


フランス、ドイツ、イタリアの首脳が16日そろってウクライナを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談。「兵器提供の継続」を表明し、「欧州とウクライナの結束をアピール」(17日の朝日新聞デジタル)したと報じられました(写真右)。
この3ヵ国首脳の行動は、はたして各国市民の世論を反映したものでしょうか。
民間のシンクタンク・欧州外交評議会(ECFR)の直近の報告書が、ウクライナ戦争に関する欧州各国の世論調査(10カ国、約8000人)を掲載しています。
それによると、「和平派」が35%、「正義派」が22%、「どちらとも言えない」は20%、「その他」23%となっています。
「和平派」とは、「早期に戦闘を停止し、交渉をはじめるべき」、すなわち「戦争終了のためにウクライナ側の多少の譲歩もやむを得ない」とする考え方であり、「正義派」とは、「ロシアに代償を払わせ、ウクライナは国土を取り戻す」、そのためには「戦闘の長期化、死傷者の増加もやむを得ない」とする考え、とされています。
「早期停戦」の「和平派」が、「戦闘長期化やむなし」の「正義派」を10ポイント以上上回っている。これが欧州各国の市民世論の実態です。
さらに国別に「和平派」と「正義派」の割合を見てみると(「和平派」の割合が多い国から)、①イタリア「52%」対「16%」②ドイツ「49%」対「19%」③ルーマニア「42%」対「23%」④フランス「41%」対「20%」⑤スウェーデン「38%」対「22%」―となっています(以上、17日のNHK国際報道2022より)
今回ウクライナを訪問した、フランス、ドイツ、イタリア各国は特に「和平派」が多く、いずれも「正義派」を2倍以上上回っている国です。
3カ国首脳がゼレンスキー大統領に武器供与の継続を約束し、戦闘長期化を後押ししたことが、各国市民の意思に反していることは明らかです。
さらにこの調査結果は、各国首脳だけでなく、国家と一体となって戦争促進報道を続けている西側メディアも、市民の意思と大きくかけ離れていることを示しています。
世界の良識はいまだ健在です。アメリカはじめNATO諸国、そして日本政府は、ウクライナへの武器供与・軍事支援をやめ、直ちに停戦協議へ向かう外交をすすめるべきです。それが主権者である各国市民の意思に沿うことです。