(ラプソディー・イン・ブルーを演奏する左からフルート九鬼みつ実さん、ピアノ水野恵さん、テューバ山村漱さん、オーボエ村上立樹さん、クラリネット大木勇磨さん)
3月23日、広島県広島市の東区民文化センター小ホールで行われた「音大生支援協会スペシャルコンサート 第6回 広島公演」を聴きに行きました。
このコンサートは「一般社団法人音大生支援協会」により企画され、協会のメインの活動は「音大生の応援をすること」とのことです。
特に2020年から新型コロナウイルスの脅威によってたくさんのコンサートが中止になり、現在もコロナ前と同じようにコンサートを開催するのはなかなか難しい状況が続いているので、音大生の活動を支援する存在は非常に意義があるのではと思います。
全国様々な場所でコンサートを企画していて、今回の広島公演では初めて高校生にも出演を頼んだとのことで、若い人達にとっても演奏のステージに立てる貴重な経験になるかと思います
第1部 広島県立熊野高等学校ステージ(伴奏:堀江麻紀)
高校生のステージとのことで、どういったものになるのか興味深かったです。
調べてみると熊野高等学校には吹奏楽部があり、実力も高いようです。
登場した5人全員お客さんを前に堂々と演奏を披露し、まだ高校1~2年生と思われる年齢で凄いなと思いました。
1. トロンボーン 蔵本彩華 有名なアリア/E.パウデルト
(蔵本彩華さん演奏中)
伸びやかで明るく雄大な音色で演奏していて、ピアノの独奏を機に曲調が変わり、トロンボーンがとても明るくコミカルな雰囲気になりました。
2. トランペット 山本咲季 ゲール組曲より 1.行進曲/B.フィッツジェラル
(山本咲季さん演奏中)
誇り高い音色で演奏されて行き、気高さがありました。
3. トロンボーン 堂々未來 ソナタ へ長調より第1楽章/B.マルチェッロ
(堂々未來さん演奏中)
ゆったりとしつつ雄大な音色で、少しもの悲しさも感じました。
4. ホルン 矢田邊莉歩 ホルンとピアノのためのアンダンテ ハ長調/R.シュトラウス
(矢田邊莉歩さん演奏中)
伸びやかで安らぐ音色で、ゆったりな高音が多く気持ちも安らぎました。
5. ピアノ 正長もも バラード 第1番 Op.23/ショパン
(正長ももさん演奏中)
最初はややミステリアスな曲だなという印象を持ちました。
やがてスピードが上がり、流れるように、そして軽やかに演奏していて、上手いなと思いました。
第2部 音大生ステージ
第二部は広島市にあるエリザベト音楽大学の学生さん達によるステージです。
私は出演者の1人、エレクトーン奏者明神あみさんのツイッターでの告知がきっかけでコンサートのことを知りました。
同大学の学生さん達によるコンサートも、コロナ前に比べて聴ける機会が大きく減りましたが、こうして聴くことが出来て嬉しく思います
1. ディヴェルティメント M.アーノルド
(左からフルート九鬼みつ実さん、クラリネット大木勇磨さん、オーボエ村上立樹さん)
6つの楽章で構成された曲で、管楽器の3人で演奏して行きました。
1楽章は颯爽と吹いて行き、最後は唐突に終わりました。
2楽章はやや不穏でミステリアスな雰囲気でした。
3楽章はクラリネットのコミカルで速い演奏で始まり、終わりもクラリネットのコミカルで踊っているような演奏で幕を閉じ、クラリネットの活躍が目立ちました。
4楽章はゆったりとミステリアスに始まり、オーボエが目立っていました。
その音色の所々にフルートが「ふし」を付けていて、付ける時の息の合わせ方がピタリと寄り添っていて上手いなと思いました。
5楽章は3人でとても賑やかな演奏をして行きました。
6楽章はフルートがクラリネットとオーボエを牽引し、例えば「ソファミレド」のように
、一音ずつ下げて行く演奏が上手いなと思いました。
(九鬼みつ実さんトーク中)
演奏と演奏の合間には、演奏者達によるトークもありました。
2. オルダナーセグ O.ボーツヴィック
