なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

古典的な心不全治療

2016年01月17日 | Weblog

 先々週の土曜日に心不全+肺炎で入院した90歳女性は、利尿薬(ラシックス+ソルダクトン)静注と抗菌薬(チエナム)で順調に回復した。まだ両側胸水は貯留していたが、浸潤影はかなり軽減していた。心電図ではV1-3で異常Q波があり、R波の増高があった。心筋原性酵素の上昇は再検してもなかった。、心エコーでみるもらうと、左室の前壁中隔の動きが悪く、EFは27%。前壁中隔の壁厚がすでに薄くなっていて、陳旧性心筋梗塞と判断された。少なくとも半年以上は経過しているということだった。心室性期外収縮が散発しているが、有意な不整脈はない。

 高血圧症で通院していたが、入院後も血圧はむしろ高めで経過した。内科医院で降圧薬としてCa拮抗薬が処方されていたが、これをACE阻害薬のレにベースに変更した。これで十分血圧が低下して、βブロッカーの処方は見合わせた。利尿薬を静注から内服(ダイアート+アルダクトンA)に変更した。下痢が見られたこともあり、抗菌薬は1週間で中止した。今時としては古典的な治療のみで軽快したことになる。

 入院日とその翌日は不穏状態だったが、酸素飽和度が安定すると、大人しく横臥していた。難聴で大きな声で話てもなかなか通じないが、内容的には普通に会話ができた。

 金曜日に心エコーを診てくれた循環器科医と話をしたが、利尿薬(特に注射薬)は未だにラシックスで、これを越えるものがない。ラシックスを使用しない治療はないので、いまさらラシックスEBMのできないだろうと言っていた。アルダクトンAはエビデンスもあり、期待されたセララは利尿作用はなく、降圧薬としても100mgで使用してもあまり下がらない。特有の副作用はあるもののアルダクトンAも今後残っていくという。ありがたい薬だ。

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