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韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が16日来日し、岸田文雄首相との会談で強制動員被害者(元「徴用工」)に対する「第三者(肩代わり)弁済」方針を改めて確認し合いました。
今回の日韓首脳会談の最大の狙いは何だったか。来日直前、ユン氏は朝日新聞などの文書質問に答えてこう述べています。
「安保分野で韓米日の連携の重要性が高まっており、そのために3国間で実質的かつ効率的な安保協力が行われる必要があると考える。…韓米日3カ国間の安全保障協力をより包括的かつ戦略的に深めていくことが重要だと考えている」(16日付朝日新聞デジタル)
「安全保障(安保)」という言葉は「軍事」と置き換えて正解です。それはこの場合だけではありません。「安保3文書」は「軍事(軍拡)3文書」であり、「安保条約」は「軍事条約(同盟)」です。
ユン氏は、今回の訪日・首脳会談の目的が、日韓米軍事協力を「包括的かつ戦略的に深めていく」ことにあると強調したのです。その背景にはアメリカの強い要請(圧力)があります。
米国務省のプライス報道官は、日韓首脳会談について「米国の確固たる同盟国の二国間関係を前進させる努力を示すものになる」(14日の記者会見=16日朝日新聞デジタル)と賛美し、岸田政権幹部も「日韓正常化を一番喜んでいるのは米国だ」(17日付京都新聞=共同)と述べています。
このバイデン政権の戦略を実現するために不可欠だったのが強制動員問題の「解決」であり、そのための「第三者弁済」方針です。
だからバイデン大統領はユン政権が同方針を発表した直後に、「2つの同盟国間の協力関係の歴史における新たな章の始まりだ」とまで言って絶賛し(6日、写真中)、「ユン大統領を4月に国賓として米ホワイトハウスに迎えると発表し、「解決策」を示した韓国を厚遇する姿勢を見せた」(16日付朝日新聞デジタル)のです。
日本のメディアが挙げて首脳会談を賛美したのとは裏腹に、韓国では強制動員被害者を先頭に各地で市民の激しい抗議活動が行われました(写真右)。
「韓日首脳会談が行われた16日、全国各地で政府の強制動員解決策に反対する集会が開催された。集会参加者たちは、今回の韓日首脳会談は強制動員被害者の権利を踏みにじって行われたものだと批判した」(17日付ハンギョレ新聞日本語電子版)
「進歩系の56団体からなる「平和ナビ大田行動」はこの日…記者会見を行い、「強制動員被害者に対する政府の第三者弁済方針は…司法主権を放棄する屈辱的解決策であり、戦犯国家と戦犯企業に免罪符を与える親日売国解決策」だとし、「…首脳会談に反対する」と述べた」(同)(韓国で「親日」とは日本の侵略・植民地支配を免罪・容認する勢力のことです)
今回の日韓首脳会談は、日韓米の軍事協力(実質的3カ国軍事同盟)をいっそう強化するためのものであり、その突破口になったのが「第三者弁済」方針です。強制動員被害者(大法院で勝訴した原告)はその踏み台になったのです。
これは歴史的にどういう意味を持つでしょうか。
強制動員被害者は、帝国日本の侵略・植民地支配の犠牲者である上に、「解放」(日本の敗戦)から78年たった今、今度は米戦略とそれに追随する日韓両政府の3カ国軍事協力・同盟強化の犠牲者になろうとしている。軍事大国の二重の犠牲者になろうとしているのです。
そして日本は、強制動員被害者の二重の被害にいずれも直接かかわる二重の加害者です。私たち日本人はそのことを肝に銘じなければなりません。