アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

新型肺炎対策で朝鮮窮地・今こそ経済制裁解除を

2020年02月20日 | 朝鮮半島・在日コリアン差別と日本

   
 新型肺炎は「市中感染」の様相を呈する新たな段階に入りました。世界有数の医療体制をもちながら、安倍政権の対策の不備が感染の不安を広げています。一方、厳しい経済・医療状況の下、国を挙げて懸命に新型肺炎の危険とたたかっている国があります。隣国・朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)です。

 「北朝鮮 存亡かけ鎖国 経済制裁下 脆弱な医療体制」。6日付沖縄タイムス(共同配信)はこうした見出しでこう報じています。
 「中国での新型コロナウイルス拡大を受け、医療体制の脆弱な北朝鮮が鎖国状態に入った。制裁による経済苦が一層深まる恐れがあるが、「国家存亡にかかわる問題」(朝鮮労働党機関紙、労働新聞)への対応を優先した」

 中国人観光客は朝鮮の貴重な外貨収入源ですが、感染予防を優先して朝鮮は1月下旬からその受け入れを停止しています。貿易も9割以上が中国との関係ですが、それも制限しています。 

 「朝鮮では1月24日、国家の緊急措置に基づき、新型コロナウイルス感染症の危険がなくなるまで、衛生防疫システムを国家非常防疫システムに転換し、中央と地方に非常防疫指揮部を設置、防疫活動を統一的に実施している。…現在、ウイルスの発生地域はもちろん国境地帯への出張、旅行を極力制限し、入国者との接触も完全に遮断するほか、国際列車・国際航路の運行と観光事業を中断しており、一連の措置は国家非常防疫システムが解除されるまで継続されるとしている」(17日付朝鮮新報デジタル版。写真右は治療の研究を行っている朝鮮の医療機関=同紙より)

 こうした対策によって、朝鮮では感染者は出ていないといいます。朝鮮指導部は、「経済苦が一層深まる恐れがある」ことを覚悟で「国家存亡にかかわる問題」として取り組んでいるのです。こうした状況が長引けば、経済的困窮がさらに深刻になるのは必至です。

 私たち日本人は朝鮮のこの窮状を座視していて良いのでしょうか。

 そもそも朝鮮に対する「経済制裁」は、核超大国・アメリカとその同盟諸国が、朝鮮を経済的に追い詰めるために行っている不当な政治的圧力です。安倍政権は「拉致問題」を口実に他国を上回る「独自制裁」まで行っています。

 朝鮮に対する経済制裁は一刻も早くやめるべきです。朝鮮が国家存亡をかけて新型肺炎の危険とたたかっている今こそ、制裁解除の時機(とき)です。

 安倍首相は施政方針演説(1月20日)で、「東日本大震災では、163の国と地域から支援が寄せられた。…今、この場から、皆さんと共に、感謝の気持ちを表したい」と述べました。その「163の国」の中に朝鮮が入っていることを安倍氏は知っているのでしょうか。

 東日本大震災だけではありません。阪神淡路大震災(1995年)の時も日本は朝鮮から支援を受けました。朝鮮学校は両震災で被災者の避難所となりました。西日本豪雨災害のときも朝鮮学校の生徒たちはボランティアで被災地に入りました。

 私たち日本人は朝鮮半島の人々に対して植民地支配の歴史的責任があります。その加害責任をいまだに謝罪すらしていません。それどころか逆に、日本政府は朝鮮を敵視し、日本社会は在日朝鮮人に対して新たな差別さえ続けています。にもかかわらず、朝鮮政府、在日の人々は日本が窮地に陥っているときは援助の手を差し延べてくれているのです。

 朝鮮が窮地のときは私たちが支援するのはあまりにも当然ではないでしょうか。まして私たちには加害責任があるのです。「(北)朝鮮に対する経済制裁の解除を」の声を今こそ上げるべきです。
 朝鮮の窮状に対する傍観・無関心は安倍政権の朝鮮敵視に加担するのと同じではないでしょうか。


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