なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

浴槽に沈む人

2016年01月11日 | Weblog

 昨日の日直の時に、市内の銭湯(食事もできるいわゆるスーパー銭湯)の浴槽に沈んだ80歳代半ばの男性が救急搬入された。浴槽にいたお客さんがすぐに引き上げてくれたので、浴槽内に入ったのは10秒くらいか。救急隊が到着した時に意識は朦朧として、酸素飽和度も少し下がっていた。酸素吸入をして搬入されたが、搬入時には意識清明で、バイタルは異常なかった。

 脳血管障害や心疾患が発症した可能性もあるので、一通り検査したが、異常はなかった。もっとも浴槽内のお湯を誤嚥した可能性はあるので、胸部X線でまだ異常は指摘できないが、経過をみないと正確には分からない。

 この方はこれまでも、この銭湯に来ていたが、銭湯に入るにしては遠方から来ていた。それも一人で。当市まで4つの市町を通って来なければならない。温泉ならともかく、わざわざ来るのは不思議だった。何かの機会に来て、気に行ったらしいが、ちょっとおかしい。以前は自分で車を運転して来ていたが、家族から運転をやめるように説得されていた。何とタクシーで来ている。往復で1万5千円かかるそうだ。

 難聴があり、耳元で大きな声で話をする必要があった。頭部CTでは側頭葉の萎縮が目立ち、脳室が拡張していた。症状の有無を訊く分には問題なく会話ができたが、認知力の障害があるのだろう。自宅近くの同じような施設を探すことができず、以前から知っている遠方の施設に来続けているのだろう。後で息子さんが病院に来たが、銭湯行くのをやめるように言ってもきかないと嘆いていた。近くの同様の施設にするよう勧めたがだめだそうだ。

 このスーパー銭湯で入浴中に浴槽内に沈んで、当院に救急搬入された人が以前にもいた。この銭湯のお客さんでは死亡した方はいないと思う(たぶん)。当院近くの以前保険施設で今は宿泊のできる温泉付き宿では、入浴中に浴槽に沈んでそのまま死亡された方がいた。また当院の隣町の温泉街には数軒のホテルがある。深夜などに一人で入浴して、浴槽内に沈んでいるのを発見されることが時々ある。助かった方もいるが、死亡した方もいた。

 今日は休みで自宅にいた。ギターデュオのゴンチチのコンサートが夕方からあり、行ってきた。CDを持っているが、演奏を聴くのは初めてだった。

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