Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎 昼の部』 1等1階前方花道寄り

2014年11月15日 | 歌舞伎
歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎 昼の部』 1等1階前方花道寄り

二日目に観たときより『井伊大老』も『熊谷陣屋』もアンサンブルが密になってて見応えあった。両親も満足してた。『井伊大老』のせいで彦根城にまた行きたくなったみたい。彦根は私もまた行きたい。


『寿式三番叟』
染五郎さん、空間目一杯大きく鋭く踊る。形を決めたとこで溜めてキレよくパンといく緩急は歌舞伎的といえば歌舞伎的。お囃子の音のど真ん中で踊ってた。流れるようにというのを求めたら破調には違いないけど、観客の気持ちをあげていく。

反対に松緑くんはゆるりと三番叟の格を意識した丁寧な踊りぶり。

文楽の『寿式三番叟』を観たことがありますが文楽の二人の三番叟の頭は白塗りと砥塗りで踊り方と性格が正反対。白塗りは端正でちゃっかり、砥塗りはダイナミックで正直。イメージ的に染五郎さんが白塗り、松緑が砥塗りぽくなるかなだったんだけど実際は反対だった(笑)

『井伊大老』
下屋敷の場がやはり見応えがある。

吉右衛門さんの井伊大老、感情豊かになってますます人物像にふくらみが出て説得力がますます。

お静の方はどうしても雀右衛門さんのが好きすぎてつい比べちゃう。芝雀さんのはひたすら健気系。夫婦間の絆が感じられて好きだけどもう少し可愛い色気が欲しいところ。

『熊谷陣屋』
幸四郎さんが調子を戻したようで細やかな感情がよく伝わり舞台が濃くなっていました。そこに菊五郎さんの義経が入るから大舞台。魁春さんの相模はまたよくて。最近、魁春さん本当に良い。それと左團次さんの弥陀六が手強くたっぷり。前はもっとさらっとした手触りだったと思う。高麗蔵さんの藤の方もよかった。この役、前はあまりなじまなかったように思うけど何度か手掛けて役に馴染んできたのかも。松緑くんの軍次は前から好きなんだけど今回も軍次の立場を明快に演じてて良かったです。