Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

すみだトリフォニーホール『グローバル・フィル第34回定期演奏会』2F真ん中

2005年02月06日 | 音楽
指揮者/黒岩英臣

全体的な印象としてグローバル・フィルとしては随分と冒険的な音の出し方をしていたんじゃないかしらと思いました。今まで何度か聴かせていただいた限り、ここのオケのイメージは「明るく軽やかに広がる音を出す端正でまとまりのあるオーケストラ」でした。ところが今回、指揮者に黒岩英臣氏を迎え、だいぶいつもとは違うものを要求されたようです。いつもチケットを購入させていただく知り合いの団員の方に「今回かなり激しい音を求められてるんだよ。こんなに体が疲れる練習は学生の時以来かも。いつもと全然違う演奏だから笑っちゃうかもよ」と事前に情報をいただいてたにも関わらず、想像以上にほんとに音色が違うので驚きました(笑)

C.M.v. ウェーバー 「歌劇「オベロン」序曲」
歌劇らしいドラマ性のある曲で弦楽器と管楽器の掛け合いなど面白く、また後半にいくにつれテンポも勢いを増し聞き応えのある曲。この楽曲のせいもあると思うが弦の鳴らし方がいつもの広がりのあるものと違い、うねるように激しく鳴らしていた。音としてはとても面白かったのだけど、グローバル・フィルの「まとまりのある音」という部分がうまく出てきてなかったように思う。大抵、オーケストラの第一曲目というのはなかなか音が乗ってことないことが多いので、そういう面もあっただろうけど、全体のバランスがちょっと悪かったように思う。音の面白さがあっただけにちょっと残念。

J. ハイドン 「交響曲第99番」
はじめて聴く楽曲でしたがとてもきれいで叙情的な曲でした。一曲目より全体的な音のまとまりが出ていてなかなか気持ちのいい演奏だったと思います。やはりここでも音の強弱をしっかり聴かせるような音の作り方でしたね。しかし、その分ちょっと個々の音のバラツキが少し気になりました。特に管楽器の音のまとまり具合がもうひとつ。欲を言わせていただければ、この曲はいつものもう少し軽やかな感じの端正な演奏で聴きたかったかなと。

P.I. チャイコフスキー 「交響曲第5番」
チャイコフスキーの楽曲は旋律がとてもきれいでかつドラマチック。ストーリー性があり、これぞオーケストラ楽曲といった盛り上がりのある曲で聞きやすい。にしても、いやはや、黒岩氏&グローバル・フィルは大熱演でした。まさしく体全体を使って、時には叩きつけるように、時に跳ね上がるように音を鳴らし音がホール全体に響いていた感じでした。情熱的な演奏とはこういうことを言うのでしょう。細かい部分でいえば管の音がたまに割れてたり、全体的に勢いがよすぎる?と思う部分もなくはなかったのですが、そんなことより演奏している皆さんの熱意がこちらに伝わってきて、聞いてとても楽しく満足いたしました。この曲に関してはうまく指揮者とオーケストラがかみ合っていたなあと思います。

アンコール曲:グリーグ「2つの悲しき旋律」より「過ぎし春」
チャイコフスキーでの激しい熱さを和らげるために選んだのかもしれないですね。とても静かできれいな音での演奏で余韻があってよかったです。