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アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~

2022-01-10 13:39:52 | コンサート、演奏会


(左からピアノ重野友歌さん、ファゴット白井薫さん、コントラバス原田一平さん、ヴァイオリン木村紗綾さん、ヴィオラ松本麗さん、チェロ向井真帆さん、ホルン西本葵さん、クラリネット馴田洸奈さん)

1月8日、広島県広島市のゲバントホールで行われた「アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~」を聴きました。
それぞれが異なる管弦鍵盤楽器8人によるアンサンブル(演奏グループ)で、新年になって初めて聴く演奏会となりました
年末年始休みを機に新型コロナウイルスが感染再拡大していますが警戒を厳重にして無事に開催して頂けて良かったです。
とても楽しみにしていた演奏会で、新年初めて聴くに相応しい強力なプログラムの演奏を楽しませて頂きました



1. G.F.ヘンデル=J.ハルヴォルセン:パッサカリア



(左から木村紗綾さん、松本麗さん)

ヴァイオリンとヴィオラの2人で演奏しました。
それぞれがピッチカート(指で弦をポロンポロンと鳴らす演奏)で掛け合う演奏が迫力と切れがあって良かったです。
冒頭から小刻みに弦を刻む演奏がよく見られ、緊迫した雰囲気がありました。
時折ゆったりになることもあり、そんな時はどこか悲しそうな雰囲気になっていました。
2人で静かめのピッチカートになった場面も良く、ヴァイオリンがピッチカートの中心となりヴィオラは三味線のような音色を出してそれを支えていました。
終盤は2人でとても緊迫した小刻みの演奏になり凄い迫力でした。





(左から白井薫さん、木村紗綾さん)

1曲目の後に木村紗綾さんと白井薫さんのトークがありました。
白井薫さんが2曲目を「1曲目とは打って変わって、どちらかと言うとふざけた曲」と紹介し、さらに「ばかばかしい曲と思って聴いてください」と言うとお客さんから笑いが起きていました。
木村紗綾さんは3曲目の「ます」について華やかなメロディーが続く曲と紹介し、さらに「今日は多種多様な曲が続くので最後までお楽しみください」と言っていました。



2. C.ニールセン:セレナータ・イン・ヴァノ



(左から向井真帆さん、原田一平さん、白井薫さん、西本葵さん、馴田洸奈さん)

チェロ、コントラバス、ファゴット、ホルン、クラリネットという珍しい組み合わせの5人で演奏しました。
ゆったりとコミカルな雰囲気で始まりました。
それぞれの楽器の音がとても引き立つ曲で、各楽器の個性を楽しみました。
最後までゆったりな曲調が続いて行き、いたずらっぽく夢見心地な雰囲気がとても良かったです。

私はこの演奏会を知った時から、クラリネットの馴田洸奈さんが非常に気になっていました。
エリザベト音楽大学在学時、まだブログ記事には出来ていませんが間近で演奏を聴いたことがあり、上手い人だなと思いました。
この人が中心メンバーで登場するコンサートや演奏会をぜひもっと聴いてみたいと思っていた矢先の2020年早春、新型コロナウイルスに見舞われました。
コンサートや演奏会の開催がほとんど不可能になり、大学時代最後の1年間は演奏を聴くことが出来ず、とても悔やまれました。
その人がまさかこのアンサンブルに登場するとはと驚くとともに、再び演奏を聴けることがとても嬉しかったです
プロフィールを見ると精華女子高等学校出身とあり、「響け!ユーフォニアム3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」(著:武田綾乃)という高校の吹奏楽部を舞台にした小説に登場する全国大会金賞常連の強豪校のモデルになっているのを思い出しました。
馴田洸奈さんが在籍した時代も金賞受賞とあり、やはり小説に書かれている通りなのだなと改めて思いました。
現在は東京の大学院に在学中とのことですが、今回のようにたまに広島のコンサートや演奏会に登場してくれると嬉しいです



