アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「北朝鮮がミサイル」と偽情報を流した日本政府

2023年08月25日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
   

 24日午前3時54分、Jアラートが鳴りました。その内容は「北朝鮮がミサイル発射」。しかし、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が発射したのはミサイルではなく、事前通告(22日)の通り人工衛星でした。政府がJアラートで流した情報は虚偽だったのです。

 重大なのは、これが過失ではなく、政府による意図的な偽情報流布だったことです。また、NHKや民放も政府と一体となって、「北朝鮮がミサイル」という虚偽報道を続けました。

 24日朝の事実経過を振りかえります。

3:54 Jアラート「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難してください」(写真左)

3:57 NHKニュース速報「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」

4:07 エムネット「ミサイル通過。ミサイル通過。先程のミサイルは4時00分頃、太平洋へ通過したものとみられます。避難の呼びかけを解除します」

4:45 松野官房長官会見(1回目)「北朝鮮が弾道ミサイル技術を使用した発射を行った」

5:00すぎ 岸田首相「ミサイルか衛星か、いま分析中」(写真中)

6:30 松野官房長官会見(2回目)「衛星の可能性がある」

 経過から明らかなように、政府は午前5時段階でも「ミサイルか衛星か分析中」(岸田首相)であったにもかかわらず、発射と同時に「ミサイル」と断定し、Jアラートやエムネットで繰り返し流したのです。意図的な情報操作であることは明白です。

 ミサイルと人工衛星が別物であることは言うまでもありません。ミサイルは「軍事殺戮兵器」です。人工衛星はロケットで地球周回軌道に乗せるもので、目的によって「通信」「気象」「偵察」など多様です。その区別は厳密でなければなりません。だから松野氏や岸田氏に対し記者からその点の質問が相次いだのです。

 政府は「弾道ミサイル技術を使用」する点でミサイルも人工衛星も同じだと言いますが、基礎技術が共通だから同じだというなら、核兵器と原発もまさに同じです。ミサイルと人工衛星が同じだというなら、原発も核兵器と同じく絶対に製造・使用してはならないはずです。

 政府が意図的に「北朝鮮がミサイル発射」の偽情報を流した狙いは、第1に、「朝鮮脅威」論を煽り、朝鮮に対する嫌悪感を拡大すること。第2に、PAC3配備はじめ沖縄の軍備増強いっそう進めること。第3に、「中国・朝鮮脅威」論をテコに大軍拡予算を強行すること。第4に、キャンプデービッドで合意した日米韓3カ国軍事一体化をすすめること―です。

 メディアの責任も問われなければなりません。
 NHKは直ちに「北朝鮮がミサイル」の速報を流したうえ、ミサイルではないと判明したにもかかわらず、午前7時台のニュース終了まで「北朝鮮ミサイル情報」の告知を出し続けました(写真右)。TBSにいたっては昼前のニュースでも「弾道ミサイル発射」と報じました。これらは政府に追随した明らかな虚偽報道です。

 折しも、政府の偽情報も加担した「流言飛語」で多数の朝鮮人が虐殺された「関東大震災」(1923年9月1日)からもうすぐ100年目。政府やメディアの偽情報がいかに重大な事態を招くか、歴史の教訓をいまこそ想起しなければなりません。
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