ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 小保方晴子著 「あの日」 (講談社 2016年1月)

2017年05月01日 | 書評
STAP幹細胞問題をめぐる前代未聞の理研ODBスキャンダルはどうして起こったのか 第6回

3) 論文疑惑問題と論文撤回のスキャンダル (その2)

 調査委員会の不正判定を受けると、理事長から論文撤回の命令書が送付され、その後懲戒委員会が開かれた。5月28日懲戒委員会の呼び出しがあった。誰の指導下でしたかの質問に小保方氏が若山先生の指導下にいる研究員であったことを述べると、懲戒委員会は静まり返り面談は終了した。5月中旬から早稲田大学の調査の対応に追われた。そのときアメリカの先生から電話があり、「若山先生が自己点検委員会の資料を所持しており、それを著者以外から通報されると今後ネイチャーに投稿できなくなるので、論文の撤回を急ぎたい」という申し出があった。著者として調査される側にある人が調査する側の情報を持っているという、異常な状態がまかり通っているのが理研の現状で会った。竹市先生が自己点検委員会の書類を確認したいと言って、見せられた内容は若山研のことではなく、責任のほとんどを笹井先生に押し付けている内容であった。小保方氏が抗議して証言したいと申し出ても受け付けられなかった。この書類は誰かの手によって毎日新聞にリークされ笹井氏攻撃の報道がなされた。山梨大学の情報はすべて毎日新聞かNHKに流れてやまないと事務方幹部は述べていた。「リークさせている内部の幹部の名前もわかっており、若山先生には理研広報からも注意を呼びかけた」とも語っていた。毎日新聞、NHK、週刊文春、朝日新聞などの個人攻撃j記事の中で最もひどかったのは「NHKスペシャル」で、分子生物学会の研究者が出演して番組制作に協力し、調査委員会に提出した資料が無断でどこからリークしたのか番組に使用され、小保方個人の捏造犯行であるかの印象を持たせる番組となっていた。2014年5月末若山氏がバイオサイエンステクノロジーのインタビューに対し「もはやSTAP細胞の存在は信じられない」などとコメントしていた。笹井先生は「若山先生がいらないというならレターは撤回した方がいいが、アーティクル論文はバカンティ先生にお願いするのが筋」という意見を述べた。バカンティ先生はアーティクル論文は撤回すべきではないという見解がメールで送られてきた。若山氏は小保方がキメラマウスの図表を作ったとしてネイチャー誌に通報したためこれが決定打となり、ネイチャー誌からアーティクルも撤回すべきだと言ってきたので、バカンティ先生は「この混乱から抜け出し、前に進もう」とのメールが来て撤回に同意された。クローン技術専門外の小保方氏がキメラマウスの写真が撮れるわけもないのに、若山氏は平然を嘘を言ってのけるほどの確信犯であったようだ。ハーバード大学からの電話で「アーティクルの撤回の件でNHKから取材申し込みがあったが、まだ話し合いが済んでいないのに著者間でしか分からない情報が洩れるのか」という抗議であった。若山氏からNHKにリークされたことは間違いない。そこまで事態は混乱していた。その後バカンティ先生とネイチャー編集部が行われ、「STAP幹細胞のマウス系統のデータに関しては若山先生鹿情報を持ちえない。その人がデーターが間違っているとネイチャーに連絡してきた。STAP幹細胞のデータがアーティクルに入っている以上仕方がない。アーティクルも撤回に同意する」という結論であった。しかも撤回理由書が著者たちが合意した内容とは違った内容に書き換えられていた。つまりSTAP幹細胞は若山研で維持されたマウスの系統ではないという内容に書き変えられ、この時点でもクローン株化した経験のない小保方氏に責任を持たせる悪意が隠されていた。ネイチャー誌に問い合わせると、著者らの同意した撤回理由書の後に、若山氏は他の著者には知らせずに単独で撤回理由書を偽造してネイチャーに送っていた。 外国に日本のアカデミィの醜態をさらけ出すことになるので、著者らは修正撤回理由書は提出しなかった。

(つづく)