アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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ウクライナ戦争を「第2のベトナム戦争」にしないために

2024年09月11日 | 国家と戦争
   

 ハンギョレ新聞(3日付日本語電子版)に、「ウクライナ戦争は誰にとっての「ベトナム戦争」になるのか」と題したコラム(同紙国際部専任記者、チョン・ウィギル氏)が掲載されました。きわめて的確な分析・論評と思います。要点を抜粋します。

<ウクライナのドネツクに住んでいたロシア系高麗人のナタリア・ソさん(34)にとって戦争の開始は、ロシアがウクライナ侵攻を始めた2022年2月24日ではなく、1週間前の2月18日だ。ドネツク西部の衛星都市で生活していたソさんは、その日からウクライナ軍の砲撃を受け、避難せざるをえなかった。

 ウクライナにとってこの戦争は「ロシアの侵略戦争」であり、米国などの西側にとってはロシアの本能的な拡張野心を防ぐ戦争であり、ロシアにとってはウクライナ国内のロシア系住民を保護する「特別軍事作戦」だ。ウクライナ系住民にとっては「祖国防衛戦争」であり、ロシア系住民にとっては「自治と独立の戦争」だ。
 このような主観を取り払うと、ウクライナ戦争は西側とロシアの勢力圏戦争だ。その客観的状況はいま、ロシアにとっての第2のアフガニスタン戦争になるか、西側にとっての第2のベトナム戦争になるかという地点だ。

 戦争後はグローバルサウスの浮上が明確になった。西側の同盟国であるサウジアラビアやブラジルなどは対ロシア制裁に参加せず、ロシアとの交易を拡大した。非西洋の新興大国の集まりであるBRICSには、サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)・エジプト・エチオピアの加盟が昨年8月に決まった。

 米国の1000億ドルなど、西側は2000億ドルを超える軍事経済援助をウクライナに提供したが、この戦争で死活的な砲弾はほぼ10対1の水準でロシアが優位だ。ウクライナのクルスク攻撃後、両者は相手の領土、特にエネルギー施設に対する攻撃を強化している。このような消耗戦で誰が有利なのかは明確だ。

 相手の領土内のエネルギー施設などに対する攻撃は、ロシアが戦争1年目の2022年10月に始めた。その直前の9月末、ロシアとドイツを結ぶパイプラインのノルドストリームが爆破された。当時西側はロシアの自作自演だと示唆したが、ロシアは西側とウクライナに相応の報復を誓った。最近になりドイツはこの事件がウクライナ側の仕業だとして、ポーランドに逃亡した関連者を指名手配した。

 この戦争で確実なことは、もはやウクライナはロシアから完全に分離するしかないということだ。ウクライナ国内のロシア系地域や住民問題も、当該地域に自決権を付与するレベルで処理し、ウクライナは西側とロシアの間の緩衝地帯として残らなければならない。これを認めないのであれば、現時点ではウクライナ戦争は、ロシアの「第2のアフガン戦争」というよりも、むしろ西側の「第2のベトナム戦争」になる公算が大きい。>

 ベトナム戦争(1964~73)はアメリカのプロパガンダ(「トンキン湾事件」)に端を発したアメリカの覇権戦争で、多くのベトナム人、米兵が犠牲になりました。

 ウクライナ戦争を「第2のベトナム戦争」にしてはいけません。そのためにはウクライナは「西側とロシアの間の緩衝地帯として残る」、すなわち中立化することです。領土問題は「当該地域に自決権を付与」することで処理することと合わせ、即時停戦・和平のための現実的で有効な主張と考えます。

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