tyakoの茶の湯往来

日常生活の中から茶道の事を中心に、花の事、旅の事、そして、本や写真の事など、気ままに書いて見ようと思ってます。

夕顔棗を考える

2012-08-17 17:59:05 | 道具は語る
外に出るともの凄い暑さが襲って来るような一日でした。東京も今年一番の暑さだったとか・・・

お盆休みも終り、8月も後半になりましたので、少しずつ道具の入れ替えをしなくては・・・と思いつつ、中々腰を上げない現実がありまして・・・。



夕顔棗

今頃が夕顔の最盛期でもありますので、夕顔棗は夏の茶会などにはよく使われます。
それでも、今風な使い方としては、やはり源氏物語の中から、「夕顔」をテーマとした道具組で使いたいところです。


源氏物語では

夏の暑い最中に、可愛がって育てくれた乳母が病を得て五条の別宅で静養しているために、見舞いに立ち寄ると、乳母の家の隣の小家の塀に見慣れぬ白い花が夕闇に浮かび上がって咲いておりました。

供の者に尋ねると「夕顔」だと教えてくれたのです。「一枝折って参れ」と命じると、その家から女が出てきて、「この花は蔓ものですので扱いにくいですから、これに載せてどうぞ」と香をたきしめた白扇を差し出すのです。

扇には
心あてにそれかとぞ見る白露の 光そえたる夕顔の花

あて推量ですが、源氏の君様と拝察いたします。白露の光にひとしおお美しい夕顔の花 とこんな意味でしょうか。源氏へのラブレターです。
こうして源氏が夕顔の宿の女の虜になって物語は進んで行きます。



源氏香の内 夕顔

前にも書きましたが、源氏物語の54帖の第1巻の桐壺と最終帖の夢浮橋を除いた52帖が図案化されたもので、お香をそれぞれに当てるゲームとして今日に伝わっております。

また、季節ごとに様々な茶道具や着物の意匠として使われ季節感や風雅を表しております。

「夕顔之墳」といわれる場所があるそうで、物語に登場する人物のお墓がある不思議さ・・・。

源氏物語がいかにたくさんの人達に読まれ語り継がれていたかが理解できる証しでもあります。


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