読書日和

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威風堂々クラシック in Hiroshima 2019

2021-10-10 09:57:37 | コンサート、演奏会


(握手を交わす指揮者の大植英次さんと、コンサートミストレス(オーケストラのまとめ役)の木村紗綾さん)

2019年12月1日、広島県広島市の「広島文化学園HBGホール」に、「威風堂々クラシック in Hiroshima」コンサートを聴きに行きました。
「威風堂々」は広島市生まれの世界的指揮者、大植英次さんのプロデュースで2012年から新型コロナの影響を受ける前の2019年まで毎年行われていた大規模なコンサートです。
「広島の街を音楽でいっぱいに」というコンセプトを持ち、2019年は11月30日と12月1日の2日間、広島市内の様々な場所でコンサートを行いました。
日程の一番最後に行われたのが広島文化学園HBGホールでの「広島心音オーケストラ」によるコンサートで、大植英次さんの「音は耳で聞くのではなく心で感じるものだ」という考えに基づき、心音と名付けられた若手によるオーケストラです




公演会場の「広島文化学園HBGホール」に行くと行列が出来ていました。



人気の高いコンサートで、前年に行った時も満員になっていました。



幸いまずまず良い位置の席に座ることが出来ました。



コンサートミストレスの木村紗綾さんがチューニング(演奏前の音合わせ)の指揮を執っている場面で、その右手最前列には、他の演奏会で演奏を聴いたことのある浦川莉緒さんの姿がありました。
最前列には各楽器の中心的存在が座り、この時大勢居るヴァイオリンの中で中心的役割を果たしていました。

演奏プロクラムは次のとおりです。

1. コープランド/ホーダウン
2. モンティ/チャルダッシュ
3. ムソルグスキー/禿山の一夜
4. コープランド/リンカーンの肖像
5. ベートーヴェン/交響曲第7番第4楽章
 休憩
6. ホルスト/木星
7. チャイコフスキー/交響曲第4番第4楽章



1. コープランド/ホーダウン

陽気な始まりで、その後も明るい音色で演奏されました。
パーカッション(打楽器)の「タンタタ タンタタ」というリズムでの演奏が良いなと思いました。
ヴァイオリン、管楽器の小刻み演奏も良かったです。
最後は「えいじっ」の掛け声で終わったのも印象的で良かったです



演奏後のトークで大植英次さんが「申込書を出せば入れるのは世界でこのオーケストラだけ」と言っていました。
楽器の経験があってコンサートで演奏したい思いがあれば誰でも入団出来るようで、若い人にとって敷居が低いのは嬉しいと思います。
そしてコンサートが成功出来るのは大植英次さんのプロデュース力があってこそではと思います。



2. モンティ/チャルダッシュ



(2曲目に向けて握手を交わす大植英次さんと木村紗綾さん。木村紗綾さんは2曲目のソリスト(ソロ演奏者)を務めます)



(オーケストラが盛り立ててくれる中で、ソリストは起立しての演奏となります)

2016年から「威風堂々」でコンサートミストレスを務めてきた木村紗綾さんは、中心メンバーとしての参加はこれで最後とのことでした。
演奏は情感たっぷりで非常に上手かったです。
手元に残っているメモには「かなりワクワクした」という記載もあります



(演奏を終え、インタビューに答える木村紗綾さん。今までお疲れ様でしたと思うとともに、寂しくも思いました)



3. ムソルグスキー/禿山の一夜

不穏な始まりで、不気味さ、迫力、緊迫感がありました。
パーカッションの「鐘」とチェロのピッチカート(指で弦をポロンポロンと鳴らす演奏)だけになる場面、さらには「鐘」とコントラバスのピッチカートだけになる場面があり、独特な魅力がありました。
「禿山の一夜」は初めて聴きましたが良い曲だと思いました



(3曲目演奏後、大植英次さんトーク中)



(トークの間に次の曲の準備が行われます)



4. コープランド/リンカーンの肖像



(松井一實(かずみ)広島市長が登場しました)

誇り高い雰囲気の演奏で始まり、途中で陽気にもなりました。
この曲はアメリカ合衆国の第16代大統領エイブラハム・リンカーンによる、「人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させない」ことを決意した有名なゲティスバーグ演説をスピーチする場面があります。
オーケストラが支える中で松井一實市長がスピーチをしていて、淡々とした語りの中に気高さを感じたのが印象的です。





(心音オーケストラに入った中学1年生の女子のエピソードについて話す大植英次さん)

演奏後に小学1年生の時に大植英次さんが投げたETのぬいぐるみを取った女の子の話になりました。
その子が今年中学1年生になり心音オーケストラに入ったとのことでした。
大植英次さんが「これが心音オーケストラの心です」と言っていたのが印象的で、かつての観客がメンバーになるとは素敵だと思います




(間もなく任期が切れる広島市の文化大使について、継続のお願いをする松井一實広島市長)

松井一實市長から大植英次さんへのお願いもあり、間もなく任期が切れる広島市の文化大使をまたお願いしたいとのことでした。
音楽で広島の街を彩る大植英次さんは文化大使にピッタリだと思います



5. ベートーヴェン/交響曲第7番第4楽章



(5曲目の演奏になる場面)

ベートーヴェンが作曲した交響曲の中で最も好んだのが第7番とのことでした。
凄く明るい音色で始まり、途中でややミステリアスになって、最後はまた凄く明るくなりました。
ベートーヴェンは暗い音色が得意な印象もありますが、有名な交響曲第9番も第4楽章は明るさが爆発する場面があり、明るい音色も大得意なようです。

