あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 京都、宝塚、大阪_関西満喫ドライブ旅行(1)

2010年06月28日 | 旅するロードスター/アテンザ
2010年6月26日(土) この週末は、20歳と18歳の二人の息子達に留守を任せ、妻と二人で旅行へ。 今年に入ってから、萩&津和野、豊島に続き、3度目の一泊二日の旅となる。
***
土曜日の朝、3時前に家を出て、大雨の山陽自動車道を東へ走る。 兵庫辺りからは雨も小振りになり、8時過ぎに京都に到着。
ホテル近くの駐車場に車を泊め、仮チェックインをして、宿泊プランに入っているバスの1日乗車券を受け取る。 さあ、京都観光の始まりだ。

さっそくバスに乗り、叡山鉄道の出町柳駅へ。 今日最初の目的地は貴船。 叡山鉄道に乗るのだが、まだ予定時刻までたっぷり余裕がある。
『ちょっと近くを散歩してみようか。 どこか見るとこあるかなあ?』 駅を出て案内板を見ると、下鴨神社という世界遺産があるらしい。 『せっかくだから、行ってみよう』
***
雨の京都。 鴨川に架かる橋を渡り、下鴨神社の参道へ。 この参道がなんとも心地良い空間。
大きな木々に囲まれ、ひんやりと澄んだ空気の中、きれいな砂地の参道を、シャリリ、シャリリと音を立てて歩いて行く。 『うーん、この神社はちょっと違うぞ』
 
下鴨神社に参拝する。 雨のせいか、あるいはまだ朝早いからか、人影もまばらで静かな雰囲気。
 
参拝を済ませ、参道を戻る。 下鴨神社の杜を抜け、アスファルトの道路に出ると、いきなりモワーッとした湿度と温度の高い空気に包まれた。
あの参道とは、こんなに空気が違うんだ! いやあ、この神社はまさにパワースポット。 京都の旅、なかなか良い出だしじゃないか!
***
駅に戻り、叡山鉄道に乗り込む。
 
途中からは左右を木々に囲まれた中を進み、右手には清流も流れている。 うーん、これは錦川鉄道みたいだなあ。

貴船口駅で降り、迎えにきていたマイクロバスに乗り込んで、今日のお昼ご飯を食べるお店へ。 店に到着し、マイクロバスから降りるとき、出迎えの方が一言。
『申し訳ありません。 今日は雨なので、店内でお食事になります』 『えー、残念』と妻。

今回の旅にはいくつか目的があるのだが、その一つは貴船の『川床料理』 妻のリクエストであり、彼女はとても楽しみにしていたのだ。 今朝から降り続いている雨で、『まあ、今日はだめだろうなあ』と予想はしていたのだが、『もしかしたら屋根くらいあるかも』と淡い期待も寄せていた。
だが川床を見ると、屋根はなく日除けのスダレのみ。 これでは仕方ない。
***
食事までまだ時間があるので、近くの貴船神社へお参りに。

妻が、水占をやってみた。 水に浸けると字が浮き出してくるのだ。 旅行の項目を見ると、ついつい吹き出してしまった。
『雨ふれど吉』 顔を見合わせて苦笑い。 『今日の旅にピッタリじゃあないか。 川床はダメだったけど、きっと良いことがあるよ』
 
川床の並ぶ雰囲気の良い通りを歩いて登り、お店に戻る。
 
***
部屋に通され、席に着く。 うん、これはなかなか良い感じじゃないか。
 
まずはビールで乾杯。 雨の川床を眺めながら、ゆったりとした快適な空間で、予約していたコースの料理をゆっくりと楽しむ。
つき出し、刺身、焼き鮎、素麺、天婦羅、デザート。 満足、満足。 『ごちそうさまでした』
 
食事を終えると川床に降りてみた。 夏の夜、提灯の明かりに照らされ、川のせせらぎを聞きながら、この川床でビールをグビリと飲る情景を想像する。
うーん、いつかまた来たいものだ。

初めて訪れた京都の奥座敷、貴船の川床を、雰囲気だけだが味わうことができた。
***
叡山鉄道で京都市内に戻ると、空気が蒸し暑い。 こんなにも気温が違うんだ。
二年坂、産寧坂、八坂神社を回り、妻のリクエストであった『一澤帆布』へ。
 
妻はお気に入りのトートバッグを購入。
***
バスでホテルに戻り、シャワーを浴びて休憩すると、夕食の時間。
旅行に出る前に、ホテル近くの『おばんざい』のお店をネットで調べていたのだが、今朝、駐車場を探している時に偶然見つけたお店が気になり、急遽、ホテル近くにあるそのお店に行く事にした。