3. F.シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」イ長調 D.667



(演奏前のチューニング(音合わせ)の様子。左から木村紗綾さん、重野友歌さん、松本麗さん、原田一平さん、向井真帆さん)

一楽章
短い音での始まりが印象的で引き込まれるインパクトがありました。
ヴァイオリンとピアノが目立っていて、ヴァイオリンが明るい演奏をしてピアノが宝石のきらめきのように演奏することが何度もありとても良かったです


二楽章
ヴィオラの独奏で始まりました。
二楽章でもピアノが宝石のきらめきのように他の楽器の演奏に「ふし」を付けた場面が何度もあり、そのきらめきの音色の表現力が素晴らしいなと思いました。
そしてピアノが目立つ場面もあり、軽やかにスキップしているかのようでとても上手かったです。





三楽章
ヴィオラとピアノでゆったりと始まり、それをチェロとコントラバスが支える中でヴァイオリンも入って行きました。
明るく安らぐ音色が続いて行き、ヴァイオリンとピアノは同じメロディの掛け合いを繰り返していて、明るく軽やかな雰囲気が良かったです。
ピアノのゆったりしていながらも一つ一つの音が弾んでいる音色も良かったです。


四楽章
冒頭はヴァイオリンの目立つ聴いたことのある音色で始まり、その響きに引き込まれました。
ピアノが冒頭の演奏をし、音がとても弾んでいて華やかでした。
さらにはヴィオラ、チェロ、コントラバスも冒頭の演奏をしていて、次々と繰り返されて行くのが印象的でした。
最後は全体でとても激しい演奏になりました。


五楽章
最後まで明るく軽やかでした。
五楽章のみならず、全楽章通して明るさや軽やかさが目立ち、とても心地良く聴いていられる音色の曲でした





(3曲目終了後、休憩中のゲバントホール。老若男女問わず幅広い層の人が聴きに来ていました。)





(トークをする木村紗綾さんとサポートをする重野友歌さん)

4曲目の前に木村紗綾さんのトークがありました。
最初に3月12日に行うコンサートの紹介がありました。
演奏する曲を昨年11月~今年2月までのお客さんへのアンケート結果で決める(上位の曲を演奏)という、通常のコンサートとは違う珍しい試みをするとのことです。
今回のプログラムに挟まっていたチラシに3月12日コンサートのチラシもあり、投票用のアンケート用紙も付いていたので、私もコンサートに行けるかはまだ分からないですがヴィヴァルディの「四季」より「春」で投票してみました。
中学校時代の卒業式で流れたのが思い出され、毎年春になると聴きたくなる厳かな気持ちになる曲です

4曲目のベートーヴェンの七重奏曲の紹介もありました。
6楽章まであり40分くらいある曲とのことでした。
昨年の春くらいから演奏したいと思っていたとのことで、七重奏の演奏が可能なアンサンブル・プリエールの結成によってついに実現となりました。



4. L.V.ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 Op.20



(演奏前のチューニングの様子。左から木村紗綾さん、松本麗さん、向井真帆さん、原田一平さん、白井薫さん、西本葵さん、馴田洸奈さん。
4曲目出演の女性陣はドレスの衣装替えがあり雰囲気がガラッと変わりました


一楽章
この曲はピアノ以外の全員での演奏となりました。
ヴァイオリンが演奏して他の楽器が続く掛け合いの演奏、さらにヴァイオリン以外の楽器が演奏してヴァイオリンが続く掛け合いの演奏がありました。
そこからはクラリネットとヴァイオリンがかなり目立っていて、軽快な雰囲気の演奏が続いて終わりました。




(白井薫さん、西本葵さん、馴田洸奈さんの演奏の様子)


二楽章
クラリネットを中心にゆったりと始まり、伸びやかな音色のクラリネットを他の楽器が支えていました。
その後ヴァイオリンがクラリネットの演奏をして他の楽器が支えていました。
ホルンとクラリネットで短い音を連続させる緊迫した演奏があったのが印象的でした。
クラリネットが束の間独奏になり、音がフワーッと浮遊しているようで上手いと思いました。
ヴァイオリンが目立ち、音が高音から低音まで変化が大きくこちらも不穏さとダイナミックさの表現が上手いと思いました。




