アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

安倍晋三元首相はなぜ「裏金中止」を指示したのか

2024年03月16日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
   

 自民党の裏金問題で、「2022年に安倍派の会長だった安倍晋三元首相の指示で中止を決めたものの、安倍氏の死去後に復活した」(15日付共同配信など)として、あたかも安倍氏が裏金に反対していた清廉な人物だったかのような言説が国会やメディアで流布しています。とんでもない話です。

 安倍氏はなぜ裏金(パーティー券収益還流)中止を指示したのか。

 それは「桜を見る会」をめぐる政治資金規正法違反による逮捕・起訴を逃れるための自己保身にほかならなかったと言えるでしょう。それを示す記事を抜粋します。

<「前にも言ったけど、ちゃんとやめることにしたんだろうね」。22年4月、つぶやくような低い声が響いた。発言の主は安倍晋三元首相。当時事務総長だった西村康稔前経済産業相らに向けられた言葉に、派閥幹部は即座に還流の中止を決定した。

 安倍氏は22年2月、(還流を)やめるよう幹部に指示した。2度目の政権を終え、復権を目指した時期に足をすくわれた「悪夢」が念頭にあったとみられる。

 「桜を見る会」前日に後援会が開いた夕食会の費用の不足を穴埋めしたとして、市民団体が政治資金規正法違反容疑で刑事告発。20年12月、元公設第1秘書が略式起訴される事態に発展した。

 安倍氏本人も捜査対象となり、不起訴とした東京地検特捜部の判断を検察審査会が一部「不当」と議決。さらに100以上の国会答弁を修正し、陳謝に追い込まれた。21年12月の捜査終了まで問題はくすぶり続け、返り咲きの足かせとなった。

 22年7月、安倍氏が銃撃され急逝。直後に事務総長となった高木毅氏らが協議し、(還流の)復活が決まった。>(1月20日付京都新聞=共同、写真右)

 時系列を整理するとこうなります。

 20年1月 「桜」の政治資金規正法違反で、元公設第1秘書が略式起訴。
      検察審査会が「安倍氏不起訴」は一部「不当」と議決。
 21年12月 安倍氏の捜査終了。
 22年  2月 安倍氏が「(還流)中止」を指示。
 22年  7月 安倍氏の死去で復活。

 安倍氏は清和会(安倍派)の国会議員としてさんざん裏金を作り使い続けてきました。それが22年2月に突然「中止」を指示した。だから派閥幹部は驚いた。それが「桜」がらみだったことは明らかでしょう。

 記事には書かれていませんが、検察との間で「捜査終了・不起訴」と「還流中止」が取引(司法取引)された可能性も否定できません。だから、安倍氏は「中止」の実行に神経をとがらせたのではないでしょうか。  

 安倍氏の「中止」指示にもかかわらず裏金が復活した理由・経過が疑問視されていますが、それは安倍氏の「中止」指示が、あくまでも安倍氏の自己保身(安倍マター)だったから、安倍氏が死去した以上その配慮が不要になった。だから元に戻すこと(裏金復活)は当然だというのが暗黙の了解だったのではないでしょうか。
 だから安倍派幹部らはそろって真相に口をつぐんでいるのではないでしょうか。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする