読書日和

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CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019

2021-02-21 20:54:25 | コンサート、演奏会


(左から木村紗綾さん、重野文歌さん、向井真帆さん。)

2019年12月25日、広島県廿日市(はつかいち)市の「ウッドワンさくらぴあ 小ホール」で行われた「CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019 星空に輝く若手音楽家による平和の響き」を聴きに行きました。
このコンサートには何度も演奏を聴いたことのあるヴァイオリン演奏者の木村紗綾さん、さらに「一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert」で演奏を聴いたチェロ演奏者の向井真帆さんが出演されるので興味を持ちました。
コンサートは全部で5曲あり、前半3曲は木村紗綾さん、向井真帆さん、さらにピアノ演奏者の重野文歌さんの3名が演奏し、後半2曲は弦楽アンサンブル(弦楽器による編成)「ヒロシマ・ピース・オーケストラ・ストリングス」が演奏しました。
かなり盛り上がったコンサートで、2019年に聴いた最後のコンサートでもあります



1. ヴァイオリンソナタ第21番K.304:W.A.モーツァルト



(左から木村紗綾さん、重野文歌さん。この2人で演奏しました。)

木村紗綾さんは1曲目演奏後のトークで喋るのが得意ではないので頑張ると言っていました。
今日出演するのは総勢12人とのことでした。
また重野文歌さんとは1年前に初共演したとのことで、その縁で今回もご一緒したようでした。

一楽章
物悲しそうな始まりで寂しそうでした。
タッタッタッタ!とヴァイオリンとピアノが力強くなる場面があり、そこが良かったです。
良いアクセントになっていて、ピアノもかなり上手いと思いました。


二楽章
ピアノのソロ演奏で始まり、高音で物悲しかったです。
ヴァイオリンも始まり、こちらも高音で悲しそうに聴こえました。
安らぐ雰囲気のピアノソロがあり、そこに同じく安らぐ雰囲気のヴァイオリンが入りました。
両方が合わさって悲しげですが安らぐ音色になっていました。
激しさが現れる場面もあり、同じ悲しさにも濃淡が表されていました。




(重野文歌さんトーク中。)

今日はよろしくお願いしますの後、2曲目の紹介がありました。
重野文歌さんの演奏を聴くのはこの日が初めてだったのでどんな演奏をされるのか興味深かったです。



2. 無言歌集 第6巻 作品67より 第1曲、第2曲:F.メンデルスゾーン

第1曲
凄く安らぐ音色で始まりました。
そのまま穏やかな安らぐ音色が続いて行きました。

第2曲
第1曲が終わって一度途切れてから、スピードを上げて演奏が始まりました。
こちらは華麗な音色でロマンチックな雰囲気を感じました。
メンデルスゾーンは曲が優しげであったりロマンチックという話を聞きますが、2曲とも短い曲の中にらしさを感じました。



3. ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 作品32:A.アレンスキー



(左から木村紗綾さん、重野文歌さん、向井真帆さん。ピアノ三重奏曲はピアノ、ヴァイオリン、チェロの編成で演奏されます。)




(演奏の様子。)

一楽章
悲しげな始まりで、どこか気高さもある音色の主題(クラシック音楽で、何度か演奏されるその楽章の軸になる音色)でした。
3人で凄く力強い演奏をする場面がありました。

再び冒頭の主題になります。
最初にピアノとヴァイオリンで演奏し、そこにチェロも入り、3人で凄く力強く演奏していました。
この楽章は主題の演奏が何度も繰り返されるのがとても印象的でした。
最後の方では、まずチェロが低音で主題を演奏し、次にヴァイオリンがチェロよりは高い低音で主題を演奏し、最後にピアノが高音で主題を演奏する3連続の場面があり、かなり良かったです

ピアノが物凄く良い場面があったのも印象的でした。
凄く速く、強く弾き、それでいて凄く滑らかでした。 
速く強く弾くのと滑らかに弾くのを兼ね備えた弾き方をするのは難しいと思います。


二楽章
弾むように始まり、ピアノの弾み方が凄く良かったです。
柔らかな弾力があるなと思いました。
3人の連携が良く、ピアノが弾む中でヴァイオリンとチェロは短く切るような演奏をしていました。
同じ演奏を何度か連続した場面があり、ピアノを中心にヴァイオリンとチェロが支えていて凄く良い音色でした


三楽章
チェロとピアノで悲しそうに始まります。
チェロが中心で、そこにヴァイオリンも入って行き3人で悲しそうな演奏をしました。

ピアノの音色が軽やかになります。
ヴァイオリンが凄く高音で演奏し、こちらも悲しそうではなくなりました。
そこからヴァイオリンが悲しそうな演奏になり、ピアノが掛け合うような演奏をし、チェロはピッチカート(弦を指でポロンポロンと弾く演奏)で支えていました。
最後は静かに終わりました。


