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あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 大崎上島_住吉祭り&櫂伝馬競漕

2009年08月13日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年8月13日(木) 今日は大崎上島で住吉祭りが行われる。 祭りでは、櫂伝馬競漕も行われるということなので、見学に行くこととした。

ロードスターの幌を降ろし、海沿いの道を快適なドライブ。
 
***
竹原港にロードスターを停め、フェリーで大崎上島へ。
 
白水港に着くと、そのすぐ傍には飾り立てた海賊船が! 白水と書いた旗が見えているので、これは櫂伝馬競漕に関係のある船に間違いない。 大崎上島は、櫂伝馬競漕でかなり盛り上がっているようだ。

海賊船の前にたむろしている人々の中に、先日櫂伝馬の練習で訪れた木江でお世話になった方々の一人を発見。 『こんにちは。 先日はいろいろお世話になりました』と挨拶。 立ち話で伺ってみると、競漕に参加する各地区では、この日のために小型のフェリーや客船などをチャーターし、予備の漕ぎ手や飲み物などを積んで海上で待機しておくのだそうだ。
 
***
その後、『旅する櫂伝馬プロジェクト』の最初の打ち合わせと櫂伝馬体験で訪れた古江に行くと、いつもお世話になっているFさんが居られた。 挨拶を交わし、先日の木江での競漕の結果や、一緒に櫂伝馬プロジェクトに関わっており、木江に長期滞在して連取に参加し、櫂伝馬競漕では漕ぎ手にもなったAさんの話などを伺った。 『今日は頑張って下さい!』
 
開会の式典が行われ、神輿を船に運び、スタートの準備。
 
***
13時40分。 スタート!
私は、教えていただいたゴール付近の桟橋に陣取り、カメラを構えた。 少し風はあるが、薄曇りから時折晴れ間がのぞく、快適な天気である。
 
だんだんと近付いて来る。 追い風に乗って、なかなか良いペースだ。
 
桟橋を越えると、生野島との間にある旗の立ったブイを回って戻って来る。 ここでのターンも見所の一つ。
***
桟橋前では、ゴール前のデッドヒート! 抜きつ抜かれつの全力競漕である。
 
ゴールした櫂伝馬を、観客みんなで拍手でねぎらう。 スタートからゴールまで、全力漕ぎでなんと15分の長丁場。
これはキツいなあ。 若くないと漕げないと言うのが納得できる。
***
競漕が終わり、桟橋から上がろうとした時、これまた先日の木江でお世話になった方を見かけた。 『こんにちは。 先日はお世話になりました。 ごちそうにもなって、ほんとありがとうございました!』 『お、今日は見に来たん?』 『ほうなんですよ』

『今日は島に泊まるん?』 『いいえ、今日は帰るんです。 ところで今日のは出られんかったんですか?』 『おお、今日のは長いけん。 きついわ』 『ほうですよねえ。 時計を見よったら、15分くらい掛かりよったですね』
***
『じゃあ、失礼します。 また遊びに来ますけん』
今日は、これまで二度の島訪問で顔見知りになった、何人もの方にお会いすることができた。 櫂伝馬が結ぶ縁。 本当にうれしいことである。
大崎上島の櫂伝馬競漕、必見です! でもやっぱり本音は、見るよりも漕ぎたいなあ!!!

*** 備考 ***

 
↑ この角度から見ると、大崎上島の櫂伝馬は競漕用にスピードを重視した幅の狭い船である事が分かる。 櫂はワイドブレード。
 
↑ こちらは祝島の櫂伝馬。 こちらは神事が主な用途であり、今では競漕には使われていない。 大崎上島の櫂伝馬に比べて幅が広く、船の高さも高い。 櫂はナローブレード。 大崎上島の中でも地区によって舟底の形は違うそうだから、櫂伝馬の地域と舟形の分析も、なかなか興味深いものである。

また、昨年の横断隊で祝島を訪ね、島の方々と酒を酌み交わしながらお話を伺ったとき、かつて祝島の櫂伝馬が老朽化し、新しい舟を造るまでの間、大崎上島の木江まで櫂伝馬を借りにいったことがあるとのお話を伺って驚いたことがある。
瀬戸内における櫂伝馬の歴史を紐解いてみるのも、これまた面白い話が発掘できそうな予感。

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瀬戸内シーカヤック日記: 夏の倉橋、生ちりめん丼&温泉

2009年07月19日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年7月19日(日)倉橋島にドライブに行く予定。 今日のねらいは、夏の倉橋と言えばなんと言っても『生ちりめん
前回冬に行った時は私ひとりだったので、まだ地元名物の『生ちりめん』を食べた事がないという家族と一緒に食べようと言う企画である。

たまたま予定が空いているという長男も一緒に行く事になったので、彼に帰りの運転を任せれば『”ベストシーズンの生ちりめん”で”生ビール”』が楽しめる! ああ、たまらんなあ。
***
妻と長男を乗せたアテンザワゴンは倉橋の桂浜温泉へ。

温泉館の周りには、『お宝_生ちりめん』の幟が。 これは楽しみだ!
 
なんと言っても、一番のおススメは、生ちりめん丼。
ちりめんのかき揚げも注文。 ボリュームたっぷりでサクサクである。
 
ビールのつまみに穴子天。 おお、ここの穴子天はいけるなあ。
ちりめんのつくね揚げは、ふわふわとした食感でなんとも美味い。
 
生ちりめん丼は、わさび醤油を垂らし、まずは載せられた卵の黄身を崩さず、あっさりした”ちりめん”そのものの味を楽しむ。
そして途中からは黄身と混ぜ合わせ、ネットリ濃厚な味わいを堪能するのがおススメ。

妻は『ちりめん定食』を注文したので、お刺身・つくね揚げ・黄味おろし和え・ちりめん丼・茶碗し・吸物・香の物と、いろいろなバリエーションが楽しめた。
***
妻と長男は初めての『生ちりめん』 どうやら気に入ってくれたようだ! 一緒に来て良かったなあ。 食後は少し休憩し、温泉へ。 1時間半ほどたっぷりと温泉を堪能し、長男の運転で家路についた。
倉橋島名物、『お宝_生ちりめん』 最高です!

