トランプ大統領はシリアへのミサイル攻撃から間髪入れず、原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島へ派遣しました(写真左)。ティラーソン米国務長官は9日、シリア攻撃が北朝鮮をけん制したものだったことを明らかにしました。東アジアはトランプ大統領の下で、まさに現実的な危機に直面しています。
その危機の最前線に立たされているのが、沖縄です。
11日付琉球新報によれば、潜水艦や特殊部隊を支援する米軍の支援船「C・チャンピオン」が9日那覇軍港に寄港し、10日出港しました。韓国・釜山から沖縄へ来たもので、「米政府による北朝鮮への軍事力行使が取り沙汰される中、C・チャンピオンの動きは米軍特殊部隊と関連している可能性がある」(同紙)とみられています。
米軍は現在韓国軍との共同演習で「北朝鮮上陸」を想定した訓練を行っていますが、そこでは普天間基地に所属するオスプレイが参加しています(写真中)
こうした米軍の直接的な行動と同時に、沖縄で進行している重大な問題が、米軍と自衛隊の一体化(共同行動)です。
日米安保条約を深化させた戦争法(安保法制)が施行(3月29日)されて1年になりますが、法案成立の直前(15年4月)、安倍政権は「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」で、米軍と自衛隊の「共同計画策定の強化・更新」を規定しました。
在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官は3月8日の記者会見で、「個人的意見」としながら、「在沖米軍基地の在り方について『沖縄の全ての基地』を対象に『自衛隊と共同使用すべきだ』と述べ」(3月9日付琉球新報)ました。
このニコルソン発言について稲田朋美防衛相は3月10日の衆院安全保障委員会で、「何ら決まったことはない」としながら、「『今後充実させるべきだ』と同調」(3月11日付琉球新報)しました。
糸数慶子参院議員(沖縄の風)が質問主意書で「共同使用」についてただしたのに対し、安倍政権は今月7日に閣議決定した答弁書で、「決定していないため、答えることは困難」と明言を避けながら、否定はしませんでした。
「沖縄の全ての基地の共同使用」へ向け、すでに米軍と自衛隊の共同訓練は急増しています。
特に増加が著しいのはキャンプ・ハンセン(本島中部)で、「ハンセンでは沖縄に配備されている陸上自衛隊第15旅団の部隊が射撃や市街地戦闘、爆破訓練などを実施」(3月11日付琉球新報)しています。年度ごとの訓練回数は、07年度=1回、08年度=6回、09年度=8回、10年度=8回、11年度=14回、12年度=24回、13年度=36回、14年度=47回、15年度=95回、16年度(2月末まで)=85回と12年度以降急増しています(同紙より)。
また、米軍基地内での自衛隊の「研修」参加も増加しています。
「自衛隊による県(沖縄―引用者)内の米軍基地内での『研修』が増加傾向にあり、2015年度は記録が残る08年度以降最多の48回に上ったことが防衛省の資料で分かった。…実践的な経験を積む事実上の『共同訓練』で、日米の軍事一体化が進む実態が浮き彫りとなった」(1月10日付沖縄タイムス)
同紙によれば、在沖米軍基地内での自衛隊の「研修」参加は、08年度=26回、09年度=31回、10年度=35回、11年度=40回、12年度=44回、13年度=42回、14年度=41回、15年度=48回にのぼっています。
安倍政権が目論んでいる辺野古新基地建設や、石垣、宮古、与那国など八重山諸島への自衛隊配備が強行されれば、米軍と自衛隊の一体化がさらに急速に進行するのは明らかです。
トランプ政権による現実的な危機の下、米軍と自衛隊の一体化・沖縄の前線基地化を阻止するためにも、辺野古新基地建設・八重山への自衛隊配備に反対することは、沖縄だけでなく、「本土」の私たちにとっても喫緊の課題です。