(左からピアノ水野恵さん、テューバ山村漱さん、エレクトーン明神あみさん)
(水野恵さん演奏中)
(明神あみさん演奏中)
(3人で演奏中)
オルダナーセグはノルウェー人がよく使う言葉で「大丈夫」「何とかなる」という意味です。
ピアノでゆったりと始まり、テューバが入った時が非常に印象的で、ゆったりとした低音で気持ちが安らぎました。
エレクトーンも入り、とても優雅な雰囲気で良いなと思いました
3人でとても安らぐ音色を演奏して行きました。
ピアノとエレクトーンが両方同時に登場する編成は珍しく、見かけたのは
新感覚音楽ユニットHiKaRiのコンサート以来です。
3. ヴァイオリンソナタ第1番 op.78 ト長調 第1楽章 J.ブラームス
(演奏前の音合わせの様子)
(左からヴァイオリン森脇恵厘花さん、ピアノ水野恵さん演奏中)
この曲は「雨の歌」とも呼ばれています。
明るく安らぐ雰囲気で始まりました。
ヴァイオリンのピッチカート(指で弦をポロンポロンと弾く演奏)が続く場面があり、水にたゆたうような穏やかでしっとりとした雰囲気で上手いなと思いました。
ヴァイオリンによる主題(クラシック音楽でその曲や楽章の中心となる音色)の演奏が良く、どこかもの悲しさも感じました。
ピアノの演奏も上手く、水が弾けるような瑞々しい響きになっていました。
4. テューバ協奏曲 V.ウィリアムズ
(左からテューバ山村漱さん、エレクトーン明神あみさん)
(2人で演奏中)
(山村漱さん演奏中)
格好良い雰囲気で始まります。
テューバ協奏曲のオーケストラ役として演奏したエレクトーンが格好良く、ドラマチックな音色でした。
エレクトーンは数百種類もの音を出せるので、こういった協奏曲の演奏でも活躍出来るようです。
テューバも格好良く、2人でとてもドラマチックになります。
戦いに臨むような勇ましさも感じました
5. ラプソディー・イン・ブルー G.ガーシュウィン
(左からフルート九鬼みつ実さん、ピアノ水野恵さん、テューバ山村漱さん、オーボエ村上立樹さん、クラリネット大木勇磨さん)
クラリネットの独奏で始まり、コミカルで上手かったです。
そこからフルート、ピアノ、テューバ、オーボエそれぞれの楽器も目立つ場面がありどれも上手かったです。
フルートは爆発するかのような場面があり迫力がありました。
全体でゆったりとしたメロディになった時、オーボエだけ少し弾けたメロディになっていて上手いなと思いました。
終盤、「タタタ タタタタ タタタタタタタ!」のリズムの有名メロディをピアノが力強く演奏すると、そこをフルート、テューバ、オーボエ、クラリネットが激しい演奏で支え、とても盛り上がりました
第一部の高校生ステージ、第二部の音大生ステージ、ともに楽しませて頂きました。
今年も新型コロナウイルスの影響を受け、年初からしばらくの間コンサートの中止が相次いでいて、演奏をする人にとって演奏を披露する場がなくなってしまうのは遣る瀬ない思いがあるかと思います。
そんな中、演奏する場を作ってくれて学生さん達を助けてくれる存在は、学生さんのコンサートにもよく足を運ぶ私のような者にとっても嬉しい存在です。
間もなく新たな年度を迎え、学年の上がるこの日出演された皆さんそれぞれ、新年度はぜひ演奏を披露する場に恵まれることを祈ります
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演奏者プロフィール
ヴァイオリン 森脇恵厘花
山口県在住。
第74回全日本学生音楽コンクール北九州大会ヴァイオリン部門高校の部 第2位。
第21回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H エスポアール賞。
第9回Kアンリミテッド音楽コンクール 優秀賞。
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第61回広島にて広島交響楽団と共演。
AICJ中学・高等学校を経て、アーティスト21特別入学生としてエリザベト音楽大学に入学(高校2年修了飛び入学)。
現在2年次在学中。
これまでにヴァイオリンを、故中嶋美子、篠崎永育、細野京子、村元まり子、甲斐摩耶各氏に師事。
ヴィオラを田中茜氏に師事。
フルート 九鬼みつ実
9歳よりフルートを始める。
広島皆実高等学校を卒業。
第22回”万里の長城杯”国際音楽コンクールアンサンブル部門にてフルート三重奏で第4位受賞。
第22回大阪国際音楽コンクール管楽器部門Age-U入選。
エリザベト音楽大学の特待生制度であるザビエル奨学賞を2019年度、2020年度受賞。
現在3年次在学中。
これまでにフルートを宮本美佐穂、甲斐雅之に師事。
クラリネット 大木勇磨
山口県下松市出身。
12歳よりクラリネットを始める。
山口県立防府西高等学校を卒業後、エリザベト音楽大学音楽学部演奏学科3年次在学中。
広島を中心にソロ・アンサンブルなど幅広く演奏活動を実施している。
大植英次氏プロデュースの威風堂々クラシックスペシャルコンサート出演。
これまでにクラリネットを堀川千景、橋本眞介に師事。
オーボエ 村上立樹
広島県広島市出身。
12歳からオーボエを始める。
広島国際学院高等学校を経て、エリザベト音楽大学にソリスト奨学生として入学。
現在1学年に在学中。
第25回KOBE国際音楽コンクール B部門 優秀賞受賞。
オンラインユース音楽コンクール 木管楽器の部 最優秀賞受賞。
これまでにオーボエを、齋藤陽子、板谷由起子の各氏に師事。
テューバ 山村漱
山口県防府市出身。
11歳こらテューバを始める。
山口県立防府西高等学校を卒業後、エリザベト音楽大学音楽学部演奏学科3年在学中。
広島を中心にレッスンや演奏活動など積極的に行っている。
これまでにRojer Bobo、外囿祥一郎、船越道郎、各氏のマスタークラスを受講。
テューバを鈴木浩二氏に師事。
ピアノ 水野恵
2000年生まれ、5歳からピアノを始める。
広島県立海田高等学校を経て2019年エリザベト音楽大学に特別奨学生(学費全額免除)にて入学。
ピティナピアノコンペティション全国大会C級 銅賞、D級 ベスト賞、連弾中級B、F級において入賞。
JPTAピアノオーディション全国大会 B部門最優秀賞、全国優秀者演奏会出演。
C部門にてヤンイラチェック・フォン・アルニン氏の公開レッスン受講。
2014年ポーランド・シレジア・フィルハーモニー管弦楽団とコンチェルト共演。
2019年ドイツ ハンブルグにてクラングアカデミーを受講。
2020年第79回エリザベト音楽大学定期演奏会においてピアノコンチェルトを共演。
2019年、2020年ザビエル奨学賞受賞。
これまでにピアノを加藤理子、宮入響子、宮入友子、久保千尋、横山幸雄の各氏に師事。
現在3年在学中。
エレクトーン 明神あみ
2000年生まれ。
山口県山口市出身。
4歳からエレクトーン、6歳から作曲を始める。
エリザベト音楽大学音楽文化学科エレクトーン専攻に特待生で入学。
現在3年在学中。
YECソロ部門予選や西中国大会で多くの金賞を受賞し、大阪ファイナルに出場。
第1、2回山口県学生コンクール金賞受賞。
第12回徳島音楽コンクール電子楽器部門最優秀賞、全部門審査員特別賞受賞。
現在、エレクトーンや作曲のコンクールに出場しながら、オペラやミュージカルの編曲・伴奏、色々な施設での訪問演奏など、幅広く活動を行っている。
これまでに、藤田美加、新井田聡子、堀井知珠、松内愛、小林淑子、岡川玲子、川上統の各氏に師事。
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明神あみさん、九鬼みつ実さん登場の演奏会
「IZAYOI ~古城を照らして~ -川上統門下作曲作品発表会より-」
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