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在日英国大使館は6月28日、訪英中の天皇が予定されていた公式行事を終えたことを受け、ジュリア・ロングボトム駐日大使の「総括コメント」を発表しました。朝日新聞デジタル(28日付)が全文掲載しました。
その中で、今回天皇が「国賓」としてイギリスを訪れた意味、日英政府にとっての狙いがどこにあるかを示す注目すべきコメントをしています(以下、「総括コメント」から抜粋、用語はそのまま)。
「今回のご訪英は、日英関係にとってまさに絶好のタイミングで行われました。天皇陛下が国賓晩餐会のスピーチで述べられたように、英国と日本は「かけがえのない友人」であり、日英関係はかつてないほど強固なものへと発展しています。我々はこれまでCPTPP(米国抜きの環太平洋経済連携協定)、GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)、サイバーセキュリティー、デジタル、洋上風力発電、科学技術など、さまざまな重要分野において新たなパートナーシップを築いてきました。特に、昨年の広島アコードの合意は、これらの協力関係をさらにさらに促進させる追い風となりました。
今回のご訪英により、日英関係が未来に向かって進んでいることを世界に発信することができました。地球をより平和で安全な場所にするため両国で協力していくことが改めて強調されました。命を救うための世界との協力をテーマとする2025年の万博への英国の貢献や、来年の空母打撃群の訪問、そしてその先まで、私たちは共に歴史の新たなページを刻んでいきます」
「GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)」とは、日本とイギリスとイタリアが共同ですすめている第6世代ジェット戦闘機の開発プログラムです(写真右は防衛省が公表したイメージ図)。
「昨年の広島アコードの合意」とは、昨年5月17日、G7サミットが開催された広島でスナク首相と岸田首相が会談して合意した「防衛協力などを強化する戦略協定」(23年5月18日付朝日新聞デジタル)です。
それには、「合同軍事演習での英軍の規模を倍増させることや、2025年に英空母打撃群をインド太平洋に再び展開することなど」(同)が盛り込まれています。
ロングボトム大使の「総括コメント」は天皇訪英がたんなる「国際親善」ではなく、きわめて政治的なものであることを明確に示しています。
とりわけそれは、次期戦闘機の共同開発、共同軍事演習の拡大・強化など日英の軍事協力関係を「世界に発信する」「絶好のタイミングに行われた」というより、「絶好のタイミングに」設定されたものだということです。
日英間の軍事協力の強化については、チャールズ国王も晩さん会のスピーチで述べましたが(6月28日のブログ参照)、同大使の「コメント」はそれを具体的に述べたものと言えるでしょう。
木原防衛相が今月下旬に訪英し、次期戦闘機共同開発の段取りを進めることが、天皇訪英を無関係ではないのではないかと書きましたが(6月21日のブログ)、同大使のコメントはその疑惑を裏付けるものです。
NHKはじめ日本のメディアは「国際親善のための天皇訪英」と繰り返し美化しましたが、そうした報道が天皇訪英の危険な実態・狙いを隠ぺいする役割を果たしていることは明らかです。