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木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~

2021-03-07 13:43:40 | コンサート、演奏会


(写真は木村紗綾さんトーク中の場面)

2月26日、広島県広島市のゲバントホールで行われた「木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~」を聴きに行きました。
ゲバントホールは原爆ドームの近くにあり、訪れるのは今回が初めてです。
新型コロナウイルスの影響もあり会場のお客さんはチケットの申し込み先着30人限定で、席もバルコニー席だけでした。
オンラインでリアルタイム配信もされ、コロナ渦での新たな形のコンサートを模索していて、幸運にも先着30人に間に合った私はバルコニー席から演奏を楽しませてもらいました





(開演を待つステージ。バルコニー席からはこのように見えていました。)




(ゲバントホールはこういった造りになっていて、今回のリサイタルは上階のバルコニー席にのみ、30名限定でお客さんを入れていました。)
写真左下では配信スタッフさんが動画配信をしていました。)



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【コンサートに想いを寄せて】

新型コロナウイルスの影響により、今までの様に同じ空間で生で演奏を聴いていただけることは少なくなりましたが、配信という形でも演奏会ができますことをとても嬉しく思います。
このような配信コンサートという新しい試みにより、遠くにお住まいの方にも演奏を聴いていただけることを、大きな出会いのチャンスと思い、心を込めて演奏いたします。
今回の演奏会は「クラシックに満ち満ちて」と題しまして、ブラームスのヴァイオリンソナタやラヴェルのツィガーヌなど、たっぷりとヴァイオリンとピアノの音色に浸っていただける曲を選びました。
少しでも皆様の人生のワンシーンに繋がる演奏となれば幸いです。
2021年 新春 木村紗綾
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(木村紗綾さん青いドレスで調弦をする場面。コンサート前半は青いドレスで登場しました。ピアニストは重野友歌さん。)


1.タルティーニ:ヴァイオリンソナタ ト短調「悪魔のトリル」

-----パンフレットの解説-----
イタリア バロック音楽の作曲家、そしてヴァイオリニストであったタルティーニ。
この曲が『悪魔のトリル』と呼ばれるようになったのはこのような逸話が残されている。
作曲に行き詰っていた21歳のタルティーニはある夜、夢をみた。
それはタルティーニが悪魔と契約を交わし、魂を引き渡すことで悪魔がヴァイオリンで美しいソナタを弾くというもの。
そのソナタはこの世のものとは思えないほど、鮮やかなトリルがたくさん散りばめられた曲であった。
感動のうちに目が覚めたタルティーニは、急いで夢の中で悪魔が弾いていたメロディを楽譜に残した。
それがこの「悪魔のトリル」である。
「トリル」というのは2つの音を交互に速く鳴らす奏法で、冒頭から終盤のカデンツァまで華麗なトリル、そして超絶技巧が詰まっている。
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ゆったりとした物悲しい音色で始まります。
そこからリズミカルで明るい音色に変わりました。
さらに今度は情熱的で熱を帯びた音色になり、ピアノと合わさって奏でられた音色は情熱のタップダンスのようでした。
終盤のソロヴァイオリンでの演奏も情熱的で熱い音色になり、曲の中でどんどん音色が変わって行ったのが印象的でした。

1曲目の後のトークで、15歳でチェコに渡って初めてのレッスンがこの曲だったと言っていました。
そういった思い出の曲は、曲の音色とともに当時のことが思い出されたりもするのではと思います。
また今回はフランス料理のフルコースを1.5回分くらいのクラシック盛り沢山のプログラムにしたとのことです。
2曲目はその箸休めとして選んだとのことで、音色から癒やしを感じてと言っていました。



