アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

2つの核心そらし―大軍拡と統一教会問題

2022年12月10日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会
   

 体のがんは確実に取り除かなければ命取りになるように、「国」・社会も病巣の核心にメスを入れなければ滅びます。
 日本はいま、2つの大きな“病気”が進行していますが、メスは入れられていません。大軍拡と統一教会(本質は何も変わっていないので「旧」はつけません)問題です。

 岸田政権は「5年間で43兆円」という天文学的軍拡を公式に表明し、「敵地攻撃」などを明記する「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の軍拡「3文書」を間もなく閣議決定しようとしています。

 これに対して、国会やメディアで行われている議論は、「財源はどうするか。増税か国債か」「敵基地反撃が容認されるのはどういう場合か」というものです。大軍拡と「敵地攻撃」を前提(既定路線)として、その方法論に議論が集中しているのです。
 明らかな議論のすり替えであり、問題の核心そらしです(写真左はNHK)。

 いま議論しなければならないのは、大軍拡(沖縄のミサイル基地化を含む)や「敵地攻撃」が、憲法に照らして許されることなのか、コロナ禍・物価高で市民の多くが生活困窮で苦しんでいる時、なぜ軍事費削減でなく膨大な軍拡なのかです。

 さらに問わねばならないのは、大軍拡・「敵地攻撃」の元凶である日米軍事同盟(安保条約)は憲法上、また平和と民主主義の理念に照らして容認されるものなのかどうかです。

 日米軍事同盟こそが大軍拡の元凶であり、ここにメスを入れない限り、日本の戦争国家化を食い止めることはできません。

 統一教会問題も同じです。

 国会では「被害者救済法案」が、自民・公明に加えて立憲民主、維新、国民民主の賛成で成立しようとしています。被害者救済はもちろん必要です。しかしこの法案は、弁護団も繰り返し指摘しているように、被害者救済の点でも不十分です。

 さらに重大なのは、統一教会問題が、上記の政党やメディアによって、「被害者救済」に絞られてきていることです。これも明らかな核心そらしです。

 永年、統一教会問題を追及してきた元参院議員で俳優の中村敦夫氏はこう指摘しています。

「勢力を広げた教団(統一教会)は、選挙支援を通じて政治に浸透していった。その実態が安倍元首相はじめ自民党議員中心に広く明らかになったが、追及は徹底されない。「やってる風」を示すため政権はその場しのぎの法案を出し、野党も反対すれば無責任と言われるのを恐れ妥協した」

 「なぜこうとんちんかんなのか」として、こう続けます。

「政治家になって何かを成し遂げるより、政治家であり続けることを優先する議員が多いという恐ろしい現実があるからだ。とにかく次の選挙に勝つことに集中するから、社会問題を起こしている教団に入り込まれ、世論に批判されると適当な立法でしのぐ」(8日付朝日新聞デジタル、写真右も)

 さらに付け加えれば、統一教会問題の本質は、A級戦犯(容疑)で米CIAとも関係があった岸信介元首相(安倍晋三元首相の祖父)が深く関わっていたことに示されているように、日本の侵略・植民地支配の歴史、対米従属(この点で日米安保条約と通底)の戦後自民党政治の深い闇と密接な関係にあることです。

 その自民党政治の闇こそが統一教会問題の病巣であり核心です。必要なのはそこにメスを入れ、日本の政治・社会のあり方を抜本的に問い直し、つくり直すことです。

 日本はいま、歴史的な分岐点に立っています。大軍拡と統一教会問題はその象徴です。
 国家権力・自民党は、メディアを操って必死で議論の土俵をずらそうとしています。それに惑わされることなく、2つの問題の核心にメスを入れることが、いま、死活的に重要です。

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