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エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会

2020-10-22 18:36:55 | コンサート、演奏会


(卒業演奏会でチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲第1楽章を演奏する浦川莉緒さん。)

3月8日、広島県広島市にあるエリザベト音楽大学の卒業演奏会を聴きに行きました。
コロナウイルスの影響で何もかもが自粛になる前に聴くことが出来た、最後の演奏会でもありました。
卒業演奏会は音楽を学ぶ学校ならではの演奏会で、事前の審査で優秀な成績を修めた人だけが立つことが出来る舞台です。
これまで学んできたことの集大成を学生の代表として見せる場でもあり、昨年に続いて門出の素敵な演奏会を聴きに行ってみました




卒業演奏会は大学内にある「セシリアホール」で行われます。
写真は以前撮ったもので、これまでに何度もセシリアホールで演奏会を聴かせて頂きました。





1.声楽専攻(ソプラノ)の徳弘梓弓さんと、ピアノ伴奏の元迫洋さん。

シュトラウス:万霊節(Allerseelen)
木下牧子:おんがく
小林秀雄:すてきな春に




徳弘梓弓さんは2018年5月、世界平和記念聖堂に写真を撮りに行った時に遭遇したエリザベト音楽大学の大学祭で貰ったパンフレットに学生会長として名前が載っていたのを覚えています。
その人が卒業演奏会に登場したのを見て歌の実力も凄い人だったのだなと思いながら、当時のパンフレットが頭の中に思い出されました。
「この人はあの時の…!!」という場面に出くわすと気持ちが盛り上がります

1曲目「万霊節」を神聖な雰囲気でゆったりと歌い、さすがにソプラノという高い声が印象的でした。
2曲目「おんがく」は同じくゆったりでも今度は力強く歌い、この2曲目が凄く上手く感じ、良い声の人だなと思いました。
3曲目「すてきな春に」はどこかで聴いたことがあるなと感じ、颯爽とした歌い出しと声の力強さが印象的でした。





2.管弦打楽器専攻(ヴァイオリン)の浦川莉緒さんと、ピアノ伴奏の中島詩織さん。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 二長調 作品35より 第1楽章




私は浦川莉緒さんが出演するのを期待して2019年度卒業演奏会に足を運びました。
事前に誰が出演するのか分かっていませんでしたが、何度も演奏会で演奏を聴いてとても上手い人だと分かっていたので、必ず出演すると思いました。
貰ったパンフレットに名前があるのを見た時は「やはり」という気持ちになり、来て良かったと思いました

まさか私の好きな曲でもあるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(オーケストラと一緒に演奏する曲)が聴けるとは思っていなくて驚きました。
ピアノは「一台でオーケストラに匹敵する」と言われるほど出せる音が豊富にあるので、オーケストラの代わりとして伴奏を務めることが出来ます。
ヴァイオリンとピアノでの演奏用に曲は短めにアレンジしていて、冒頭ヴァイオリンの演奏前にピアノの演奏が始まる時、浦川莉緒さんが体をゆったりと揺らしながらリズムを取っていたのが印象的で、大舞台でも落ち着いていて流石と思いました。
演奏はやはり上手く、卒業演奏会の厳粛な雰囲気の中で華麗な音色を楽しませてもらいました





3.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の田代萌水さん。

ラフマニノフ:楽興の時 作品16より 第5曲、第6曲




ラフマニノフはピアノ協奏曲第2番と第3番が特に有名ですが、これまで聴いてきた演奏会ではピアノ単独での曲が演奏されることもありました。
「楽興の時 第5曲」はゆったりと始まり安らぐ音色で、「第6曲」は対照的に力強く迫力のある音色で緊迫感もありました。
好対照な演奏が印象的で、それぞれの表現を楽しませてもらいました。





4.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の岡崎清香さん。

シューマン:謝肉祭 作品9




聴いていた限りでは、一つの演奏を終えて次の演奏を始めるのに間を空けた回数が12回もありました。
そしてそれぞれの演奏ごとにスピーディーになったりゆったりしたりと変化が印象的でした。
派手な雰囲気やミステリアスな雰囲気、明るい雰囲気、軽やかな雰囲気、安らぐ雰囲気になったりもして、めまぐるしく様々な音色が姿を現しました。
六つ目の演奏の時、速いスピードでの「タンタンタン タタタン!」というリズムの演奏が良いと思いました。
かなり上手いと感じ、またどこかの演奏会でこの曲を演奏してほしいなと思いました





5.管弦打楽器専攻(クラリネット)の谷口里菜さんと、ピアノ伴奏の末政優衣さん。

バッシ:ヴェルディの《リゴレット》によるコンサートファンタジア




この人もかなり上手いと思いました。
ややミステリアスに始まり、そこからややコミカルな演奏になりました。
音の伸びが良く、躍動感が凄かったです
クラリネットの独奏があり、音をピョロロロローと唸らせるのが上手かったです。
最後もかなり良く、スピードも凄くて盛り上がりました。





6.鍵盤楽器専攻(オルガン)の菅原菜穂子さん。

レーガー:《神はわがやぐら》によるコラール幻想曲 作品27




(演奏時の全景。銀色の小さな煙突のように見えるのは全てパイプオルガンの「パイプ」です。)



神聖な雰囲気で始まり、一気に音が力強くなる場面がありました。
神の祝福のような音色だと思いました。
聴いていてパイプオルガンは柔らかい音が四方八方に広がっていくイメージがあるなと思い、その音が心に染み入って来ます。





7.声楽専攻(ソプラノ)の龍緋花里さんと、ピアノ伴奏の中島詩織さん。

ロッシーニ:フィレンツェの花売り娘
ベッリーニ:オペラ《清教徒》より〈あなたの優しい声が…来てください、愛しい人〉

「フィレンツェの花売り娘」は明るい曲で、声にも明るさがありました。
終盤にソロ演奏があり、凄く大きな声でそれでいて華やかだと思いました。
「オペラ《清教徒》より〈あなたの優しい声が…来てください、愛しい人〉」はやや控えめな雰囲気の曲でした。
最後が盛り上がり、大声量になっていながら踊っているようでもあり、大声量でも華やかさや踊っているような雰囲気をはっきり出せるのはこの方の強みな気がしました。





8.管弦打楽器専攻(サクソフォーン)の廣本穂乃さんと、ピアノ伴奏の小林知世さん。

トマジ:サクソフォーン協奏曲

廣本穂乃さんの演奏は他の演奏会で聴いたことがあり、上手い人なのが分かっていました。
ゆったりした雰囲気で演奏が始まり、ややミステリアスになってから力強くなりました。
高音の伸びがとても良く、やがてかなり激しい雰囲気になって行きました。
ミステリアスさと力強さが交代で現れる場面の演奏が良いなと思い、終わりが近づくとスピードと迫力が出てかなり良かったです。





9.鍵盤楽器専攻(ピアノ)の加々見祐典さん。

ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36(1931年版)



加々見祐典さんの演奏も他の演奏会で聴いたことがあり、やはり上手い人なのが分かっていました。
ショッキングな雰囲気で演奏が始まり、そこからスピードが出て音色も華やかでした。
とても上手いと感じ、そして作品世界に深く入り込む演奏者でもあるなと思いました。
そこからは一瞬途切れてまた始まってを繰り返す独特な曲調になりました。
その間、盛り上がったりゆったりとした雰囲気になったり、最後の方では力強くもなり、様々な雰囲気を楽しませてもらいました。



10.卒業生合唱(コロナウイルスの影響で中止)

松下耕:きょうこそ神がつくられた日(詩編 118編) オルガン:中川千慧
イェイロ:Ubi caritas
松下耕(詩:山崎佳代子):出発  ピアノ:室川桃子 指揮:寺沢希

昨年の卒業演奏会では聴けた卒業生合唱が、今年はコロナウイルスの影響で中止になりました。
卒業生全員がステージに上がっての合唱になるので、三密を回避するにはやむを得ないと思いますが、卒業生にとっては無念だったと思います。
一日も早く特効薬ができ、コロナウイルスに演奏会を妨害されることがなくなってほしいと思います。



卒業して演奏家の道を突き進む人も居れば、音楽関係の会社に行く人も居たり、あるいは別の業種に行く人も居ます。
全ての学生にこれまで学んできたこととこれからへの思いがあり、卒業演奏会は門出への一つの区切りになると思います。
この舞台に立った人が学生達の代表として渾身の演奏をするのはもちろん、この舞台に立てなかった人も、その演奏から感じ取るものがあるのではと思います。
学生の演奏会の中でもやはり卒業演奏会は特別な印象があり、神聖な雰囲気の中で行われる素敵な演奏会をぜひまた聴きに行きたいです



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