5曲目の後に祝電の読み上げがありました。
先日自民党総裁選挙で勝ち、第100代内閣総理大臣(日本国首相)に就任した岸田文雄さんの名前がありました。
広島県ゆかりの衆議院議員で、「威風堂々」のことを気にかけてくれているようです。



6. ホルスト/木星



(6曲目演奏前のチューニング)



(演奏前の全員立ち上がっての挨拶の場面です。心音オーケストラは人数も多く迫力があります)

木星は「喜び、平和をもたらす神」と紹介がありました。
2018年も演奏された曲で、平和都市広島で活動する心音オーケストラにとって重要な曲なのかも知れないと思いました。
音の厚みが非常に良いなと思い、ゆったりとした重厚な響きの中で気持ちが安らぎました



7. チャイコフスキー/交響曲第4番第4楽章

演奏の前、大植英次さんが日本で最初にシンフォニーを「交響曲」と訳したのが森鴎外だと言っていました。
「協奏曲(コンチェルト)」も森鴎外が訳したとのことで、知らなかったので驚きました。
音楽はそういった歴史や作曲の背景などを知っていくのも面白いなと思います。
チャイコフスキーの交響曲第4番第4楽章はかなり盛り上がる楽章で、迫力のある音色にやはり気持ちが盛り上がりました



最後の7曲目演奏後、退場した大植英次さんが、



拍手に迎えられて指揮台に戻って来ました



アンコール: エルガー/威風堂々
「威風堂々」はコンサートのタイトルにもなっていて、心音オーケストラの代表曲になっています。
多くの人が小学校の音楽の授業で習うのではと思い、お正月の「芸能人格付けチェック」というテレビ番組で流れることでも知られ、馴染み深い曲です。
冒頭の勇ましい雰囲気の部分、途中で訪れるゆったりとした部分どちらも好きです


大植英次さんが1階と2階の観客席を回ってお礼を言って回っている間、オーケストラによって「夕焼け小焼け」「七つの子」「ふるさと」が演奏されました。
いずれも美しさや寂しさを感じるゆったりとした曲で、コンサートの終わりが近いことが分かります。





最後、法被を着た大植英次さんが見つめる先には、



太鼓を前にバチを構える人がいました。
2019年も最後は「外山雄三:管弦楽のためのラプソディより「八木節」」という曲が演奏され、お祭り的な音色で盛り上がりました


広島心音オーケストラはやはり、「広島在住の若い人が申込書を出せば誰でも入れる」のが最大の特徴だと思います。
楽器の経験のある若い人に夢を与えてくれていて、特に2019年は中学1年生の参加者にとても驚きました。
また心音オーケストラの第一線から退く木村紗綾さんも、今後はサポートメンバーとしてオーケストラを支えて行くとのことで、次へとバトンが受け継がれ、それを支えて行くのはとても素敵なことだと思います。
ぜひ少しでも早く新型コロナの影響がなくなり、また「威風堂々」のコンサートが開催出来るようになってほしいと思います



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威風堂々クラシック in Hiroshima 広島心音オーケストラ2019 団員 楽器別

ヴァイオリン
木村紗綾(コンサートミストレス)
浦川莉緒 大迫日奈 大塚風花 甲斐裕子 形山羽奈
木本実伶 久保川朋音 佐々木春名 末田玲子 末松唯花
瀧本朋代 田中綾 塚本まり 二見涼叶 三浦万帆
村上もも 山口怜旺 脇中日向子

ヴィオラ
石本暁子 小川珠奈 式田千紘 長岡佑磨 藤川眞衣

チェロ
一瀬奈津帆 岡田直也 荻野李紗 北尾文 住野綺音
十河拓巳 西野友博 西村英弥璃 野口颯真

コントラバス
柏原百合菜 谷本豊 反納沙雪 長岡真実 

フルート
飯盛麻帆 石田花萌 上田桃佳 浦田奈々 大塚璃音 
猫本明花 八山菜摘 光野萌 村上健

オーボエ
有田晴妃 久保田千貴 高木蒼生 土井嘉音 古川瑞記
山田綾香

クラリネット
岩本奈々 櫻井南緒 島本惇 馴田洸奈 平野美優
藤原由子 水戸しのぶ 森脇萌 門枡咲良 山田息吹

ファゴット
小椋皇輝 門永望 宮地絵美

ホルン
井下智貴 植竹ののか 北崎ほなみ 坂谷友理 桟敷若奈
東條美月 中村心香 福尾望佳 芳之内実来

トランペット
井上竜人 上田麗 風早ももか 加登岡創太 串岡紗樹 
鈴木良太郎 住川七星 寺上紗生 中原泰尚 藤原なつみ
藤原芳葵

トロンボーン
井上友里愛 上綱音々 越智亮太朗 加藤寛之 賀谷梨菜子
高岡愛里 中丸敏樹 中本祐希 藤田栞那 頼近恭典

バストロンボーン
谷川雄亮 松元岳

チューバ
桑村和寿 高木里奈

打楽器
秋村政希 安部柚希 岩﨑透子 川上愛 川崎友仁
橘高快周 櫻井彩結 柴崎楓歌 林いずみ 山藤滉己
渡辺詩織


Special thanks(特別協力)

ヴァイオリン
久保川玲子 白井朝香 山田聖華 横田詠美

ヴィオラ
岸野有加利 十河泰成 西原知加子 林賀子 吉海めぐみ

チェロ
脇中弓子

コントラバス
守谷みさき 吉田有音

トランペット
横田健徳

ピアノ
鹿取裕美子

チェレスタ
鹿取裕美子

ハープ
高橋智代

朗読
松井一實

練習指揮
鈴木恵里奈

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