アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「トランプ氏の核戦争」に巻き込まれる現実的恐怖

2017年04月08日 | 日米同盟と安倍政権

           

 トランプ大統領によるシリア空爆、それを間髪入れず支持した安倍首相。日本が戦争しかも核戦争に巻き込まれる現実的な恐怖に身震いします。

 シリアが化学兵器を使ったという証拠はなく、仮にあったとしても、空爆は一般市民も巻き込む無差別の殺戮であり、それによって事態が好転するどころか悪化するのは必至で、どこからみても「あまりに乱暴で無責任な武力の行使」(8日付朝日新聞社説)です。

 とりわけ重大なのは、この空爆が、国連安保理も、(オバマ前大統領によるシリア空爆に歯止めをかけた)米議会も無視し、トランプ氏の独断・即決によって行われたことです。しかもその動機は、低迷する支持率の挽回やオバマ氏への対抗心というきわめて恣意的なものです。

 明かなことは、トランプ氏が民主主義のルールや国内外の世論、まして良識などまったく眼中にない、自分がやると思ったらいつでも戦争のボタンを押すこの上なく危険な大統領だということです。

 この恐怖は、言うまでもなくシリア・中東だけの問題ではありません。むしろ米中首脳会談の最中に行われた今回の空爆は、北朝鮮をめぐって中国をけん制する狙いだったともみられています。トランプ氏はすでに北朝鮮に対する武力行使(金正恩氏の暗殺を含め)のボタンに指を置いており、いつ実行しても不思議はありません。

 情勢がまだ今ほど緊迫していなかった時に新聞で読んだ専門家(米モントレー国際問題研究所部長ジェフリー・ルイス氏)の論考が思い起こされます。

 「2016年2月、トランプ氏は金正恩氏について聞かれ、次のように言ったものだ。『私なら、あれやこれやのやり方で、一瞬にして中国にあいつを消してもらうようにする
 今から1年前、この脅しに誰も注意を払わなかった。トランプ氏はまだ米大統領ではなく、朝鮮半島は今ほど危機的状況ではなかった。しかし、トランプ氏は今や大統領なのだ」
 「北朝鮮は、日韓に駐留する米軍と武力衝突する事態になれば、核兵器を先に使う計画だ。米国にショックを与え、北朝鮮への侵攻を阻止するために」(3月5日付中国新聞=共同配信)

 トランプ氏は8日(日本時間)の習近平氏との会談で、中国が北朝鮮を抑えないならアメリカが自分でやる、と言いました。中国が金正恩氏を消さないのなら自分が消す、ということでしょう。トランプ氏のこのサインによって、北朝鮮が核兵器を先制使用する恐れはきわめて大きくなったと言わざるをえません。その標的は、韓国であり日本です。

 まるで小説か映画のようなシナリオですが、これは現実です。そして日本は間違いなく当事国の1つです。沖縄をはじめ全土に米軍基地があり、安倍首相が世界のだれよりも早くトランプ氏の空爆を「支持・理解・評価」する日本は、いつ北朝鮮の核攻撃の標的になっても不思議ではありません。

 この根源は、日米安保条約による日米軍事同盟です。日米安保・軍事同盟を解消する以外に、何をするか分からないトランプ氏が引き起こす核戦争に、私たちが巻き込まれる恐怖から逃れる道はありません。


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