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瀬戸内シーカヤック日記: B級グルメ&温泉堪能、一泊二日のドライブ旅行(2)

2009年07月08日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年7月5日(日) 朝起きると、昨日とは打って変わって快晴。 今日は、先日漕ぎに行った『浦富海岸』での観光船での遊覧と三朝温泉を楽しむ予定。
***
朝食とは思えないほど品数豊富でおいしい朝ご飯をいただき、荷物を片付け、宿を辞す。
浦富海岸にある遊覧船の発着所に行き、始発の便に乗り込んだ。
 
遊覧船の上からではあるが、先日、ロックガーデンでの日帰りツーリングを楽しんだ海域を、妻に見せてやる事ができるのはうれしいことだ。 それに、風が強くなってきたので奥まで散策できなかったので、次回に向けての下見にもなる。
 
梅雨時期の日本海らしい、べた凪の海。 昨日の雨で濁っているとは言え、それでも透明度の高さはさすがである。

『おー、あそこ。 あの狭い洞窟をこの前はシーカヤックで抜けたんよ』 『へえ、あそこのとこ?』 『そうよ。 このあたりは、ほんまに洞窟が多て。 シーカヤックでしか通れんのも多いんで』

1時間弱の遊覧を終え、発着場に戻る。 息子から着信があったというので電話するという妻より先に待合室に行くと、そこですれ違った人は、どこかで見たような気が。。。 うーん。あれは。。。 『あ! あれは宮崎美子さんだ』

懐かしいなあと思いつつ、スルーした私。 その後、いくら待っても妻が帰ってこない。
おかしいと思い、ケータイを取り出し電話してみると、『今、宮崎美子が来てるんだって聞いたんよ。 じゃから、船着き場まで見に行っとった。 今、戻りよるところ』だとか。 いやあ、まいったなあ。
***
『ほんま、ミーハーやなあ!』とちゃかしながらクルマに乗り込み、次の目的地である三朝温泉へと向かう。
この三朝温泉も、これまで何度か来たことがある。 一泊旅行でも来たし、旅行の途中で立ち寄り湯に来たこともある。

でも今回のテーマは、身近でかつ行った事の無い場所の発掘。 今回は、三朝温泉の源泉という『株湯』へ!
 
地元の方も愛用しているという『株湯』 湯船は狭いが、良い感じの温泉である。 まだ昼過ぎと言う事で少ないお客さん。 しずかにゆっくりお湯に浸かることができた。

おどろくのは、その湯温。 なんと温度計は44℃を指している。 恐る恐る入ってみたが、なんと普通に浸かれるではないか! これはすごい。
後から入ってこられた地元の方によると、水道水をまったく混ぜていないここの温泉は湯の当たりが柔らかく、この温度では普通の家の風呂では入れないのだが、ここでは入る事が可能なのだとか。

また今は44℃の設定だが、本来は45℃くらいだったのだそうな。 観光客が増えて、温度の低い源泉の比率を高めて、低めの温度にしているらしい。 44℃と45℃は、ほんの1℃の違いだが、お湯に浸かってみると全く違うらしい。
『いやあ、1℃の差じゃけど、そりゃあしびれるよ。 ぜんぜん違う』
***
『ここへは、毎日来られるんですか?』 『ほうよ。 でも、入るんは長うて15分くらいかの。 さっと入ってさっと出る。 この温度じゃけん、長湯したら倒れるよ』 『なるほど。 湯の当たりが柔らかいからいうて、長湯しちゃあいけんのですね』
***
私たちも20分ほどで上がり、外の長椅子に座って涼みながら、地元のおじさん、おばさんから、様々なお話を伺った。 楽しい一時。 いい温泉を見つけたなあ!

なかなか止まらない汗を拭きながら、蒜山へと向かう。 今日の目的は、『蒜山やきそば』

ジンギスカンのたれで味付けし、鶏肉を使うという『蒜山焼きそば』で昼食。 ただ個人的には、昨日食べた『ホルモンうどん』が好みかな。

その後、場所を移動してソフトクリームを食べ、留守番をしてくれている息子達への土産を買い、家路についた。
いつもの旅行エリアではあるが、これまで行った事の無いディープなスポットを見つける事をテーマにした今回の一泊二日のドライブ。 なかなか良かったなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: B級グルメ&温泉堪能、一泊二日のドライブ旅行(1)

2009年07月06日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年7月4日(土) 昨年より大幅に減ったとは言え、ボーナスが出た週末。 かねてから計画していた山陰への一泊二日のドライブ旅行へと出かけた。
***
今回の旅行を企画する段階での妻との会話。 『おい。 どっか、これまで行った事がのうて、行きたいとこは無いんか?』 『うーん、有名なとこは結構いっとるよねえ』 『ほうよのう。 ほんまにこっちの方じゃあ、遊ぶ場所が少のうて。 うーん。。。』
そう、観光地や遊ぶ場所の少ない中国地方では、ドライブや旅行で行く場所が比較的限られており、結婚前からを含めて二十数年も夫婦や家族でドライブや旅行を続けていると、なかなかこれまで行った事が無く、それでいて新たな発見のある場所と言うのは少ないのである。 という訳で、今回の旅の目的は、身近にありながら、これまで訪ねた事の無い場所の発掘に設定。

得意のネット検索を駆使してプランを作り、土曜日の朝、アテンザワゴンで家を出た。
***
まず向かったのは、『奥津温泉』 美作三湯の中では相対的にマイナーではあり、これまで行った事が無い温泉である。
11時頃、奥津温泉に到着。 少し早いがお昼ご飯にしよう。 狙っていた道の駅では、有名な食べ放題に観光客が押し寄せており、早くも争奪戦状態。 うーん、これは。。。
混雑がきらいな私は、静かに食事ができる店を探して移動。

ようやく見つけたお店でメニューを見ると、『ホルモンうどん』という記載が。 『あのー、このホルモンうどんって何ですか?』と店のご主人に聞くと、『これはねえ、焼きそばがありますやろ。 あれのうどん版で、ホルモンが入っとるんです。 おいしいと思いますよ』との事。 『じゃあ、そのホルモンうどん、お願いします』

出てきた焼うどんには、その名の通りホルモンが入っている。
口に入れると、ホルモンから出た濃厚なエキスと脂分が、うどんの表面にまとわりついており、なんとも言えないネットリ&濃厚、そしてジュルジュルとジューシーな焼うどんになっている。 『おお、これはウマい! これは、ビールが欲しいなるなあ!』

店のご主人に、『これはおいしいです』と言うと、『そうでっしゃろ』
『ここらへんは、ホルモンが有名なんですか?』 『いやあ、そうじゃないんやけど、津山の方でホルモンうどんが有名になって、ここに来るお客さんがみんな、ホルモンうどん、ホルモンうどんいうて言うもんやからうちも出すようになったんです』と、正直な返事。

『これ、焼きそばやったらどうなんですか? ホルモン焼きそば』 『あきまへん。 うちもやってみたんやけど、うどんやないとあかん』 なるほど。 このネットリかつジュジュジュルと脂と旨味がまとわりつく感触は、焼うどんならではかもしれないなあ。