四楽章
3人での激しい演奏で始まります。
ピアノをヴァイオリンとチェロで支え、凄く力強い演奏でした。
チェロとピアノ、ヴァイオリンとピアノでそれぞれ同じ演奏をした場面があり、もの悲しさがありながらも軽やかさも感じる音色がかなり良かったです。
どんどん高音になりながら盛り上がって行き、これもかなり良かったです。
ピアノが軽やかに演奏しているところにチェロがゆったり軽やかに入り、さらにヴァイオリンもゆったり軽やかに入って行く場面があり、一つずつ音が重なって行く雰囲気が良かったです。
最後は3人で静かに終わり、「余韻」の良い終わり方でした




(演奏終了時。颯爽とした、とても爽やかな雰囲気になったのが良かったです。コンサートの象徴的な場面だったように思います



4. 『和声と創意の試み』作品8より 協奏曲第4番「冬」:A.ヴィヴァルディ



(4曲目から弦楽アンサンブルが登場。木村紗綾さんと向井真帆さんは衣装が変わりました。)





(木村紗綾さんがソロヴァイオリンを務めます。)




(弦楽ストリングス全景。)

緊迫した不穏な雰囲気の音色で始まります。
そこからソロヴァイオリンが凄く緊迫した演奏をしました。
やがてどこかで聴いたことのあるリズミカルでドラマチックさを感じる音色になります。
ヴィヴァルディの「四季(『和声と創意の試み』に入っている「春」「夏」「秋」「冬」の4曲の総称」は、「春」が学校の卒業式で誰しも一度は耳にしそうな有名曲ですが、「夏」「秋」「冬」もそれぞれに良さがあります。

弦楽アンサンブル全体が支える中で、ソロヴァイオリンが高音で穏やかな演奏をしました。
ソロヴァイオリンが緊迫した演奏をして、チェロの向井真帆さんが支えている場面もありました。
全体での低音の小刻み演奏の場面には凄みを感じました。



(4曲目終了後にトークをする木村紗綾さんと岡田倫弥さん。)

最初に木村紗綾さんがトークをし、2人は同い年で3年前の「威風堂々クラシック in Hiroshima」で出会ったとのことです。
その時岡田倫弥さんはオーボエを吹いていて、数年後にまた出会った時に指揮者をやっていて驚いたと言っていました。
その後オーケストラを作るからソリスト(ソロ演奏者)をやってくれないかと木村紗綾さんの滞在するチェコのプラハにメールを送って来られたとのことです。

次に岡田倫弥さんがトークをし、広島には音楽大学もありますが色々な演奏者が集まる場がないのが気になっていたとのことです。
そこでオーケストラを作ろうと思い立ったとのことで、本当に作る行動力が素晴らしいなと思います。
また、私達は「盛り盛りプログラム」が大好きとのことで、このコンサートも演奏時間の長い曲が3曲目と5曲目に置かれていて、体力が切れないようにするのが大変だと思います。



5. 弦楽セレナード ハ長調 作品48:P.チャイコフスキー



(5曲目演奏前。オーケストラ全景。)

一楽章
テレビのCMなどで誰でも一度は耳にしていそうな悲しそうで神聖な雰囲気の有名メロディで始まります。
チェロの「ドレミファソラシド」の1音ずつ上げる演奏の後、また全体が冒頭の音色になります。
今度はソロヴァイオリンの「ドレミファソラシド」の後、全体が冒頭の音色になります。
有名メロディが繰り返されるうちに、曲の音色に引き込まれて行きました。

派手で力強い演奏の後、小刻みで華やかな演奏になります。
ヴァイオリン、チェロの順で、同じ音色の演奏を掛け合っていました。
全体が凄く力強くなり、その力強さが続いて行きました。
再び冒頭の音色になり、チェロの「ドレミファソラシド」の後、全体でやや悲しげな演奏をしました。


二楽章
全体での明るい演奏で始まりました。
ヴァイオリンが凄く高音の演奏をして華やかでした。
そこからまたヴァイオリンが凄く華やかな演奏をして、ヴィオラ、チェロ、コントラバスが支えていました。
最後は全体がピッチカートになって終わりました。


三楽章
穏やかで伸びやかな演奏で始まり、少し悲しさも感じました。
チェロの力強く悲しげな音色がかなり目立ちました。
そこにヴァイオリンも加わり、力強いのに悲しそうな音色が印象的でした。

ヴァイオリンが凄く高音で、力強く悲しそうな演奏をします。
そこから静かで穏やかな演奏になり、音の伸びが良かったです。

スピードが上がって力強い演奏になります。
ヴァイオリンが「ドレミファソラシド」を何度も繰り返す場面がありました。
そして満を持して第一楽章冒頭の音色が再び登場します。
さらにソロヴァイオリンの「ドレミファソラシド」からもう一度第一楽章冒頭の音色になり、最後は凄く盛り上がりました




