読書日和

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「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子

2009-03-27 23:45:33 | 小説
ここ数日東京マラソンやWBCでややテンションの高めな記事になっていましたが、本日は小説レビューということで淡々とお送りします。
今回ご紹介するのは「ジョゼと虎と魚たち」(著:田辺聖子)です。

-----内容&感想-----
田辺聖子さんの本は初めて読みました。
この作品は、恋愛の短編集でした。
どの作品も大阪が舞台で、会話もコテコテの大阪弁でした^^
本格的な大阪弁が使われていて、普段読む小説は標準語がほとんどなので、若干読みずらさがあったりもしました。
これはなかなか印象に残りました。
普段読む小説にも大阪弁の人は登場しますが、メインは標準語のものが多いです。
それに対してこの作品は一貫して大阪弁になっていました。
田辺聖子さんが大阪出身だからかなと思います。

どの短編も読み応えがありました。
文章はシンプルなのですが、感情表現が上手いなと思います。
例えば、とある男女の会話で、

「手紙なんか書いた?」といいながら、あぐりは実はおぼえている。

という場面がありました。
知っていて素知らぬ風を装うという、なかなかの駆け引き技ですね
文章がストレートなのでわかりやすかったです。
こんな感じでシンプルに書くのが、田辺聖子さんのスタイルなのだと思います。
「○○と言いながら、実は△△と思っている」という感じの表現が何度か出てきました。
このあたりの文章はかなりわかりやすく、その人物が何を考えているかをシンプルに表していました。
微妙な気持ちの揺れや思惑を表すには、この方法はけっこう良いのではと思いました。

また、時代背景の差もあるのかなと思いました。
文庫本が出たのが昭和62年とあるので、単行本はそれより何年か前に出ているはずです。
書き方に昭和の雰囲気を感じました。
この時代は本作のような書き方が主流だったのかも知れませんね。
文章はやや古風なイメージを持ちましたが、内容は現在の小説と比べても全く負けていないと思います。
今まで読んだことはなかったですが、田辺聖子さんという名前は知っていました。
かなり偉大な作家さんだと思います。
また機会があれば、他の作品も読んでみようと思います


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コメント (4)
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