いま、私たちは、重大は岐路に立っています。
朝鮮半島をめぐるトランプ大統領と安倍首相のこの間の言動を振り返りましょう。
●4月上旬の日米高官協議で、米国務省高官は日本政府に対し、「中国が北朝鮮への圧力を強化するか、米国がストライク(攻撃)するか、二つに一つの選択肢しかない」と明言(12日付共同配信)
●安倍首相との電話会談で、トランプ氏は「全ての選択肢がテーブルの上にある」と言明(6日)
●トランプ氏は、アサド政権が化学兵器を使用した証拠がないまま、国連安保理も米議会も無視して、シリアをミサイル攻撃(日本時間7日未明)
●安倍首相はトランプ氏のシリア攻撃に対し、直ちに「支持する」「理解している」「高く評価する」と表明(7日)
●米中首脳会談でトランプ氏は習近平氏に、「中国の協力が得られなければ米単独行動も辞さない」と言明(7日)
●米国家安全保障会議(NSC)がトランプ氏に在韓米軍に核兵器を配備するよう提案した、と米NBCテレビが報道(7日)
●トランプ氏が原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃団を朝鮮半島に派遣。沖縄・嘉手納基地にF22ステルス戦闘機配備(8日)
●トランプ氏との電話会談で、安倍首相は「同盟国や世界の平和と安全のために強く関与していることを高く評価する」と改めて表明(9日)
●北朝鮮外務省は「わが国に対する米の侵略策動が実践段階に入った。米はみずからの横暴な行為が招く破局的な結果の全責任を負うことになる」と表明(10日)
●海上自衛隊と原子力空母カール・ビンソンの「共同訓練」計画が判明(12日)
以上の経過から明らかなのは、トランプ氏による北朝鮮攻撃は一触即発の段階であり、安倍政権は政治的にも軍事的(自衛隊)にも、トランプ政権との一体化を強めているということです。
これに対し北朝鮮が対抗手段として、いつ「ミサイル発射」を行っても不思議ではありません。たとえ北朝鮮はデモンストレーションや実験・訓練のつもりでも、トランプ氏はそれを口実に(あるいは「兆候」をねつ造して)北朝鮮攻撃を開始するでしょう。
まさに「第2の朝鮮戦争」、いいえ、朝鮮戦争はまだ終結していませんから、「朝鮮戦争の再開」にほかなりません。
これに対し日本は、日米軍事同盟によって米国と運命を共にし、さらに戦争法(安保法)によって直接的に米軍を支援(共同行動)することになります。
これは日本が明確な戦争当事国になるということです。
その戦争は、トランプ政権による北朝鮮侵略戦争です。上記の事実経過で明かなように、一方的に戦争をしかけているのはトランプです。安倍政権はトランプ政権とともに、かつて日本が侵略し植民地にした朝鮮をふたたび侵略することになるのです。
日本のメディアは例外なく常に、「北朝鮮の挑発」という表現を使っていますが、挑発しているのはアメリカの方です。上記の出来事は米韓軍事演習が行われている中で起こっていることです。
北朝鮮は一貫して朝鮮戦争の平和条約締結と、アメリカとの直接会談を望んでいます。それを拒否し、韓国、日本に基地を置き、共同演習を繰り返して軍事的圧力をかけ続けているのはアメリカです。どちらが挑発しているか明らかではないでしょうか。「核保有」についても、アメリカが核大国であるみずからの核保有は合理化し、さらにインドなどの核保有は容認しながら北朝鮮にだけ放棄を迫るのは道理に合いません。
事実に基づかず日米両政府がいうままに「北朝鮮の挑発」と繰り返す日本のメディアは、「大本営発表」の戦前・戦中の新聞・ラジオとどれほどの違いがあるでしょうか。
トランプの北朝鮮攻撃と同時に、日本は戦争当事国となり、その瞬間に日本国憲法第9条は死滅します。1931年~45年の侵略戦争の歴史的教訓も吹き飛びます。
そういう歴史的岐路に、今私たちは立っているのです。
その「今」を生きている者の責任として、主張します。
トランプ大統領は北朝鮮に対する挑発・圧力を直ちにやめ、武力攻撃を断念せよ。
安倍政権はトランプ政権への従属、自衛隊と米軍の一体化をやめよ。
日米安保条約第10条に基づいて直ちに同条約の廃棄を通告し、日米軍事同盟を解消して、非同盟・中立の日本にしよう。