なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

緩和ケア講習会2日目、イーケプラ静注薬

2016年01月24日 | Weblog

 今日は県の緩和ケア講習会2日目。午前は消化器症状・呼吸器症状・倦怠感の治療の後に、八千代病院精神科の三浦信義先生がせん妄などの精神症状の話をされた。精神科以外の医師にわかりやすい話で、こんなすばらしい講義があるとは思っていなかったので驚いた。

 せん妄は身体疾患の(単なる)一症状で、心因性の病態ではない。軽度の意識混濁(脳機能低下)を反映して、さまざまな症状(見当識機・幻覚・妄想・焦燥・興奮・傾眠覚醒リズム障害)が起こる。種々の身体疾患・薬剤などによる急性脳機能不全。

 基本的に身体疾患によるので、一般的に精神科医は興味がないそうだ。前の病院の上司は、他科からの依頼に、「身体疾患を治してください」とのみ返事したので、講師の先生が「慌てて尻拭いに行きました」と言っていた。

 入院している高齢者では、10~40%で起きる。もっと少ないという印象があれば、それは見逃しているだけという。講師オリジナルの意識混濁(脳機能障害)と精神症状の図が分かりやすかった。脳機能が10%程度低下するとうつ病類似の自発性低下・反応速度の低下に、20~30%低下すると認知症類似の健忘症状・話がちぐはくに、40%低下でせん妄の幻覚・妄想が起こる。50%低下すると昏睡になり、70%低下すると麻酔にかかっているのと同じ状態になる。

 驚くほどのわかりやすい話だったので、ぜひ病院に講演に来てほしいと思った。講習会終了後に、講演にお呼びしたら来ていただけるか確認したが、OKとのこと。三浦先生の講演を聴けたのが、一番の収穫だった。

 午後は、悪い知らせを伝えるロールプレイがあった。stageⅣの進行癌で手術不能のため、抗癌剤の治療を開始するという設定。治癒するかという問いには、根治はない(進行を遅らせる、腫瘍を縮小させるのみ)と答えなければならない。

 金曜日に小児科医から、てんかん重積発作にイーケプラの点滴静注を使用したという話を聞いた。小児期からのてんかんで、別の小児科医(神経専門)が20歳代の今もそのまま小児科で診ている患者さんだった。なかなか発作が治まらず、年齢的には成人なので神経内科医に相談したところ、イーケプラの静注薬を入れたので使用を勧められたそうだ。イーケプラだけの効果でもないのだろうが、発作はうまく治まった。

 「ねころんで読めるてんかん診療」には、「海外では、てんかん重積への治療にレベチラセタム(イーケプラ)が使われます。静注薬は近いうちに日本でも使用可能になる予定です。」とあるが、昨年11月に販売されていた。

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