(5曲目終了時。オーケストラ全景。)



時期が12月25日のクリスマスで、ホールにもどことなく教会のような雰囲気があり、神聖さを感じるコンサートでした。
特に最後の「弦楽セレナーデ」は音色にもかなりの神聖さがあり、心が清められるようでした。
今振り返ってみるとプログラム構成も神がかっていて、2019年に聴いた最後のコンサートがこのコンサートで良かったなという思いになります。
またこの方々によるコンサートが開催されたらぜひ聴きに行きたいと思います



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プロフィール 2019年12月時点

ヴァイオリン 木村紗綾

広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。15歳で渡欧。プラハ音楽院に首席入学。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第38回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍中はプラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭等に出演。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務める。
2011年度中村音楽奨学金奨学生。
2016年からは世界的指揮者、大植英次氏と威風堂々クラシック in Hiroshima、チャリティーコンサート等でソリスト、コンサートミストレスとして多数共演。
これまでに村上直子氏、石川静氏、中村英昭氏に師事、現在プラハ音楽院にてイージー・フィッシャー氏に師事する傍ら、チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者としても国内外で活動中。



ピアノ 重野文歌

呉市に生まれる。
5歳より母親の手ほどきでピアノを始め、2004年秋にヒロシマ・スカラシップ中村奨学生として英国のユーディ・メニューイン音楽院に編入。
2009年にベルリン芸術大学に入学する。
ディプロマを取得した後、2017年にドイツ国家演奏家資格を取得し卒業。
2013年アルトゥール・シュナーベルピアノコンクールにて第3位。
2014年スタインウェイ賞、2015年ユージリオ・ピアノアワードコンクール第3位、2016年モーツァルテ国際ピアノコンクール第2位等これまで数々の国際コンクールに入賞。
これまでにドイツ、イギリス、イタリア、フランス、スペイン、オランダ、トルコ、日本などで演奏し、近年ではソリスト、室内楽奏者としてヨーロッパ各国の音楽祭に招待されている。
また2011年から2017年までユーディ・メニューイン・ライブ・ミュージック・ナウ奨学生として慰問コンサートも精力的に行った。
2017年より2年間ベルリンの音楽学校で後進の指導をしたのち、イギリスに拠点を移し、現在は母校メニューイン音楽院にてピアノ科非常勤講師を務めている。
これまでにマーセル・ボデ、レナーナ・グートマン、パスカル・ドヴァイヨン、村田理夏子各氏に師事。
全日本ピアノ指導者協会演奏会員。



チェロ 向井真帆

広島県廿日市市出身。
12歳よりチェロを始める。
愛知県立芸術大学音楽学部を卒業。
2018年9月より1年間ドイツのケルン音楽大学へ交換留学を経て現在愛知県立芸術大学大学院博士前期課程2年に在学中。
第11回ベーテン音楽コンクール全国大会第1位。
受賞者コンサートに出演。
第10回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門第3位。
第18回大阪国際音楽コンクール室内楽部門ファイナル入選。
2018年兼松信子基金奨学生。
コジマムジカコレギア第25回定期演奏会にてオーケストラと共演。
ヒロシマ・ピース・オーケストラ第2回演奏会にてソリストを務める。
第38回広島市新人演奏会に出演。
学内の選抜オーディションにより、「室内楽の夕べ」、「室内楽の楽しみ」に出演。
ヴィオラスペース名古屋2017に出演。
ジェム弦楽四重奏団としてPhoenix OSAQA2015、2016受講。
ルドヴィート・カンタ、H.C.Schweikerの公開レッスンを受講。
これまでにチェロをマーティン・スタンツェライト、花崎薫、H.C.Schweikerの各氏に、室内楽を花崎薫、天野武子、百武由紀、C.Beldiの各氏に師事。



指揮 岡田倫弥

広島市出身。
広島大学教育学部第四類(生涯活動教育系)音楽文化系コースを卒業後、同大学大学院を修了。
現在、昭和音楽大学大学院修士課程音楽芸術表現専攻(指揮)に在籍中。
第37回霧島国際音楽祭マスタークラスで高関健、下野竜也各氏の指導を仰ぐ。
また、熊本県立劇場主催の指揮者講習会にて、山田和樹氏から指導を仰ぎ、その際、横浜シンフォニエッタを指揮。
これまでに指揮を鈴木恵里奈、磯部省吾氏から学び、現在星出豊氏に師事。



弦楽アンサンブル ヒロシマ・ピース・オーケストラ・ストリングス

ヴァイオリン
木村紗綾 澁谷華純 原辺芽依 西山夏未 大田響子 山本一喜

ヴィオラ
長岡佑磨 園部真秀 山本絵里奈

チェロ
向井真帆 阿曽沼裕司

コントラバス
守谷みさき

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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島」
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

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