その後も、話し好きな関西系のご主人から、奥津温泉に関する様々な面白おかしいお話を伺い、店を出る。 『ごちそうさまでした。 ほんま、おいしかったです。 また来ます』 『おおきに、気をつけて』
***

午後は、予約していた奥津温泉の貸し切り風呂へ。
 
歴史のあるこの宿では、川沿いに温泉があり、露天風呂も楽しめる。 しかも、一回一組50分の貸し切りで、ゆっくりとお湯に浸かることができるのだ。
 
妻と二人、雰囲気の良い茅葺き屋根の家の前を抜け、川沿いの温泉へと下って行く。
お風呂は、小屋の中と、川沿いの小さな露天風呂。 まずは小屋の中のお風呂に浸かり、しばらくしてから露天風呂へと移動した。
今日は幸い、晴れたり曇ったり。 渓流の景色が堪能できる小さな湯船に妻と二人でゆっくりと浸かり、しずかな時間の流れに身を任せる。
『ここはいいねえ。 貸し切りで静かだし、景色も好い。 お湯もぬるめでゆっくり浸かれるね』 『ほんと。 お湯も気持ち良いし、あんた好みの温泉じゃね。 ホルモンうどんといい、ここの温泉といい、今回のスタートはバッチリじゃない』
大きくなった息子達に留守番を任せ、夫婦二人の温泉旅行。 これはこれで、なかなかいいものである。
***
50分が経過し、お湯を出て着替え、上がって行った。 『すみません。 この縁側で少し休ませてもろうてもええですか?』と、落ち葉を掃除しておられたご主人に聞くと、『ええですよ』との答え。

縁側に腰掛け、水筒を取り出してコーヒーを飲んでいると、落ち葉の掃除をしておられたご主人が来られた。
『昨日は、夕方から大雨で凄かったんですよ』 『えー、昨日はそがあに降ったんですか?』 『ええ、今朝まであの露天風呂から見える川の所も滝みたいになってました。 午前中、川の所に行ったら、増水した後の所にアマゴが残されて逃げれんようになっとったから、網で捕まえてきたんです。 見てみます?』 『はい、ぜひ!』
 
『おお、これはでかい。 こんなんが捕まえられるんですか』 『今日は一匹でしたけど、多い時は何匹も捕まえるんですよ』
***
縁側で涼ませていただきながら、宿や奥津温泉に関する様々なお話を伺う。
台風が来る時の対策。 最近多いゲリラ豪雨の影響。 川沿いの施設だから、大雨の後は片付けが大変なのだとか。
蛍を眺めながらの温泉。 アマゴやアユ獲りの楽しみ。 茅葺き屋根の手入れの大変さ。 落ち葉の掃除。 冬の寒さの厳しさなどなど。

『いやあ、温泉に入りに来る方は楽しいですけど、維持される方はご苦労が多いんですねえ』 『そうなんです。 こんなところ、住むのは大変なんですよ』
『ほんま、気持ちよかったです。 ありがとうございます。 また来ますよ』 するとご主人は笑いながら、『ええ、また来て下さい! その時は、落ち葉の掃除でも手伝ってもらおうかな』 『いやあ、ホンマですね。 では』
***
おいしいB級グルメのお昼ご飯を食べた後は、なんとも最高のロケーションで夫婦水入らずの貸し切り露天風呂にゆっくりと浸かり、湯上がりは、静かな縁側で宿のご主人から様々なお話を聞かせていただいた。 うーん、なかなか良い旅じゃないか!

その後、急に降り始めたゲリラ雷雨の中を中国山地越えし、鳥取へ。
これまた初めて訪れた、因幡の白兎伝説で有名な白兎神社に参拝し、今日の宿へ。
***
漁港の近くにある静かな宿。

晩ご飯は、もちろん魚尽くし。

ネットリと甘い、一人一杯のイカの刺身。 新鮮なアジの造り。 これまたネットリ濃厚なエビの刺身。
 
大きなメバルの煮付け。 ノドグロの焼き魚。 干物の天婦羅。 カニの法楽焼き。
 
ビールに焼酎。 鳥取名物のラッキョ。 そしてイガイで出汁をとった、磯の香りの濃厚な汁。
『あー、ごちそうさまでした!』 充実した今日一日の旅を思い出し、胃も心も満腹満腹。

さあて、明日はどんな楽しみが待っているだろうか。

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瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_里ラムネ

2009年07月03日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年6月28日(日) 午前中から妻と一緒に広島市内に映画を観に出かけた。 『Dear Doctor』
帰りに呉で妻を降ろすと、私は一人で倉橋島へと向かう。

今日の目的は、倉橋名物の『里ラムネ』と『北吉鮮魚店』
***
島ならではの、クルマ一台がやっと通る事のできる狭い路地を抜け、『里ラムネ』へ。
クルマを停め、奥に入って行く。 するといつものご主人が居られた。
『こんにちは。 ご無沙汰してます!』 すると私を見て『おお、久し振り』
『今日は空瓶を2ケース持ってきました。 1ケース買って帰りたいんですが』 『それがのう、機械が故障しとって、今ないんよ。 今朝まであったんじゃが、イベント用に10ケース買いにきた人がおって、ないなった』
『えー、ほんまですか。。。 残念じゃのう』

『あんた、すぐに帰らんといけんのんじゃろう?』 『いやあ、今日は北吉さんに持ち帰りの刺身を頼んどって、4時にいきゃあええんです。 じゃけえ、まだ時間はありますよ』 時計を見ると、まだ1時間弱ほどある。
『ほうか! 今、鉄工所の人に部品を修理をしてもらいよるけえ、待っとったら直るかもしれんで』 『ほうですか! じゃあ、待ちますよ』
するとご主人は、ニコニコと笑いながら、店の前に置いた空のラムネケースに座り、お話モードに入った。 そう、ご主人は、私がここでラムネに関する様々なお話を伺うのが好きな事を良くご存知なのだ。
***
『あんたあ、去年はよう来たよのう』 『ほうですねえ。 今年は海にでるのが忙しゅうて来れんかったんです』
『海?』 『あれですよ、カヌーです』 『おお、ほうじゃったのう』

『ところで、バラのラムネも無いんですか?』 『あるよ』 『じゃあ、飲みたいんで一本ええですか?』 『おお、ええよ』
 
奥にある冷蔵庫から一本出して下さり、懐かしい栓抜き(?)でビー玉を押して栓を開ける。 ここのラムネは、一本なんと『60円』である。 感謝感激。 そして、感涙!