2.シューマン :「3つのロマンス」より第2番 作品94-2

-----パンフレットの解説-----
ドイツ ロマン派を代表するシューマンは、交響曲から歌曲、ピアノ曲など幅広い分野の作品をたくさん残している。
1849年にオーボエとピアノのために書かれたこの曲は、ロマン派全体を見渡しても最も重要なオーボエ作品と評されるほど、オーボエ奏者にとって重要なレパートリーで、人気があるためクラリネット、フルートやヴァイオリンにも編曲され演奏機会も多い。
またこの曲はシューマンが妻クララへのクリスマスプレゼントとして作曲したと伝えられている。
3つのロマンスの中でもこの第2曲は長調の美しい旋律が特徴的だ。
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まさにゆったりとした癒やしの音色でした。
聴いていて気持ちが安らぎます。
そして癒やしから情熱の音色になった場面が印象的で、ハッとするような変化が良かったです



3.ブラームス:ヴァイオリンソナタ第3番ニ短調作品108

-----パンフレットの解説-----
バッハ、ベートーヴェンに並び「ドイツ三大B」の1人でも知られるブラームスは、1886年から1888年にかけて、夏の休暇をスイスのトゥーン湖畔の避暑地で過ごし創作活動に専心した。
1888年に完成したこの曲を含む晩年の傑作の多くは、この土地で作曲された。
第3番は前2作とは異なり、4楽章で構成されている。
悲壮感漂う旋律の中にもうちに秘めた深い力強さを併せ持つ表情豊かな第1楽章、G線で奏でられる、美しくどこか懐かしさを感じさせる第2楽章、孤独、悲しさ、もろさが描かれた第3楽章、そして自らを鼓舞するかのような情熱的でドラマティックな第4楽章で締めくくる。
友人の死などにより「死」というものを紛れもない現実の出来事として見つめなければならなくなったブラームスの人生観が映し出された作品である。
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演奏前のトークで、今回のリサイタルではプロコフィエフのヴァイオリンソナタ第2番が一番弾きたい曲で、では前半の最後をどの曲にしようかを考えた時、この曲が思い浮かんだと言っていました。
1楽章は悲しみ、2楽章は懐かしみ、3楽章はこれからどうしたらいいのか、4楽章は情熱の気持ちが表現されている曲と言っていました。

1楽章は悲しそうな音色からヴァイオリンとピアノでショッキングな雰囲気になった場面が印的的でした。
2楽章はしっとり、ゆったりな音色で、まさに何かを懐かしんでいるような音色で安らぎがありました。
3楽章は演奏のテンポが上がり、「焦った気持ち」のようなものを感じました。
ピッチカートの時が印象的で、力強くて音に「底」から沸き出てくるような迫力があり、ピアノも弾むように軽やかに弾いていて両方合わさって良い音色になっていました
4楽章は激しい音色になり、迫力が凄かったです。
気持ちが爆発しているような響きで、友人の死に際し、そこからまた前に進もうとする時、そういった気持ちになることはあると思います。





(木村紗綾さん赤いドレスで調弦中の場面。後半は赤いドレスに衣装替えしました。)


4.プロコフィエフ:ヴァイオリンソナタ第2番 ニ長調 作品94bis

-----パンフレットの解説-----
今年生誕130周年を迎えたロシア人作曲家プロコフィエフ。
この作品は元々フルートソナタとして1993年に書かれ、初演は大成功をおさめた。
その初演を聴いたロシア人ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの勧めにより、戦時下のモスクワでヴァイオリンソナタへと書き換えられた。
初演は、オイストラフ自身によって行われ、友人でもあったヴァイオリニストのヨーゼフ・シゲティに献呈された。
まるで夢の中にいるかのような神秘的とも思える旋律から始まる第1楽章、ヴァイオリンとピアノが激しく対話する第2楽章、半音階を多く用いた叙情的で透明感溢れる第3楽章、そして劇的で力強く行進曲のような第4楽章と様々なキャラクターが見えるソナタだが、全楽章を通して美しいメロディで溢れた作品である。
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1楽章は「明るいけだるさ」のような音色に感じ、時に速い音色、激しい音色にもなりました。
2楽章はヴァイオリンもピアノも激しくなり、「掛け合い」が派手な音色で凄く良かったです。
3楽章はゆったりとした安らぐ音色になりました。
そこから情熱的な音色にもなり、ピアノの支え方も良くて良い雰囲気になっていました。
4楽章は賑やかになり、派手な音色で躍動感があってかなり良かったです





