アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

イスラエルに殺されたパレスチナ詩人が遺したもの

2024年03月09日 | 国家と戦争
   

 7日のNHK国際報道2024で、イスラエルによる空爆で殺されたパレスチナ人の教師・詩人のリフアト・アルアライールさん(写真左、中)が紹介されました。以下は同番組から。

 生前、リフアトさんは語っていた。「われわれは物語によってふるさとを愛し、またふるさとによって物語を愛する」「私の家にある武器はペンだけです。もしイスラエル人がわれわれを殺すために家に押し入ることがあれば、私はペンを投げつけるだけです」

 次の詩は、リフアトさんが亡くなる直前に書いたもの。

もしも私が死ななければならないのなら
あなたは生きなければならない

私の物語を伝えるためと
私の遺品を売り
私の布切れと少しの糸を買うために

ガザのどこかにいる子どもが 天を仰ぎ見て
炎に包まれ旅立った父を待つとき

私の凧が 舞い上がるのを見て
ほんのひととき 天使が
愛を届けにきてくれたと思えるように

もし私が死ななければならないのなら
それが希望をもたらしますように
それが物語になりますように

 リフアトさんの教え子のナディヤさん(写真右)が述懐する。

「先生は、「ユダヤ人そのものを憎んではいけない」と教えられました。

 初めての授業で先生は、学生たちに短い物語を読ませ、悪役の視点から書き直すよう言われました。視点によって登場人物の印象がどう変わるかを教えられたのです。他の人種、宗教やその苦難について学生たちに気付かせたかったのです。

 先生自身、アラブ人やイスラム教徒をひいきせず、学生たちにもそうあって欲しいと思っていました。

 学生が無知から少しでも反ユダヤ的な発言をすると、たとえ授業の時間が残り少なくても、先生はその学生を止め、発言を訂正するよう求めました」

 ナディヤさんはいま、リフアトさんの遺志を引き継ごうとしている、一刻も早い停戦を願いながら。

「いま、生きる人たちに希望をもたらす唯一の方法は、この戦闘を止めることです。それが私の祈りであり、願いです」

 以上が番組が紹介した、リフアトさんが遺したものです。

「「言葉とヒューマニティ、それが私たちの武器」と主張する岡真理氏は…『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』(大和書房)において、強大な軍事力を持つイスラエルが集団虐殺の暴力をやめるには、「パレスチナ人が人間である」ということが語られなければならないという」(小川公代・上智大学教授、8日付朝日新聞デジタル)。

 リフトアさんこそ「言葉とヒューマニティ」を武器に、「パレスチナ人が人間である」こと、優れた人間であることを身をもって示したと言えるのではないでしょうか。

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