(機材との位置関係で見えずらいですが、木村紗綾さんと松本麗さんの演奏の様子)


三楽章
ヴァイオリンを中心に軽快に始まりました。
最後まで楽しそうな雰囲気の楽章でした。


四楽章
ヴァイオリンとファゴット&クラリネットの掛け合いがありました。
私はクラリネットに「滑らかな音色」、ファゴットに「ファンキーな音色」という印象を持っていて、その二つがコンビを組んだ音色をはっきりと聴き取ることが今まであまりなかったのでとても新鮮でした。
良いハーモニーになっていると思い、そんな音色が聴けるのはアンサンブルならではの良さだと思います。
その後はヴァイオリンの非常に速い小刻み演奏が目立っていて、終盤に少し不穏にチェロとコントラバスが演奏した場面も印象的でした。




(向井真帆さん、原田一平さんの演奏の様子。コントラバスはいかに大きな楽器かがよく分かるのではと思います。)


五楽章
ホルンで始まり、今まで聴いてきたコンサートや演奏会でホルンがソロで先陣を切る演奏は聴いたことがなかったような気がし、こちらも新鮮に感じました。
チェロがかなり目立つ場面があり、軽快な音色で良いと思いました。


六楽章
少しミステリアスな全体での演奏で始まりました。
この楽章でもヴァイオリンとクラリネットがかなり目立っていました。
ホルンの「タータータタター」という演奏の後に他の楽器が続く演奏が4回もあったのも印象的で、回を重ねるごとにホルンのメロディが始まると「再び盛り上がるな」とワクワクした気持ちになりました



アンコール

ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲



(アンコール時の挨拶の様子)




(アンコール演奏時。ピアノの重野友歌さんも再登場し、この日初めてフルメンバーでの演奏になりました








ラデツキー行進曲は明るい雰囲気のとても盛り上がる曲で、聴いていると気持ちがワクワクしてきます。
お客さんからは手拍子が巻き起こり、私も一緒に手拍子していました





(アンコール終了後)

アンサンブル・プリエールの第1回演奏会、楽しませて頂きました。
新年になって初めて聴く演奏会がこの演奏会で良かったと思う素晴らしい演奏会でした。
3曲目と4曲目に大曲を揃えて、素晴らしい音色で胸いっぱいになったところにアンコールのラデツキー行進曲で軽快な気持ちにする構成も秀逸で、今年もクラシックのコンサートや演奏会をたくさん楽しんで行きたい気持ちになりました
ぜひ次回も開催され、再び演奏を聴けることを願います



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演奏者プロフィール

ヴァイオリン 木村紗綾

広島市出身。
15歳で単身チェコに渡り、プラハ音楽院に学ぶ。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
チェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミー修了。
これまでに指揮者大植英次氏を初め、広島交響楽団やチェコにてオーケストラと多数共演。
2020-21年度チェコ国立ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスを歴代最年少で務める。
現在チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者として活動する他、ソロ・アンサンブルなど国内外で幅広く活動を行っている。


ヴィオラ 松本麗

千葉県出身。島根県育ち。
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽科を卒業。
在学中に成績優秀者によるstudent's concertに出演。
同大学、大学院を卒業。
在学中にヴィオラ科に転向。
これまでにヴァイオリンを須貝万紀、高旗健次、長谷川夕子、田澤明子、故名倉淑子、ヴィオラを故岡田伸夫、室内楽を山崎伸子、磯村和英、各氏に師事。
現在、都内のオーケストラにエキストラとして出演するなど、フリーランスとして活動している。


チェロ 向井真帆

広島県廿日市市出身。
愛知県立芸術大学音楽学部を卒業。
同大学大学院博士前期課程修了。
在学中、ドイツのケルン音楽大学へ留学。
第11回ベーテン音楽コンクール全国大会第1位。
第10回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門第3位。
第22回さくらぴあ新人コンクール廿日市市教育長賞受賞。
これまでにチェロをマーティン・スタンツェライト、花崎薫、H.C.シュヴァイカー の各氏に師事。
現在広島を拠点にソロ、アンサンブル、オーケストラの客演など幅広く演奏活動を行っている。
エリザベト音楽大学非常勤副手。
あきクラシック実行委員会委員。


コントラバス 原田一平

広島県出身。
くらしき作陽大学音楽学部音楽学科卒業。
東アジア音楽芸術教育連盟設立大会記念演奏会に出演。
コントラバスを石川徹、徳原正法、樋口誠、渡辺彰考の各氏に師事。
第21回日本クラシック音楽コンクール弦楽器部門第4位。
現在、瀬戸フィルハーモニー交響楽団コントラバス奏者。
ジャパン・アカデミーアンサンブルソロイスツ主宰。
あきクラシック実行委員会委員。
四国大学短期大学部音楽科非常勤講師。


クラリネット 馴田洸奈

12歳よりクラリネットを始める。
精華女子高等学校在学中、全日本マーチングコンテスト、全日本吹奏楽コンクール金賞受賞。
クラリネットを橋本眞介、武田忠善、伊藤寛隆の各氏に師事。
室内楽を赤坂達三、万代恵子、金子恵の各氏に師事。
大植英次プロデュース威風堂々クラシック in Hiroshimaソロコンサートにてソリストとして出演。
フィリップ・ペロー氏のマスタークラスを受講。
エリザベト音楽大学卒業、現在国立音楽大学大学院修士課程1年次在籍中。


ホルン 西本葵

広島音楽高等学校を経て東京音楽大学を卒業。
在学時、特別特待奨学生として奨学金を得る。
第27回中国ユース音楽コンクール金管部門最優秀賞。
第34回ヤマハ管楽器新人演奏会金管楽器部門へ出演。
第89回日本音楽コンクールホルン部門入選及び岩谷賞。
小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅩⅣ・ⅩⅥに参加。
サボルチ・ゼンブレーニ、ヨハネス・ヒンターホルツァー、クリストフ・エス各氏のマスタークラスを受講。
これまでにホルンを佐々田裕美、宮本辰彦、水野信行の各氏に師事。


ファゴット 白井薫

広島県出身。
愛知県立芸術大学にて音楽学をヴァイマール・フランツリスト音楽大学にてファゴットを学ぶ。
ファゴットを岡崎耕治、水間博昭、フランク・フォルストの各氏に師事。
音楽学を原田宏司、安原雅之の元で学ぶ。
ドイツにてカメラータ・テンポラリス等に客演。
2016年、卒業論文として「アルノルト・シェーンベルクの音楽劇《幸福の手》ーーその歴史的意義について」を執筆。
愛知県立芸術大学在学時より指揮者、ソリストとしての活動や、演奏会の企画、楽曲解説の執筆など、多岐にわたる活動を行っている。


ピアノ 重野友歌

広島県呉市に生まれる。
母親の手ほどきによりピアノを始め中学校卒業後に渡英。
メニューイン音楽院を経て英国王立音楽大学に全額特待生で入学。
首席で卒業した後ドイツに移り、ハンブルグ国立音楽演劇大学で大学院修士と国家演奏家資格をどちらも最優等で取得。
2018年よりアメリカ、マイアミ大学フロスト音楽学校にてケヴィン・ケナーの下、博士課程に在籍。
2020年、日本に帰国。
リカルド・ヴィネス国際コンクール日本人初優勝をはじめ、国内外でのコンクールで数々の賞を受賞。
ソロのみならず、妹 文歌とのピアノデュオ・カントゥス、国内外のアーティストとのアンサンブルにも力を注いでいる。
全日本ピアノ指導者協会演奏会員。
エリザベト音楽大学非常勤講師。
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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


向井真帆さん出演のコンサート、演奏会
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019


馴田洸奈さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会
エリザベト音楽大学 大学祭2019


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