(木村紗綾さんトーク中の場面。)



5.ラヴェル:ツィガーヌ

-----パンフレットの解説-----
近代フランスを代表する作曲家ラヴェル。
彼の作品にはスペイン音楽やジャズなど、様々な地域の音楽語法が積極的に取り入れられている。
ツィガーヌとは、フランス語で「ジプシー」を意味する。
この作品はハンガリーの民族的な舞曲である「チャルダッシュ」というジプシーの舞曲の様式に基づいて書かれており、チャルダッシュは、テンポの遅い前半部分、情熱的で速い後半部分の2つの要素で構成されている。
ツィガーヌでは冒頭4分ほどを無伴奏ヴァイオリンが、フラジオレットやピチカートなど技巧を駆使し、エキゾチックに哀愁高く奏でる。
後半はピアノと共に、クライマックスに向かって超絶技巧を披露しながら劇的で華麗に締めくくられ、演奏会のフィナーレにふさわしい作品となっている。
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ヴァイオリンのソロ演奏で始まり、不穏で妖しそうな響きがありました。
やがてピアノも入り、入り方がキラキラと輝く宝石のような響きでした。
ヴァイオリンの音色も華やかで宝石のような音色になり、両方合わせて物凄く華麗な音色になりました。
まさにフィナーレに相応しい音色だと思いました


アンコールはタンゴの有名曲「ポル・ウナ・カベーサ(カルロス・ガルデル作曲)」が演奏されました。
クラシックとは違うジャンルの曲を選んでいて、フィギュアスケートの浅田真央さんがこの曲で演技しているのを見て興味を持ったとのことです。
演奏会でも何度か聴いたことがあり、最初の穏やかな音色からタンゴらしい情熱的な雰囲気になる場面が特に良かったです



木村紗綾さんの演奏を生で聴くのは昨年2月の「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラシリーズ 第54回広島」以来、一年ぶりでした。
元々音に「切れ味の鋭さ」という特徴があるように思っていて、久しぶりに生演奏を聴いて改めてそれを思いました。
新型コロナウイルスの影響でまだまだ演奏会が少ない中で開催してくれて嬉しかったです。
新たにチェコ ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスにも就任され、今後益々活躍していくのがとても楽しみです



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プロフィール

ヴァイオリン 木村紗綾

広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。
15歳で単身チェコに渡り、プラハ音楽院に学ぶ。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第38回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍し、プラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭など国内外の演奏会、ツアーに多数出演し、2018年修了。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務める。
2011年度ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ奨学生、2016年より大植英次氏プロデュース威風堂々クラシック in Hiroshimaにてコンサートミストレスを務め、チャリティコンサートなどソリストとしても多数共演。
第54回文化庁委託事業新進演奏家育成プロジェクト オーケストラシリーズにて広島交響楽団と共演。
現在チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者として活動中。
2020年秋よりチェコ ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスに歴代最年少で就任。



ピアノ 重野友歌

広島県に生まれる。母親の手ほどきによりピアノを始め中学校卒業後に渡英。
メニューイン音楽院を経て英国王立音楽大学に全額特待生で入学。
首席で卒業した後ドイツに移り、ハンブルグ国立音楽演劇大学で大学院修士と国家演奏家資格をどちらも最優等で取得。
2018年よりアメリカ、マイアミ大学フロスト音楽学校にてケヴィン・ケナーの下、博士課程に在籍。現在は日本に帰国し休学中。
リカルド・ヴィネス国際コンクール日本人初優勝をはじめ、国内外でのコンクールで数々の賞を受賞。
ソロのみならず、妹 文歌とのピアノデュオ・カントゥス、国内外のアーティストとのアンサンブルにも力を注いでいる。
全日本ピアノ指導者協会演奏会員。

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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


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