読書日和

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「22歳、季節がひとつ過ぎてゆく」唯川恵

2009-03-07 13:38:56 | 小説
今回ご紹介するのは「22歳、季節がひとつ過ぎてゆく」(著:唯川恵)です。

-----内容-----
征子、早穂、絵里子は、生まれも育ちも性格も違うけれど、気が合う親友同士。
征子はインテリアデザイナー、早穂は公務員を目指し、社長令嬢の絵里子は婚約を決めた。
だが征子は、アルバイト先で絵里子の婚約者、本城に偶然出会い、彼の隠された恋を知ってしまう。
そして絵里子と早穂も、それぞれに秘密を抱えていて―。
恋と友情の間で揺れながら、新たな季節を迎える三人の物語。

-----感想-----
各人物について、特徴を現す描写がないのが印象的でした。
人物の初登場シーンでは髪型や顔立ちなど、それとなく描写されることが多いのですが、この作品ではなかったです。
しかしそれぞれの人物の輪郭は何となく思い浮かんでくる、そんな作品でした。
どの人物も描写がないところを見ると、意図してそうしているのではと思います。
どんな感じの外見なのかは、読者の想像にまかせるということなのかも知れませんね。

主要な登場人物は以下の女子三人です。

征子…早くに両親を亡くし、叔母に育てられた。少し気が強く、一本気。
早穂…普通のサラリーマンの家庭に育つ。おとなしくて真面目だが、芯の強さがある。
絵里子…大企業の社長令嬢。わがままで奔放だが、育ちのよさからくる明るさからか、なぜか憎めない性格。

物語は征子の視点で描かれています。
征子は少し直情的なところがあって、相手と口論になることがよくありました。
この征子を中心に、早穂と絵里子との友人関係や、征子の恋人である広基との関係などが描かれていました。
イメージ的には三浦しをんさんの「秘密の花園」と似たところがあると思いました。

この作品は内容がとても軽くて、かなりテンポよく読めました
他の作家さんと比較すると、例えば伊坂幸太郎さんの作品もテンポは良いが、物語の作りはとても重厚なものになっています。
しかしこの作品は物語の作りも非常に軽くて、テンポと物語の作り、両方に素軽さがありました。

後半、文章の軽さはそのままに、内容に重みが出てきました。
この一気に物語の雰囲気が変わっていく場面は、上手いなと思います。
それぞれの揺れる気持ち、葛藤などが描かれていました。
文章の軽さがそのままということは、展開の予想もしやすいということです。
なので、「きっとこれはあの人がやったのだろう…」といった感じである程度予想しながら読んでいきました。

私自身、22歳はこだわりを持っていた年齢なので、興味深く読みました。
この作品を手にとったのもタイトルの「22歳」が気になったからです。
普段あまり読まないタイプの、恋愛ドラマ風な物語だったと思います。
最近は重厚な内容の作品を読むことも多かったので、たまにはこういった作品も良いものだと思いました


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コメント (2)
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