今回ご紹介するのは「凸凹デイズ」(著:山田幸久)です。
-----内容-----
凪海(なみ)はたった三人のデザイン事務所「凹組」で働く新米デザイナー。
事務所はボロアパートにある一部屋だけ。
そんな弱小デザイン事務所「凹組」に、事務所始まって以来のチャンスが舞い込んだ。
老舗遊園地のリニューアルデザインのコンペ―ところが経営陣の思いつきで事態は意外な方向へ。
人生、うまくいかないのが当たり前。
キュートでコミカル、ちょっと切ないオシゴト系小説。
-----感想-----
本屋で文庫本のコーナーを見ていたら、この作品が目につきました。
観覧車の絵が使われていた装丁からは、読みやすそうな雰囲気が出ていました。
裏返して内容紹介文を読んでみると、「解説・三浦しをん」とあり、オッと思いました。
ここで三浦しをんさんの名前を見るとは意外でした。
俄然興味を引かれたので、そのまま購入することにしました。
読んでみると、文章が等身大で取っ付きやすかったです。
「やばい。雨だ。」という文から始まる物語は、コミカルな青春ドラマのような展開を予感させます。
デザイナー業界が舞台ということで、華やかな世界をイメージしましたが、凹組の三人は親しみの持てる感じがして良かったです。
事務所始まって以来のチャンスは、それを機に一気に凹組が駆け上がっていくのかと思いました。
ところがこの遊園地のリニューアルデザインの仕事に、思わぬ人物がからんできて、すんなりとチャンスをものに出来そうにはありません。
物語は大きく5つに分かれていて、一段落目、三段落目、五段落目は凪海の視点で描かれています。
そして二段落目と四段落目、これは大滝という凹組のリーダーの視点で描かれています。
こちらの話は、10年前が舞台です。
凹組の今と10年前が、凪と大滝という二人の若きデザイナーの視点によって交互に展開されていきます。
10年前の凹組には大滝と黒川の男二人と、醐宮という女がいました。
黒川はいつも着物を着ている体重百キロの大柄な男で、醐宮は容姿端麗で活発、そしてやや毒舌といった感じです。
そして現在の凹組は大滝、黒川、凪海の三人なので、醐宮がいなくなっています。
この醐宮を巡る話が、なかなか奥深いものがありました。
醐宮は現在の話にも出てきますが、10年前からは大幅に変わっていました。
とあるデザイン会社の女社長として活発に活動していました。
醐宮が凹組を離れた経緯については、まったくひどい奴だ…と思うところがありますが、作品の雰囲気が柔らかいからか、暗い感じはしませんでした。
本当にこの作品は最初から最後までさわやかさがあって、とても読みやすかったです。
凪海の年齢が22歳で、10年前の大滝たちも22歳なので、どちらの物語もさわやかな若々しさを感じました。
現在の話で凪海に色々と言っている大滝も、10年前は同じような感じだったのだなと思うと、よく見る先輩と後輩の間柄のような気がしました。
二つの物語は色々とリンクしていて、なるほどあの人物はこちらに移ったのか。。。といったような発見もありました。
10年前も今も変わらずに営業している居酒屋があって、凪海にそっと「この人は昔から酔うと大変だよ」的な助言をしてくれたりもしました。
こういうちょっとしたリンクも、二つの物語をつなげる架け橋になっていたと思います。
客先では、こんな一幕もありました。
「オウグミさんのデザイン、見せてもらおうかな」
「ボコグミって読むんです、それ」
名前が変わっているだけに、読み間違いも多いのかも知れません。
たしかに凹組とあったら、オウグミと読む人も多いと思います。
派手さはないものの、とても楽しく読める、そんな感じの小説でした。
これから迎える春の季節にも合っていると思うので、興味を持たれた方は読んでみてください![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_blue.gif)
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-----内容-----
凪海(なみ)はたった三人のデザイン事務所「凹組」で働く新米デザイナー。
事務所はボロアパートにある一部屋だけ。
そんな弱小デザイン事務所「凹組」に、事務所始まって以来のチャンスが舞い込んだ。
老舗遊園地のリニューアルデザインのコンペ―ところが経営陣の思いつきで事態は意外な方向へ。
人生、うまくいかないのが当たり前。
キュートでコミカル、ちょっと切ないオシゴト系小説。
-----感想-----
本屋で文庫本のコーナーを見ていたら、この作品が目につきました。
観覧車の絵が使われていた装丁からは、読みやすそうな雰囲気が出ていました。
裏返して内容紹介文を読んでみると、「解説・三浦しをん」とあり、オッと思いました。
ここで三浦しをんさんの名前を見るとは意外でした。
俄然興味を引かれたので、そのまま購入することにしました。
読んでみると、文章が等身大で取っ付きやすかったです。
「やばい。雨だ。」という文から始まる物語は、コミカルな青春ドラマのような展開を予感させます。
デザイナー業界が舞台ということで、華やかな世界をイメージしましたが、凹組の三人は親しみの持てる感じがして良かったです。
事務所始まって以来のチャンスは、それを機に一気に凹組が駆け上がっていくのかと思いました。
ところがこの遊園地のリニューアルデザインの仕事に、思わぬ人物がからんできて、すんなりとチャンスをものに出来そうにはありません。
物語は大きく5つに分かれていて、一段落目、三段落目、五段落目は凪海の視点で描かれています。
そして二段落目と四段落目、これは大滝という凹組のリーダーの視点で描かれています。
こちらの話は、10年前が舞台です。
凹組の今と10年前が、凪と大滝という二人の若きデザイナーの視点によって交互に展開されていきます。
10年前の凹組には大滝と黒川の男二人と、醐宮という女がいました。
黒川はいつも着物を着ている体重百キロの大柄な男で、醐宮は容姿端麗で活発、そしてやや毒舌といった感じです。
そして現在の凹組は大滝、黒川、凪海の三人なので、醐宮がいなくなっています。
この醐宮を巡る話が、なかなか奥深いものがありました。
醐宮は現在の話にも出てきますが、10年前からは大幅に変わっていました。
とあるデザイン会社の女社長として活発に活動していました。
醐宮が凹組を離れた経緯については、まったくひどい奴だ…と思うところがありますが、作品の雰囲気が柔らかいからか、暗い感じはしませんでした。
本当にこの作品は最初から最後までさわやかさがあって、とても読みやすかったです。
凪海の年齢が22歳で、10年前の大滝たちも22歳なので、どちらの物語もさわやかな若々しさを感じました。
現在の話で凪海に色々と言っている大滝も、10年前は同じような感じだったのだなと思うと、よく見る先輩と後輩の間柄のような気がしました。
二つの物語は色々とリンクしていて、なるほどあの人物はこちらに移ったのか。。。といったような発見もありました。
10年前も今も変わらずに営業している居酒屋があって、凪海にそっと「この人は昔から酔うと大変だよ」的な助言をしてくれたりもしました。
こういうちょっとしたリンクも、二つの物語をつなげる架け橋になっていたと思います。
客先では、こんな一幕もありました。
「オウグミさんのデザイン、見せてもらおうかな」
「ボコグミって読むんです、それ」
名前が変わっているだけに、読み間違いも多いのかも知れません。
たしかに凹組とあったら、オウグミと読む人も多いと思います。
派手さはないものの、とても楽しく読める、そんな感じの小説でした。
これから迎える春の季節にも合っていると思うので、興味を持たれた方は読んでみてください
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