アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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ウクライナ政府に軍事支援を約束した上川外相

2024年01月11日 | 国家と戦争
   

 上川陽子外相は7日ウクライナを訪れ、クレバ外相、ゼレンスキー大統領と相次いで会談しました。

 ゼレンスキー氏に対し上川氏は、「ウクライナが提唱する和平案「平和の公式」の議論に日本が貢献する考えを伝え」(9日付京都新聞=共同)ました(
写真左=朝日新聞デジタルより)。

 一方、それに先立つクレバ外相との会談はこう報じられています。
「国際社会の支援疲れが表面化する中でも日本は支援を続けると伝達。対無人航空機検知システムなどを供与するため、北大西洋条約機構(NATO)の基金に新たに約3700万㌦(約53億円)を拠出すると表明した」(同)

 メディアはゼレンスキー氏との会談を大きく取り上げ、「上川氏「和平議論に貢献」ゼレンスキー大統領に伝達」(同京都新聞)など、日本政府が「和平に貢献」するかのように報じました。

 しかし、注目すべきはクレバ外相との会談の方です。「和平」云々はリップサービスですが、クレバ氏に約束したことはきわめて具体的な内容であり、しかもそれは日本が禁止されているはずの軍事支援の約束だからです。

 無人航空機とは、「いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機など」(国交省HP)です。ウクライナ戦争においてロシア、ウクライナ双方がドローンを有効な武器として多用していることは周知の事実です。「対無人航空機検知システム」は武器であり、その「供与」は軍事支援にほかなりません。(写真右はウクライナ上空を飛ぶドローン=朝日新聞デジタルより)

 自民党は安倍晋三政権で「武器輸出禁止三原則」を改悪し、「防衛装備移転三原則」に変えました(2014年)。しかしそれでも「紛争当事国」に武器を移転(供与)することは禁じられています。
 上川氏がウクライナ政府に約束したことはこの原則に明確に違反します。

 それだけではありません。

 アメリカをはじめとするNATO諸国のウクライナ政府に対する「支援疲れ」。NHKはじめメディアはそれを否定的なことと報じていますが、けっしてそうではなく、肯定すべきことです。もちろん、ロシアを利するからではありません。戦争の停止(停戦)を近づけるからです。

 これまで繰り返し述べてきたように、停戦と終戦は別です。今回の戦争の原因・経過・結果については国際的監視の下で外交(協議)によって明確にすべきです。今何よりも必要なのはこれ以上を犠牲者を出さないこと。そのために直ちに停戦することです。
 その意味で、ウクライナに対するNATO諸国の軍事支援の後退は前進的なことです。

 ところが岸田・自民党政権は、「支援疲れが表面化する中でも日本は支援を続ける」と表明し、巨額の軍事支援を約束しました。
 これは軍事同盟国であるアメリカの肩代わりをしようとするものであり、「和平に貢献」どころか、弱火に向かいつつある戦争の火に油を注ぐことに他なりません。
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