿病薬の使い方が違ったり、朝より夕の内服が多いなど、個性が出るなあと思った。1年前にCOPDの増悪で死にかけた65歳男性(高炭酸ガス血症)がまだ喫煙していた。同じく65歳男性は緩徐進行型1型糖尿病でインスリン量が1日60単位くらい使っていた(血糖コントロール不良)。いかにも心気症という52歳男性もいた。今日はまだ数が少ないので、これまでの経過を見ながらいろいろいるなあと思ってゆっくり診察していた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする