あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 尺取り虫方式瀬戸内横断(3)_無事に瀬戸大橋越え、笠岡~紗美~児島

2014年05月25日 | 旅するシーカヤック
2014年5月24日(土) クルーソー460_旅するシーカヤックスペシャルを使い、地元呉から兵庫県の的形海水浴場を目指す、尺取り虫方式での瀬戸内横断旅の第3弾。
今回は、前回舟をあげた笠岡の神島外港から出発である。 一泊二日で、瀬戸大橋越えが今回のゴールイメージ。

水曜日から金曜日まで横浜に出張で、金曜日の夜は23時過ぎに家に戻ってきたので、いつものように早起きする自信がなく、今回は笠岡外港までクルマで移動する事にした。
朝6時半に家を出て、高速道路を走ると2時間ほどで出艇地に到着。 『こりゃあ便利だなあ』
前回舟をあげた浜の前でクルーソー460を組み立て、荷物をパッキングし、1時間後には出発準備が完了した。

同じ行きっ放しの旅でも、出艇地までクルマでアクセスできるとロジスティクスが大分楽である。

家からは水をタップリ、そして途中のコンビニで仕入れた飲み物や行動食、昼ご飯やいざというときのための軽めの晩ご飯などなど多くの荷物がクルマで出艇地まで楽々運べるのである。
これが公共交通機関でのアクセスだと、出艇地あるいは途中、十数リットルの水をどこで手に入れるかが一番の問題になるし、多くの食料を持って歩くのは難しいので最低限の非常食だけに限られる。

今回は事前の調査の結果、宿泊予定の浜の近くにあまり店がなさそうだと分かっているので、食料品が多く運べたのは助かった。

***

穏やかな瀬戸内海に、9時半に漕ぎだした。

目指すはひたすら東。


快調に漕ぎ進むと、三つ子の小さな島が見えてきた。

小さな浜を見つけ、そっと上陸。

どうやらここは、『三郎島』というらしい。

なかなか良い雰囲気の小島である。

再び漕ぎだし、東へ。

この辺りの海はこんな感じ。
いかに普段漕いでいるエリアの海が美しいかを再認識する。

***

漕ぎ始めてから3時間。
予定していた宿泊予定地に到着した。

紗美東。

テントを張り、昼ご飯を食べようとコンクリートの上に座ると、犬を連れたおじいさんが歩いてこられた。
『こんにちは』
挨拶をすると、『ああ、どこから来られた?』
『はい。 今日は笠岡から漕いできたんです。 神島から漕いできて、3時間かかりました』
『え、舟で来たんか?』 『はい、あそこにある青いやつです』

そこからしばし四方山話。

『この辺りには店や食堂はありませんか?』 『ああ、昔はあったんじゃが、今はもう店ものうなったよ』
いやあ、いざという時のために最低限の弁当を買っておいてよかったなあ。

『毎日1時を過ぎると、犬の散歩に来るんよ。 あっちに煙突がみえるじゃろう。 あそこで66歳まで働きよった』
『昔は、クルマで通えるのは偉い人だけ。 工員のわしらは単車で通勤よ』
『あの頃は、どぶろくが安かった。 会社の近くで、毎日どんぶりでどぶろくを飲んでから家に帰るのが楽しみじゃったよ』
『どんどん、どんどん、自動化が進んで、人が減っていった時代じゃったなあ。 あまり頭はようないけど、自動化に対応するために勉強しに行け言われて、よう研修を受けに行きよったなあ』

『この辺りは、昔は別荘地じゃった』 『なるほど、さっき少し歩いた時、しっかりした門構えの家が多いなあと思っていたんですよ』
『そうそう、医者や金持ちの別荘地じゃった』
『昔は松が生えていて、浜には葦が多くて、今とはぜんぜん違う眺めじゃったなあ』 『へえ、白砂青松ですね』
『じゃあここは人工の浜なんですか?』 『そうよ。 松は松食い虫の被害で枯れたし、昔は葦が生えとったから浜はだいぶ小さかったよ』
『その頃は、別荘もあったし、夏になると貸し切りバスがズラリと並んで、海水浴客で賑わっとったわ』
『なるほど。 昔は、海水浴くらいしか楽しみがなかったですもんね』

などなど、この辺りの昔話をたっぷりと聞かせていただいた。
『ありがとうございました。 じゃあ、ちょっと散歩に行ってきます』 『気をつけてな』

ペリカンケースを手に散歩していると、店がないと言われていたのだが酒屋さんを発見。

ビールと酎ハイ、つまみを購入して、再び散策を続ける。

保養所だったらしい古い家。

いかにも別荘地らしい古い建物の跡。

浜の先端には、唐船の見張り場があったと教えてもらった。

浜には、天気のよい休日を楽しむ人々が。

少し歩くと、お寺が。

緑が濃くて良い雰囲気。

なかなか感じの良いお寺さんである。

海旅の安全を祈願しておいた。

***


青空が広がる中、

酒屋で仕入れた、駄菓子をつまみにビールと焼酎をゴクリ。

5時過ぎ。 『あっ。 寝てたなあ!』
気がつくと、コンクリートの上で寝ていた自分に驚いて目が覚めた。 出張の疲れと、今日の漕ぎの疲れがでたのかなあ。

***

テントに入り、シュラフに潜り込み、グッスリと寝込む。

3時過ぎ。 バイクの爆音で目が覚める。
『ブロン、ブロン、ブロロロロロロン』とバイクの音。 『シュパーン。 シュパーン。 シュパパパパーン』とロケット花火の音。 大声で騒ぐ話し声。
いい迷惑である。

悪い予感はしていたのだが、海水浴場でキャンプするのは、やっぱやめようかな。 残念。

***

5時に起きだし、パンで簡単な朝食を済ませる。
シュラフを袋に納め、荷物をテントから放り出し、マットを畳み、一つ一つ片付けて行く。
出発準備完了。

今日は6時10分に漕ぎだした。
ゴールは、瀬戸大橋を越えたあたりの予定。 距離からすると、4時間ほどのツーリングになりそうだ。


***

朝日が昇り、少し曇りがちななか、東に向けて漕ぎ進む。

目指す方向には、工業地帯/コンビナートが見えてくる。

途中からの長い防波堤のところには、多くの遊漁船。

こんなコンビナートの近くで釣る魚を食べるのだろうか?

今回のルートで最後となる海峡横断。

目の前にある造船所まで、周囲をしっかり確認しながら安全第一の海峡横断である。

福山を越えてから見る事のなかった造船所が、ここにもあるんだなあ。

***

ここからは、瀬戸大橋に向けて漕ぎ進む。

空は晴れて快適なツーリング日和。

快調に漕ぎ進むと、瀬戸大橋が近づいてくる。

予定では追い潮のはずなのだが、まだ向かい潮が残る中、一漕ぎ一漕ぎ漕ぎ進む。

そうしてようやく瀬戸大橋へ。

ここは、瀬戸内横断のハイライトの一つ。

瀬戸大橋を越えると、尺取り虫方式での瀬戸内横断も、その行程の半分を超える事になることに加え、潮やルートによっては難所の一つなので、やはり感慨深いものがある。


ここを越えると、今日のゴール予定地である下電ホテル前の浜へ。

無事到着!

カヤックを引き揚げ、畳み、着替えて帰り支度。

せっかくなので、ホテルでお土産を購入し、タクシーを呼んでもらう。

ここからは、タクシーで児島駅へ。

『ジーンズの聖地』だとの事。

尺取り虫方式3回目で、ようやく一つの節目となる瀬戸大橋を越える事ができた。
これで、兵庫県の的形までの行程の約1/2。

やっぱり俺には、風の吹くまま気の向くまま、風来坊の気ままな一人旅がピッタリだ!
これからも、いつまでにどこそこに到着しないといけないなんて忙しない旅とは一線を画し、できるだけのんびりと、そしてまったりと、フォールディングカヤックらしい、そして俺らしい、尺取り虫方式の瀬戸内横断旅を楽しんで行こうと思っている。

『いやあ、今週も最高の週末だったなあ。 さて、来週はどこ行こう?』
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