ブログ 「ごまめの歯軋り」

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山本光雄著 「アリストテレスー自然学、政治学」 (岩波新書 1977年)

2015年05月10日 | 書評
万学の祖アリストテレスの神羅万象の知識学 第2回

序(2)
現在の[アリストテレス全集(英語版)」は、ロドス島出身の学者であり逍遥学派(ペリパトス派)の第11代学頭でもあったアンドロニコスが紀元前1世紀にローマで編纂した遺稿が原型となっている。ただし、プラトンの場合と同じく、この中にも(逍遙学派(ペリパトス派)の後輩達の作や、後世の創作といった)アリストテレスの手によらない偽書がいくつか混ざっている。現在は、1831年に出版された、ドイツの文献学者イマヌエル・ベッカー(英語版)校訂、プロイセン王立アカデミー刊行による「アリストテレス全集」、通称「ベッカー版」が、標準的な底本となっている。下の表はアリストテレスの著作(ベッカー版)による。出隆監修・山本光雄編集「アリストテレス全集」全17巻もおおむねこの表による。この著作集の題名を見るウだけでも、アリストテレスが万学の祖と言われる由縁が分かる。アリストテレス自筆原稿だけでなく、講義用ノートからなるものも多く、「ニコマコス倫理学」は息子ニコマコスによる父の原稿を編纂したしたもの、「エウデモス倫理学」は弟子エウデモスが編集したものと言われる。アリストテレスの主著と言われる、「形而上学」、「自然学」、「霊魂論」、「ニコマコス倫理学」、「政治学」、「分析論前書」、「分析論後書」、「動物誌」他動物関係著作集、「弁論術」、「詩学」はだいたい真作と認められている。

アリストテレスの著作

   
分野    論理学      自然学     形而上学    倫理学         政治学       その他
                                                   
著作                        
      オルガノン   天体論     形而上学    ニコマコス倫理学   政治学       詩学
      範疇論                      エウデモス倫理学   経済学        問題集      
      命題論     自然学             大道徳学      アテナイ人の国制   小品集
     分析論前書    生成消滅論                                 断片集
     分析論後書    気象論                                  弁論術
     トピカ      自然学小論集
     詭弁論駁論    動物誌     
              霊魂論
              自然学小論集
              動物誌
              動物部分論
              動物運動論
              動物進行論
              動物発生論                                       
                                 
                              
 (つづく)