『プシュッ』 『カラカラ』 『シュワワワー』 『グビリ』 『あー、やっぱりウマいですねえ』
***
『ところで最近はどうですか? 去年は暑かったけえ良かったんじゃないですか?』 『ほうじゃの。 少しはえかったかのう。 まあ、そうは言うてもそんなにもうかりゃあせんよ』
 
『ところで、こりゃあラムネの瓶のパッキンですね』 『ほうよ。 これが去年は無いゆうてのう。 困っとった』 『なんでですかねえ?』 『多分、去年は油が高うなっとったろう。 その影響じゃ思うんよ。 今年はちゃんとあるいうて言いよる』

『少ないゆうて言いよっちゃった瓶は大丈夫ですか?』 『まあ、毎年減って行きよるよ。 割れるんもあるし、祭りやなんかで売りよる分は、回収してくれ言うて頼むんじゃが、やっぱり珍しいけえ持って帰る人もおるよ。 まあ、売る人も全部に目は配れんしのお』

『あの口がプラスチックになっとるのはどうなんですか?』 『あれはのう、わしも飲んでみたが、口のところがプラスチックじゃろう。 冷えんのんよ。 じゃけえ、飲んだ時に美味うない』 『なるほど! やっぱり口が当たる所が冷えとるんも、ラムネのおいしさの一つなんですねえ』
***
こうやって、いつものようにご主人から様々なお話を伺っていると、軽トラックのエンジンの音が聞こえてきた。
『お、帰ってきたかの』
***
鉄工所の方が帰ってこられ、ご主人と話しながら機械の方に行かれた。 もちろん私も見学。
修理したと思われる部品を取り付け、位置や角度を確かめている。
 
『こんにちは。 これはロウ付けされたんですか』 『ほうよ。 ここが曲がっとったけえ、寸法をはかって、直してきた』
『じゃあ、この機械が故障したら、いつも見られよるんですか?』 うんと頷き、『そうよ』 子供の頃からここのラムネを飲んでおられるという地元の鉄工所の職人さんが、このラムネ製造を支えておられるのだ。 素晴らしい!

『それにしても、この電動機やプーリー、革ベルトがええですね。 機械好きにはたまらんですよ』 『もう、こんな機械は作れんで。 この電動機なんか、コロ軸受けじゃのうて、メタルなんで』 『そりゃあ凄い。 ベルトじゃけえ、負荷が大きゅうなったら滑って逃げるけえ、メタルの滑り軸受けでもつんでしょうね。 ホンマ、こりゃあ、大事に直してもらわんと』

上手い具合に直ったかどうかを確かめるため、電源を入れて試運転。 空の瓶をセットして動かし、戻ってきたら外して次の瓶に入れ替える。 うん、どうやら調子は良いようだ。
***
試運転が終わると、機械に火を入れたり(炭酸ガスが冷えてドライアイスになるのを防ぐためだそうだ!)、バルブを開けたり、瓶をセットしたり。 とうとう、実際のラムネの瓶詰めが始まるのだ。 ワクワク!
奥から、奥さんも出てこられた。 『こんな壊れる言うのは、もうラムネ作るんは止めえいうとるんじゃろうねえ』 『何いうとられるんですか! こんな貴重な機械を止めてもろうちゃあ泣きますよ。 絶対、続けて下さいよ!』
 
機械が動きだし、ラムネが詰め始められた。 しばらくすると、ご主人が箱から2本取り出し、『ほい、飲んでみてくれ。 いつもの味と変わっとらんか?』
 
味の確認である。 責任重大だ! 鉄工所のおじさんと私は『出来立てホカホカ』、いやこれはおかしいな、『詰めたてシュワシュワ』のラムネを試飲し、顔を見合わせ、『ええよねえ』と頷き合い、『ええんじゃないですか!』と答えた。
***
機械は順調に動き、どんどんラムネが詰められていく。 おばちゃんは、一本一本、異物が入っていないかを目視で検査。
ここ『里ラムネ』では、瓶の洗浄も一本一本手作業だし、詰めるのも検査も人の手が掛かっている。 これで、おいしいラムネが一本『60円』 改めて感涙!

『おっちゃん。 わしのラムネも、1ケース詰めてもろうてええですか』 『おー、わかった!』
***
『おっちゃん、ありがとう。 また買いに来ますけん』と工場を後にした。 時間は、ちょうど午後4時。
北吉鮮魚店に予約している時間である。
 
今日は、両親を招いてのささやかな宴。 修学旅行中の次男を除いた5人前の刺身を持ち帰り、みんなでおいしくいただいた。
タコ、イカ、ブリ、鯛、鱧の湯引き、そして珍しい『穴子の刺身』
初めて北吉刺身に行って出された『穴子の刺身』を食べてから、こんなおいしい刺身があるのかと感動し、ぜひ親に食べさせたくて、特別にお願いして刺し盛りに加えてもらったものだ。 これがプリプリ、コリコリで、両親にも大好評であった。
***
とびしま海道を漕いだOne Wayのシーカヤック旅で、『みはらし食堂』で楽しい夜の時間を過ごし、翌日には大崎下島の大浜で『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を堪能した週末は、倉橋名物である『里ラムネ』と『北吉鮮魚店』で〆。
いやあ、この週末も最高だったなあ! 

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瀬戸内シーカヤック日記: 広島プリンスホテル_温泉&ランチでのんびりまったり

2009年05月25日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年5月25日(月) 平日の今日は、私も妻も休みを取り、近場でのんびりと『温泉&ランチ』を楽しむ予定。
先週の週末に休日出勤があった妻は、代休を取る事に。 『じゃあ、25日にせんか? わしは25日を休業にするつもりじゃけえ、どっかに遊びに行こうや』 『ほうじゃね。 じゃあ25日にしようかねえ』
***
と言う訳で、今日は昼前に家を出て、アテンザワゴンで広島グランドプリンスホテルへと向かう。
このホテルには、数年前に温泉施設ができたのだが、基本的には宿泊者専用。 ただ、ホテルで昼食を食べる客用に、『温泉&ランチ』という日帰りプランが用意されているのだ。

昨年、両親と一緒にお昼ご飯を食べに行ったとき、そのプランがある事を知り、『いつかゆっくり行ってみたいねえ』と妻と話していた。
プランには、今のシーズンはバイキングと懐石料理がある。 バイキングの方が料金は安いが、せっかく妻と二人でゆっくりと食事をするのだから、もちろん雰囲気重視で懐石料理を選んだ。

予約していたお店に入り、案内された席に着く。 席の場所も良く、今日は晴れて最高の眺望である。
 
『あれは?』 『あれが似島。 この前、俺が行った島よ。 またあの食堂に行きたいなあ』
『この辺りを櫂伝馬で漕いで、あそこにある宮島まで行ってみたいんよなあ』 『どこを通るん? いつになるかねえ』
 
今日はクルマなので、もちろんアルコール抜きだが、行き交う船と美しい瀬戸内の景色を眺めながら、ゆったりと食事を堪能した。 『ごちそうさまでした。 たまにはこんな料理もいいねえ』
***
1時間ほどで食事を終えると、今日のお楽しみ、ホテルの温泉である。 『広島温泉_瀬戸の湯
女湯は3F、男湯は2Fである。 基本は宿泊者専用であり、月曜日の午後1時過ぎでもあり、人は少ない。
先客は、3人ほど。 それが驚くほど体格が良い人ばかり。 厚い胸板、がっしりとした後ろ姿。 『これはどうみても、普通の人じゃあないなあ』
よく考えてみると、昨日今日は、zoom-zoomスタジアムで西武ー広島戦のはず。 ここはプリンスホテル。 これは、西武の選手に間違いないだろう。 やっぱりプロ野球選手は、体が違う! (帰りには、ホテルの前に西武の選手を迎えにきたバスが2台停まっていたから間違いない)

しばらくすると、3人は風呂から上がり、私一人で貸し切り状態に。 潮湯の露天風呂、スチームサウナ、ジェットバスなどをゆっくりと楽しむ。
***
1時間ほどでお風呂から上がり、ハーゲンダッツのアイスクリームを買ってアテンザワゴンに乗り込んだ。
『このプラン、なかなか良かったねえ』 『懐石料理をゆっくり食べて、静かで清潔な温泉に入って。 近場でこんなに楽しめるなんて』 『そんなに頻繁には来れないけど、たまには好いね』

3月末にアテンザワゴンが納車になって以来、シーカヤックに、ドライブ旅行にと、週末のほとんどを外出していたが、久し振りに家と近場でゆっくりと3連休を過ごすことができた。
新たな楽しみ『ホテルで温泉&ランチ』も見つけたし、このプランは妻も喜んでくれた。 これは、なかなか良い週末だったなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 高千穂峡、鉄輪温泉巡り(3)_鉄輪温泉の貸間旅館と地獄蒸し料理

2009年04月15日 | 旅するロードスター/アテンザ
『また、ぜひお会いしたいですね』 『ええ、またここに遊びに来ますよ!』
宿を辞し、アテンザワゴンに乗り込んで次の目的地へと向かう。
***
今日は鉄輪温泉に辿り着けばよいだけ。 いろいろと寄り道して峡谷の景色を楽しみつつ、海沿いへと下って行く。
 
ある橋を見に行ったとき、せっかくだからと橋の中央まで行って下を覗き込んだ。

『え! こんなに深い谷だったのか! 凄い景色。 いやあ、実際に歩いてみないと分からないもんだなあ』
***
東岸に出てからは、海沿いの道を走る。
 
景色も良く、快適なドライブ。 浜や海、湾の状態もチェックでき、これはなかなか良い下見となった。
ふむふむ、このあたりの海況は、こんな感じなんだ! やはり、宿のご主人のアドバイスを聞いておいてよかったなあ。
***
午後3時過ぎ。 別府の鉄輪温泉に到着。
 
今日の宿は、鉄輪温泉名物の貸間旅館である。

『いやあ、昨日の宿とは対極だよねえ』 『そうそう、あまり行った事はないけれど上品な宿はもちろん、貸間旅館でもバッチリOK』 いやあ、本当にこのコントラストは面白いものである。 あんな世界もあり、こんな世界も楽しい。
***
荷物を置いて、『明礬温泉』へ。 妻も私も、明礬温泉の泥湯に興味を持っていた。 実際に行ってみると、『こんなにすばらしい温泉があったのか!』という感じ。
もちろん、島根の千原温泉も良いけれど、明礬温泉のディープかつ気持ちのよい世界はたまらない。
***
途中のスーパーで買い出し、貸間旅館へと戻る。
妻は、『宿のおかみさんは、アサリと春キャベツがおススメだって』
 
夕食は、まず鯛の地獄蒸し。 
 
そして、春キャベツと豚バラの地獄蒸し。 そして、炊きたてホカホカのご飯。 『うーん、これはお米が立っているねえ』
昨日お世話になった高千穂の宿とは別世界である。 昨日は、最高の食材をプロの方が調理してもてなして下さった。
それに対して、ここ鉄輪温泉の地獄蒸し料理は、なにより素材のおいしさを最大限に引き出すシンプル料理という点で、最高の夕食となった。
『あー、おいしかったあ。 ごちそうさまでした』 夜は、ドライブの疲れもあり、早々に熟睡。
***
翌朝。 6時過ぎに起きると、まずは朝風呂へ。
先客は一人。 私より、少し年配と思われる方である。

『おじゃましまーす』で始まり、会話に花が咲く。
『ここの蒸し風呂、入られました?』とその方。 『いやあ、まだなんですよ』と私。
『ここです』 『入ってみましょう』

『ここね、入ったら熱くて熱くて。 とても入ってられないんです』 『いやあ、これが普通ですよ。 そんなに熱い方じゃないですね』
『瀬戸内沿岸では、漁業や農作業の疲れを癒すために、こんな岩風呂/蒸し風呂が発達したんです』 『そんなんでっか』
『広島の竹原近くにも、蒸し風呂がありますけど、もっと熱い蒸し風呂があるんですよ。 そこは水着着用の混浴ですけど、サウナより汗が噴き出して、気持ち良いもんです』

その後も、蒸し風呂の事、最近の不況の事、すこし気配がする景気回復の予兆などなどの話で盛り上がった。
予定より長くなった、貸間旅館での朝風呂の一時。 いやあ、なんだかんだ言っても、やっぱりなぜか話しかけられるんだなあ。 不思議である。
***
朝食も、もちろん地獄蒸し。
 
妻が朝風呂に行っている間に、私が準備。 いつも妻にはお世話になっているからなあ。
今朝は、昨日の残りご飯に水を足し、野菜と肉を入れて雑炊にした。 最後に溶き玉子を回し掛けて完成。
少しリッチでボリュームたっぷりの朝食。 『ごちそうさまでした!』
***
帰り道も、寄り道三昧。
下関まで下道を走る途中、妻が『宇津っていったら、宇津神社がある所じゃない』と言い出した。
『これまでテレビで何度も出ていた。 有名な神社よ』とのこと。 『じゃあ、せっかくだから寄ってみよう』
 
ここは、全国にある八幡様の元締めなのだそうだ。 おどろくほど広い敷地に、新緑の緑と、朱の建物が映える。
***
ここからは、お昼ご飯を食べるお店を探しながらのドライブ。 直感と嗅覚だけがたよりである。
あるお店の前を通ったとき、看板は道路沿いに一つだけだが、店構えは上品で、昼の1時過ぎだというのに、多くのクルマが停まっていた。
『あの店、なんか良い感じだね』 『うん。 ちょっとUターンしてみようか』
 
