アリの一言 

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「NATOは違法な組織」国際民主法律家協会が「声明」

2022年03月22日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会

     
 ジャーナリストの乗松聡子氏は「ロシア「悪魔視」に疑問」と題した琉球新報掲載の論稿(17日付「乗松聡子の眼」)で、「この戦争を止めるためにも、西側だけに偏らない情報収集・発信をすべき」と述べています。きわめて重要な指摘です。

 この中で乗松さんは、「50カ国以上の法律家が参加する「国際民主法律家協会(IADL)」の声明では、ロシア軍の行動を「違法な侵略である」と非難すると同時に、NATOを「国連憲章に違反する違法な組織」とし、この侵攻を招いた西側軍事同盟の責任を厳しく問うている」と紹介しています。

 IADLは2月26日に「すべての当事者に軍事行動を直ちに停止するよう要求する」とする「声明」を出しました。そして3月8日、それに続く第2弾の「声明」を発表しました。その「声明」全文から、特に注目される記述を抜粋します(太字も原文)。

< 軍事活動の停止につながる即時停戦

 ロシアは、即時かつ永続的な停戦に同意し、ウクライナからの軍の撤退を開始し、その間に逃亡者のための人道的回廊を作り、人道支援を提供すべきである。 IADLは、ウクライナから逃れてきたアフリカや南アジア出身の人たちに対する人種差別に反対する。

 同時に、NATOは、NATOの直接介入につながりかねない行動を含め、その挑発を直ちに中止しなければならない。ロシアとの国境にあるNATO諸国でのさらなる軍事力増強は挑発的である。この増強には、ポーランドに建設中の新しい米軍基地が含まれ、ロシア国境からわずか100マイルのところに米国の核武装ミサイルを配備する可能性がある。 この基地は開設されるべきではない。

 西側による挑発の停止

 米国とNATOは、10年以上にわたってロシア連邦に対して極めて挑発的な振る舞いを行ってきた。 2014年、米国政府は、著しい超国家主義者やネオナチ勢力を含むマイダン運動を支援し、ウクライナの内政に大きく関与した。

 ソ連と東欧の社会主義諸国が崩壊したとき、米国とNATOは、旧ソ連とワルシャワ条約機構諸国をNATOに統合せず、非同盟・中立の地位に置くことを明確に約束した。 その公約の拘束力を否定しようとする無責任な声がある。しかし、国際法、特に国連憲章は、当時約束されたことを正確に要求しているのである。

 NATOは、国連憲章に違反する違法な組織である。国連憲章は、紛争の平和的解決において国連を支援することができる地域連合を認めているにすぎない。NATOはそのような組織ではない。 NATOは軍事同盟であり、その軍隊はセルビア、イラク、アフガニスタン、リビア、シリアなど多くの事例で攻撃的な目的のために使用されてきた。他国に対する武力行使は、武力攻撃に対する自衛の場合、または安全保障理事会の承認がある場合を除き、禁止されている。

 IADLがNATO軍事同盟を国連憲章の下で違法な編成と見なしているように、IADLは、米国やその他の外国の軍事基地が世界中に拡大することを、憲章の国際紛争における武力行使や武力行使の脅威の禁止に違反する挑発的脅威として一貫して反対してきた。

 世界的な平和交渉では、紛争の根本原因に対処し、中央ヨーロッパに平和地帯を作る必要がある

 この紛争の根本原因に対処し、NATOによるすべての挑発的な行動を阻止するだけでなく、逆転させない限り、中欧に永続的な平和はありえない。国連憲章の文言と精神は、ソ連とヨーロッパの旧社会主義諸国が崩壊した後、この地域全体を非同盟・中立・非武装の平和地帯にすることを求めている。

 一方的な強制措置(制裁)を課すことは、外交ではない

 国連憲章は、加盟国が憲章を遵守し、攻撃的な行動をやめるよう圧力をかける方法として、安全保障理事会に加盟国に対する経済的強制措置を課す権限を与えている。これらの措置は、安全保障理事会だけが合法的に課すことができる。憲章は、加盟国がこのような強制的な措置を一方的に課すことを認めていない。>

 日本はアメリカをはじめとする「西側」が発する情報・論評で溢れています。そんな中、IADLの「声明」が、「NATOは直ちに挑発を中止しなければならない」「NATOは国連憲章に違反する違法な組織」「一方的な経済制裁は外交ではない」と断じたことはたいへん注目されます(写真中はNATO軍の軍事訓練、右はロシアを非難するストルデンベルクNATO事務総長)。

 一言付け加えます。

 NATOが「国連憲章に違反する違法な組織である」と同様に、日米安保条約による日米軍事同盟も国連憲章違反です。日米安保=軍事同盟はさらに日本国憲法にも違反しています。二重に違法です。日米軍事同盟をはじめすべての軍事同盟を廃止することが、かつてなく重要になっています。

 国際民主法律家協会(IADL) 1946年に設立された非政府組織。国際連合経済社会理事会(エコソック)と国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)での協議資格を有している。日本からは日本国際法律家協会が加入している。刑事法学者・新倉修が役員を務める。(ウィキペディアより)

 日本国際法律家協会 1955年にインド・カルカッタで開催されたアジア法律家会議、1956年にベルギー・ブリュッセルで開催されたIADL第6回大会に参加した日本代表による活動を母体に、1957年4月に設立。学者・弁護士はじめ、国際法、国際問題に関心を持つ人やNGO、NPOの活動を通じて人権問題に取り組んでいる人などが集い、活動している(同協会HPより)

 IADLの「声明」は日本国際法律家協会のHPに掲載されています。また、乗松氏が主宰する「ピース・フィロソフィー・センター」のサイトにも転載されています。http://peacephilosophy.blogspot.com/2022/03/statements-by-iadl-international.html

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