アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

少子化問題とジェンダー差別と天皇制

2023年06月16日 | 天皇制と差別・人権・民主主義
   

 岸田文雄首相は13日夜テレビ向けに記者会見し、「少子化対策」をアピールしました。その内容は財源も明らかにしないまま“ばらまき”を羅列する従来の域を出るものではありませんでした。

「少子化問題」の根本は何か。国連事務次長の中満泉氏(写真中)はこう指摘しています。

「先進国では下位に転落した平均年収とともに、ジェンダー不平等が少子化の大きな原因であることは間違いないしっかり理解する必要があるのは、少子化問題は社会の構造的な問題の帰結であって、根本的な問題に対応しなければ、断片的対策では解決しないということだ」(13日付京都新聞=共同)

 すでに多くの識者が指摘していることですが、とくに注目したのは中満氏が次のように述べていることです。

「国際関係や安全保障・軍縮を専門とする私だが、祖国日本にとって今最も大きな脅威だと感じている課題は、実は国内の多様性の欠如と、その最も分かりやすい例としての極端なジェンダー格差である

日本で生まれ育ち教育を受けた私は、日本社会では生まれ落ちた瞬間から目に見えないジェンダー差別や偏見、男女の役割についての「刷り込み」が網の目のように張り巡らされていることに海外に出て初めて気付いた」(同)

 国際的にみても特別根深い日本のジェンダー差別に対する体験を踏まえた強い危機感・警鐘です。

 問題は、その日本のジェンダー差別の根源は何かということです。

 中満氏は「長く続いた慣習や社会文化に基づく不平等」「社会の構造的な問題」としながら、それ以上踏み込んでいません。

 中満氏が触れなかった、世界にもまれな日本のジェンダー差別・男尊女卑の根源、それは天皇制です。

 「LGBT法案」に圧力をかけて改悪したり、「選択的男女別姓」に一貫して反対している自民党内のウルトラ保守・反動派が「日本会議」と関係の深い天皇制賛美グループであることはけっして偶然ではありません。

 折しも今月9日、天皇徳仁と雅子皇后の結婚30年で、NHKは特番を組み、新聞は特集面を設けて祝いました。

 雅子氏は皇太子と結婚したためにそれまで培ったキャリアを放棄せざるをえませんでした。ライフワークともしていた外国訪問も禁じられました。皇室(国家神道)の儀礼・慣習に縛られ、ただ男子を生むことを最大の使命とされました。結果、心身共にすり減らし病気になりました。まさに何重にもジェンダー差別の犠牲を被った「結婚30年」でした。

 その根底にあるのは、「男系男子」のみが皇位を継承するという「万世一系」天皇制の根本原則です。「女性天皇」があれほどとりざたされながら、頑として認めないのは、「男系男子」による皇位継承こそ天皇制の根幹だからです。天皇制とジェンダー差別はイコール・一体不可分なのです。

 徳仁・雅子両氏は結婚30年の「感想」の中で、「世界や社会の変化はこれからも続くものであり、そうした変化に応じて私たちの務めに対する社会の要請も変わってくるものと思われます」と述べています。

 1日も早くジェンダー差別を解消しなければならない日本において、天皇・皇后に対する「社会の要請」があるとすれば、それは家族3人で皇室を離脱し、天皇制廃止(憲法の天皇制条項削除)に協力すること以外にありません。
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