お店に入り、ラーメンを注文。 出てきたラーメンのスープをレンゲで一口すする。 『おー、これは美味い』
麺をつるつる、スープをゴクリ。 いやあ、これは本当においしいな。

今回の旅の〆となった、九州ラーメン。 東の横綱が、『朱華園/太華園』のラーメンなら、西の横綱は、ここのラーメンである!
***
様々な人と出会い、高千穂の景色を堪能し、心にスッと入ってくる角川春樹氏の言葉と出合いった。
そして、おいしい料理を楽しめて、かつ同じ匂いのするご主人が居られる宿にお世話になり、翌日は正反対の世界である、鉄輪温泉の貸間旅館での地獄蒸し料理を、胃と心で堪能した。

妻が長年行きたいと行っていた高千穂であるが、様々な出合いに恵まれたことで、私もこれまで経験した事がなかったくらい、『あるくみるきく』を実行することができた。
『この旅は、本当に楽しかったなあ。 やっぱり、偶然の出合いが楽しいね』 妻と二人での『あるくみるきく_九州の旅』

いやあ、これは本当に、最高の週末であった。
***
ちなみに、復路のアテンザワゴンの燃費。 満タン法で、14.0km/L! とうとう、14km/Lの大台を達成した。
10.15mode燃費を大幅越えである。 いやあ、これは凄いなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 高千穂峡、鉄輪温泉巡り(2)_生涯不良!

2009年04月14日 | 旅するロードスター/アテンザ
予定外のルートを走り、偶然訪れた通潤橋で出会った地元のおばちゃんとの『あるくみるきく』旅を堪能した後は、本来の目的地である、『高千穂峡』へ。
 
***
最高のドライブ日和となった快晴の下、妻が長年行きたいと言っていた『高千穂峡』でボートを漕ぎ、景色を堪能。
 
『いやあ、来て良かったなあ!』
***
その後は、『天岩戸神社』、『天野安河原』といった高千穂の観光地を巡り、夕方4時過ぎに、お世話になる宿に到着。
荷物を置き、手続きを済ませ、『国見ケ丘』へドライブ。
 
静かな夕暮れ。 目の前には抜けの良い景色が広がり、気持ちのよい風が吹き抜け、なかなかよい場所である。

丘を降り、ガソリンスタンドへ。 まだ燃料系の針は半分位を指しているが、燃費を確認する。 計算すると、12.6km/L。 『うん、これはなかなか良いなあ』
熊本でICを降りてからは山道の登りが多かったが、今回は高速走行が大半であった。 モード燃費は越えたが、直感的には遠出ではまだまだ伸びる予感。
***
宿での夕食。
前菜から始まり、フォアグラ、野菜のスープ、川鱒のスモーク。 ビールをゴクリ。
 
地元の柑橘類を使ったシャーベット。 『これはおいしいね』
 
高千穂牛のロースト。 『うん、うん。 これは、これは』 もう、無言で食べるだけ。 『うーん、美味いなあ』
デザートは、クリーム・ド・ブリュレ。 いやはや、もう何も言うことは無い。

地元の食材にこだわった、数々のおいしい料理。 『ごちそうさまでした。 最高においしかったです!』
***
夕食後は、地元の神社で毎晩行われるという『夜神楽』へ、宿のクルマで送っていただく事になる。
ここの宿では、宿泊者全員が見学に行くと言う事で、10人を越えるお客さんがマイクロバスに乗り込んだ。

私たち夫婦は、早速着替えてマイクロバスへ。 一番乗りだったので、バスの一番後ろの座席に座って他の人を待つ。
すると、宿のご主人が、『あのう、お仕事は何ですか?』と聞いて来られた。 私は笑いながら、『極々、普通のサラリーマンですよ』と答える。 妻は横で笑いながら、『自衛隊じゃないんです』

『なんか、怪しい職業に見えましたか? よく、自衛隊とか、漁師さんに間違われるんですよねえ』と返すと、『いやあ、なんかキリッとして見えたもんですから』 そこから会話が弾む。

『実は、瀬戸内でシーカヤックをやってましてね。 土日はカヤックにテントを積み、家族を放って、瀬戸内の島々を巡ってるんですよ』 『私も昔は、サーフィンやウインドサーフィンをやってましてね、海が大好きなんです』
『今は、ボードです。 スノーボード』 『ええ、クルマにボードのキャリアが付いてましたね。 さっきも通潤橋の所で、このあたりは雪が多いって聞いてきました』

その後も、他のお客さんが大勢居るのに、宿のご主人は私に話しかけられる。
瀬戸内でのシーカヤックの話。 宮崎の海の話などなど。 ここのご主人、なんだか同じ匂いがするなあ!
それにしても、何で俺なんだろう?
***
その後、夜神楽を見学して宿に戻った。
 
***
翌朝。 これまたおいしい朝食を頂き、食後のコーヒーを飲んでいると、一枚の色紙が目に入ってきた。

『生涯不良、春樹』と書かれている。

宿のご主人に、『あの色紙、好いですね。 生涯不良。 私の中に、スッと入ってきましたよ』 『良いでしょう!』
『あの、もしかして、角川春樹さんとはお知り合いなんですか?』 『ええ、もうずいぶん長いんですよ』
昨日の夕食の時の四方山話から、なんとなくそんな示唆はあったのだが、やはりそうだったようである。
***
ご主人が、焼酎の瓶と、あるパンフレットを持って来られた。
『これ。 生涯不良っていう焼酎を作ったんですよ』 瓶の蓋を取り、香りを嗅ぐと、洋酒のような芳香が漂ってきた。
パンフレットには、角川春樹氏から寄せられた文章が載っている。

*** 以下、引用 ***

不良とは、何ものにも束縛されない自由な精神であり、生き方である。
社会という檻の中にあっても、その精神は枠の外にある。
(中略)
しかし、老子も、孔子も『遊び』を人生至上の境地とした。 古代中国の大きな思想である。
人間は、この地球に遊びに来ただけだ、というのが、私の究極の答えである。
人間は修行をする為に生まれてきた、という宗教の見地は嘘である。 人生は楽しむためにある。
(中略)
その遊びという思想を貫く生き方が不良という言葉なのだ。 あるときは、社会や家族という制約と対立することがある。
それでも生涯を不良で通すには相当な覚悟がいる。
不良というのは、当然、良でないということ。 しかし、優であり、秀でもある。

生涯不良の私が、人生を楽しむために一本の焼酎を創り出した。
私が生涯、この一本を飲みたいがためである。
名付けて『生涯不良』。 文句あるか。

角川春樹

*** 引用終わり ***

コーヒーを飲んだテーブルでこの文章に浸り、感動を覚えた。 でも、残念ながら他のお客さんで、この色紙に気が付いた人は居なかったようである。
うんうん、まさにこの言葉! 角川春樹さんはスゴいなあ。 笑いながら妻にもこのパンフレットを手渡し、『読んでごらんよ』