『菜旬処』 狭い路地に面した小さなお店である。 その雰囲気と立地は、どうみても観光客向けではないが、私の嗅覚が、そして直感が、この店に決めろと告げている。

ガラリと開けて、『こんにちは。 二人ですが、いいですか?』 すると奥からおばちゃんが出てきて、『ええ、どこでもどうぞ』

店内を見回して驚いた。 外見は食事処なのだが、中は普通の民家のままである。 『うーん、これはこれは。 なかなか、なかなか』

奥の座敷でも良いとの事だったので、座布団の上に陣取り、出していただいた扇風機の風を感じながら、手書きのメニューを眺める。

『ビール、もらえますか』 まずは乾杯。 『あー、今日は暑かったなあ』 グビリ、グビグビ 『うーん、美味い』

『あのう、外にセットって書いてあったんですけど、ありますか』 『ええ、ありますよ。 二品選んでもらって、ご飯とお味噌汁が付きます』
『じゃあ、それ二つと、煮込みハンバーグもらえますか』
 
運ばれてきた『おばんざい』を食べながらビールを飲み、ご飯を食べる。 これは良い雰囲気じゃあないか。

京都旅行に行く前に晩ご飯を相談していたとき、妻が『おばんざいはどう?』って言ったのだが、実は『おばんざい』ってどんな料理なのか知らなかった。

菜旬処で食事をしながら、iphone3GSで調べてみると、
『おばんざいとは京都の常の日のお惣菜のこと。 旬の素材、手近な食材を、手間をかけずに使い切る献立の数々。 日持ちがしない料理は、食べ残しの出ない分量だけ作り、あともの足りない分は作り置きの出来る常備菜でまかなう。 無駄なお金も時間も労力もかけんと、ゴミも少ししか出さない、超合理的な伝統の家庭料理 (http://www.kyo-kurashi.com/obanzai/collabo01/obanzai.html)』

気取らない、ごくごく普通の民家の座敷で『おばんざい』をいただきながらこの文章を見た瞬間、俺は『おばんざい』の本質に触れた様な気がした。
そう、京都の常の日のお惣菜なのである。 旬の食材、手近な食材を、手間をかけずに使い切る献立なのである。
このお店で『おばんざい』を食べていると、京都の親戚の家を訪ねて、そこで晩ご飯をいただいている気分になる。 和むなあ。

いやあ、このお店に来て良かった! ここでおばんざいをいただいたのは、これまた『偶然を装った必然』であったのだ。
***
食事をしていると、他のお客さんも来られたようだ。 『こんにちは』 『あ、いらっしゃい。 いつもありがとう』という声が聞こえてきた。

ビールの大瓶を2本、おばんざいセットを二つ、そして追加の煮込みハンバーグをいただき、大満足で食事を終えた。
『ごちそうさまでした。 いくらですか?』 『はい、2100円です』 妻と顔を見合わせてぶっ飛んだ。 これだけ満足して、ビール2本も飲んで、二人で2100円!
貴船の川床料理のお店なら、ビール2本だけでほぼ2000円である。 まいった、参りました。 これが、観光客向けでない、京都の本当の『おばんざい』

『あそこに書いてありましたが、このお店は2周年なんですか?』 『ええ、主人が定年退職してからどうしてもやりたいって言うもんで始めたんです。 今日は主人は用事で居ないんですが、いつもは私が料理を作って、主人がこの店に出てるんですよ』
『ここは、観光客向けじゃないですよねえ』 『そう。 地元の方がほとんどですね。 さっきの方も、時々来て下さるんです』

『いやあ、今日はほんと、おいしかったです。 おばんざいって、こういう料理なんですね。 良く分かりました』 『そんなに言ってもらえると嬉しいです。 ぜひ主人にも伝えます』

『今日はどちらから?』 『はい、広島からです』 『雨で残念でしたねえ』 『ええ、貴船の川床料理も予約してたんですが、残念ながら雨で室内での食事になりました』

『また京都に来たら、ぜったい食べにきますよ』 『それまで続いていればいいですけどねえ』と、おばちゃんは笑う。
『いやあ、ぜひ続けていて下さい。 楽しみにしています』 『ありがとうございました。 では、気をつけて』

偶然見つけた『おばんざい』の店、『菜旬処』 きれいで整ったお店じゃないと駄目な人には奨められないが、俺にとっては最高の穴場を発見した。 大満足!

『雨ふれど吉』 まさにその通りになったなあ。 さあ、明日はどんな旅の1日が待っているのだろうか。 
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 瀬戸内シーカヤック日記: ... | トップ | 瀬戸内シーカヤック日記: ... »
最新の画像もっと見る

旅するロードスター/アテンザ」カテゴリの最新記事