私はご主人に、『まさにこの通りですね。 私が思っている事に、ピッタリはまりますよ。 でも実際には、こうゆう風に生きて行くのは難しいんですよねえ』 するとご主人も、『そうそう、これがなかなか難しいんですよ』
***
『今日は、どこへ行かれますか?』 『はい、鉄輪温泉まで。 阿蘇経由で行くか、海沿いに行くか、考えているんです』
『それは、海沿いが良いと思いますよ! あの辺りは景色も好いし、魚もおいしい。 絶対、お客さんにピッタリです!』

これでルートは決まった。 ガイドブックなんか要らない。 風の吹くまま、気の向くまま、そして出会った人に導かれて旅を楽しむのだ。
***
『ありがとうございました。 料理もおいしかったし、なによりいろいろお話しできて楽しかったですよ』とお礼を述べると、『お気を付けて。 またぜひ、どこかでお会いしましょう!』とご主人。
『ええ、またここに遊びに来ますよ!』

帰りには、宿おすすめのお土産屋さんに立ち寄り、『生涯不良』を購入。

通潤橋での予定外の『あるくみるきく』の旅に続き、お世話になった宿では、角川春樹氏の『生涯不良』という言葉に出会うことができた。
この旅はスタートから、偶然の様に見えて実は必然の様に感じられる、なんとも不思議な出合いに恵まれている。
さて、明日はどんな一日が待っているのだろうか?

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瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_高千穂峡、鉄輪温泉巡り、2泊3日ドライブ(1)

2009年04月13日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年4月11日(土) 朝、3時起床。 4時前には、アテンザワゴンで家を出発。 この週末は、妻と二人、2泊3日で九州の宮崎と大分を巡るドライブ旅行。

ずっと以前から、妻がぜひ一度訪ねてみたいと言っていた場所の一つが、宮崎県の『高千穂峡』 連れて行ってやりたいのは山々である。 だがこれまで、『宮崎は遠いし、高速代も高いからなあ』と言っていたのだが、土日は高速料金が1000円になると聞き、クルマも買い替えた事だし、『じゃあ、念願の高千穂へ行ってみるか』ということになった。

せっかく遠くに行くんだから、2泊3日にしよう! 高千穂に泊まって、翌日は別府の鉄輪温泉に。
鉄輪温泉の貸間旅館、いいぞお。 一度、連れて行ってやりたかったんだ』
***
高速道路をひた走り、関門海峡を越えて九州に。 
計画を立てて、一週間前に宿を予約。 『せっかく行くんだから、晴れると好いなあ。 まあ、晴れるか雨が降るかは、日頃の行いと言う事で!』と言っていたのだが、今日は快晴で、絶好のドライブ日和。 良かったなあ。
***
予定では、熊本ICで降りて阿蘇経由で高千穂峡へ行く予定だったのだが、熊本IC近くになってもナビが降りるように案内しない。
このナビのルート探索では、御船ICで降りる案内になっているようだ。 まあ、せっかくだからナビに従ってみるか、ということにして、御船ICで降りて山道を登って行く。

途中、案内の看板に『通潤橋』という名前が出てきた。 『通潤橋って、聞いた事あるよね』 『あの、橋から水が出るやつじゃないか』 『せっかくだから、寄り道してみようよ』
***
通潤橋の駐車場にクルマを停めた。 『いやあ、これは好い景色だなあ!』
 
橋の方に歩いてみる。 抜けるような青空の下、木々の新緑と、残った桜の淡く暖かい色、音を立てて流れる水路の水の純白、そして橋のコントラストが何とも美しい。 でも、水は出ていない。 残念!
 
駐車場に戻り、看板を見ると、土日にはお昼12時に放水すると書いてある。 『そうか、いつも水が出ている訳じゃないんだ』 お店の人に聞くと、やはりお昼に水を出すとの事。 時計を見ると、10時50分。 まだ1時間以上ある。
『どうする? 待ってみる?』 『せっかくだから、待ってみようよ』
***
待つ間、傍にある古民家を移築したと思われる資料館を見学する事に。 土間を見学した後、靴を脱いで部屋の中へ。
見て回っていると、管理をしておられる方が居られた。

『こんにちは』と挨拶すると、『ゆっくり見て行ってくださいね』と返ってきた。
『今日は、昼から放水があるんですよね』 『ええ、そのはずよ』
***
『さっき、橋の上を歩いて見ましたけど、よくあの時代にあんな立派な橋が造れましたねえ』と言うと、机から一冊の本を持って来られた。 見ると、小学校の社会の教科書である。
その教科書を開きながら、『あれはねえ、水が少なくて米が作れなかったこっちの地区に、水をなんとか送りたいというて、作ったもんなんよ』
『あそこに作る前に、何度か別の場所で試しに作ってみたそう。 その時には失敗もあって、水を流したらその圧力で壊れたこともあるんだと。 いろいろ工夫して、ようやく2年弱かけてあそこに作った』 『橋を造る間も、集落から立ちのぼる煙を見て、ああ、また今日も米が食べられなかったのか。 また稗だったか。 と思ったそうな』
『ようやく完成して、初めて水を流す時は、自分の財産を全部投げ出した事だし、もし失敗したら自害する覚悟で橋の上に白装束で懐に刀を差して座ったそうな』 『水が上手く流れた時の気持ちは、どんなにうれしかった事か。 想像するだけだけど、本当にうれしかったろうねえ』 『はい、想うだけでジーンと来ますねえ!』
***
『ここは、景色も好いし、今日は暖かくて好いですねえ』 『でもねえ、冬になると雪が積もるのよ。 ここ2年くらいは暖冬であまり積もらんけど、それまでは多い時は70センチくらい積もりよったからねえ』

『ここはね、茅葺き屋根やろ。 屋根は隙間だらけやから、天井からヘビやムカデが振ってくる』 『えー、ヘビ! 大丈夫なんですか?』 『ヘビ言うてもねえ、マムシじゃなくてアオダイショウじゃから』
『前はねえ、お客さんが見学しょおる間に、ポトっと首の所に落ちてきた事があった』 『そりゃあ、お客さんは驚いたでしょう!』
『そうよねえ。 私しゃあ、春にはこんなに小さかったのが、秋になるとこんなに長くなって。 おお、大きゅうなったねえ言うて、ゆうちゃるんよ』
 
『ところで、どこから来られた?』 『広島の呉です』 『え、そうなの! 私はここの生まれじゃけど、結婚してから呉に住んどったんよ』
そこから、更に話が盛り上がった。

『ここの茅葺き屋根は、葺き替えが大変だったでしょうね』 『竹はねえ、春の竹は駄目なんよ。 また、油抜きをせんといけんし』 『油抜きってなんですか?』 『火でね、炙るんよ。 そして油を抜く』

『それにしても、なんでそんなに茅葺き屋根に詳しいんですか?』 『それはねえ、子供の頃に囲炉裏の傍でおじいちゃん、おばあちゃんに聞かせてもらった事じゃから』

聞いてみると、この方が子供の頃には、囲炉裏を家族で囲み、夕食を食べていたそうだ。
『ここが、一番偉い人が座る所』 『おじいちゃんですね!』 『子供はこっち。 水なんかを汲む時に一番近い所に子供が座る。 そして、ご飯を食べながら、いろいろな事を教えてもらったんよ』 『今じゃあ、年寄りは邪魔者扱いじゃけど、昔はいろいろな知恵を伝えてもろうたもの』 『だから、茅葺き屋根の事や、正月の二日の仕事始めの事なんか、いろいろ教えてもらったものよね』 『やっぱり、昔の家族は良かったんですねえ』
***
昔の楽しかった運動会の事、茅葺き屋根の手入れの事、通潤橋の橋の事。 そして、映画界で活躍されているという、その方の息子さんの事。 『良い息子さんですね。 親孝行や。 スゴい』 『まあね、うちはいろいろ苦労させとるからねえ』 『うん、やっぱり可愛い子には苦労させんといかんですねえ!』

その後も、茅葺き屋根の手入れの方法や、昔の楽しかった運動会の事、趣味だと言うカラオケの事などなど、楽しい話に花が咲く。 『この茅はねえ。 煙で燻さんといけんのんよ。 でも、燻しよったら煙がでるけえ、火事と間違われるじゃろ。 じゃけえ、事前に消防署に連絡しとくんよ』
『運動会の時はねえ、ここにあるようなおおけな入れ物に弁当を作って持って行きよったもんじゃ。 子供の頃は、運動会の弁当が楽しみでねえ』

『昔はねえ、運動会で一等賞とかになったら鉛筆やらノートやら貰いよった』 『今は、そういうのはなくなりましたねえ』 『でもねえ、昔の方が良かったと思うよ。 勉強はでけんでも、運動会じゃあ一番になる子も居るし。 それぞれ得意なのがある方がええよねえ』

話は続く。 最近の若い人の事や、かつては城下町だったと言う栄えていた頃の地元の町のことなどなど、様々な話を聞かせていただいた。
***
あっと言う間の1時間。 放水を待つまでの1時間が、とても楽しい一時となった。
『ありがとうございました。 じゃあ、橋の方に行ってみます』 『ゆっくりと見ていきなさい。 また、どっかで遭えるとええねえ』 『はい、またぜひ、呉でお遭いできると好いですねえ』
 
『あるくみるきく』 予定していたルートではなく、偶然にカーナビの推奨するルートを通った事で、通潤橋に立ち寄る事になり、最高の景色に加えて、地元のおばちゃんから、様々な話を聞かせていただくことができた。

やはり旅は、ガイドブックにない予定外の寄り道や出合いが楽しいのだ。 本当に、様々な出逢いに恵まれているなあ。
最高の旅のスタート!
***
『じゃあ、高千穂に行こうか!』

妻が、長い間訪れたいと言っていた『高千穂峡』
 
ようやく、ここに来ることができた! 妻も喜んでくれているようだ。 そんな妻を見て、私も感慨無量である。
でも、 旅はまだ、 始まったばかり。

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瀬戸内シーカヤック日記: ロードスターで『とびしま海道』オープンドライブ

2009年02月08日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年2月8日(日) 今日は、ロードスターで『とびしま海道』を妻とドライブ。
『日曜日の予定は?』と私。 『特に何もないよ』と妻。 『じゃあ、シーカヤックツーリングから土曜日に戻ってくるから、日曜日はドライブに行こうか? まだ、豊島大橋を渡ってないよね』 『いいよ』
金曜日の休みを含めて3連休だったのだが、しまなみ連泊ツーリングで帰ってきたのはこのドライブの予定を決めていたためである。
風と波次第の、予定が有って無いようなシーカヤックツーリングと違い、ドライブは予定が立て易いので本当に気が楽だ。
***
とびしま海道までは近いので、朝はゆっくりと出発。
水筒に温かいお茶を詰め、フリースのブランケットを用意する。 いつもの様にBarbourのジャケットを羽織り、ワッチキャップと指先の出る手袋を着け、ロードスターの幌を降ろす。

今日は温かくて、絶好のオープンドライブ日和である。 iPodでお気に入りの音楽を流しながら、蒲刈の海沿いの道を快適に流して行く。
***

豊島大橋を越えた少し先にロードスターを停め、少し歩いてみる。
 
橋の上からは瀬戸内の景色が楽しめる。 少し靄がかかっているのは残念だが、なかなか良い眺めだ。
***

大崎下島の大長では、イベントが開かれていた。 せっかくなので立ち寄り、出店を見学。 1kgが150円と安い大長みかんを発見し、即購入。
 
会場の近くで、大長らしい『柑魂の碑』を発見。 これは良いものを見つけた! また、港の横保存してある『農船(やまてんま)』に妻を案内し、このあたりの農船の事を簡単に話す。
***
 
道を走っていると、『とんど』の準備も行われていた。 展望台には何台ものクルマが来ており、開通当初の異常なブームは沈静化したとはいえ、御手洗地区を訪れる人が増えている事が実感できる。
個人的には橋が架かる前の静かな御手洗の風情が好ましかったが、島の活性化という意味では、これはこれで良い事なのだと思う。
***
お昼ご飯を食べるため、岡村島の展望台に向かう。 狭くて急坂の山道を登り、展望台に到着。
 
展望台から岡村島の集落や大下島、四国を眺める。 ベンチにフリースのブランケットを広げ、水筒のお茶を出し、途中で買ってきたお弁当を広げる。
日差しも温かく、目の前に広がる瀬戸内の景色を眺めながらのお昼ご飯は最高だ。 妻と並んでベンチに座り、瀬戸内の海を眼下に眺めながらゆっくりとお弁当を食べ、温かいお茶を飲み、のんびりと過ごす。
***
『さあ、そろそろ帰ろうか』 狭くて急な坂道をローギアでゆっくりと降りていく。
 
ロードスターで行く『とびしま海道ドライブ』 今日は最高のオープンドライブ日和であった。
自然の中を旅して行くシーカヤックツーリングはもちろん最高だが、たまには気楽なオープンドライブも好いものだなあ。

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