アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

長期収容・病死・自殺・・・放置できない”入管地獄“

2018年10月11日 | 差別・人権

     

 ※「自衛隊と「旭日旗」<下>」は後日書きます。

  「外国人収容者と共にありて」と題し、大村入国管理センター(長崎県、写真左)に収容されている外国人たちに寄り添い、人権擁護に尽力している柚之原寛史牧師の活動が、先日テレビで放送されました(9月30日のNHK・Eテレ「こころの時代」)。

  柚之原さんが面会したイラン人の男性は、反政府活動で弾圧され、来日して難民申請しました。しかし日本政府はこれを認めず、「不法滞在」として大村入管に収容しました。施設内で横行している人権侵害を男性は「手紙」に書いて柚之原さんに手渡しました(写真中、右が柚之原さん)。

 「24 じかん 365 にち…カメラで かんしされている…せいしんてきに いじめられて います…」

 手渡しながら訴えました。「私は入管の本当の状況を、今ここで教え、お話しをしたので、これから何をされるかわかりません。この状況を外の人たちに伝えて、私たちを助けてください

  大村だけではありません。「脱衣所にも監視カメラ 外国人収容 茨城の入管施設 プライバシー抵触も」の見出しで、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の実態を、中国新聞(共同配信、9月24日付)が報じました。

 「6月以降、センターは複数のシャワー施設の通路や脱衣所にビデオカメラを設置。収容者のシャワーブースへの出入りを撮影し始めた。…今回のカメラ設置の判断に収容者の性別は無関係で、女性の場合であっても検討するとしている」

  これらはほんの氷山の一角です。入管施設では「プライバシー侵害」どころか、命にかかわる状況が続いています。
 その実態を月刊「イオ」(朝鮮新報社発行)が今年5月号から3回にわたって「緊急ルポ・入管の収容問題を追って」と題して連載しました(写真右)。その中から―。

  「収容されることが決まった時に携帯電話で妻に連絡を取ろうとしたら、急に顔から床に叩きつけられて数人がかりで腕をねじ上げられ、『息ができない』と言ってもしばらくやめてもらえなかった」(クルド人男性)

 「1年半前くらいにつかまって、ずっと胸が痛いって言っていたのに、病院に連れて行ってくれなかった。2月6日に初めて外の病院に行った。マンモグラフしたら乳がんだった」アフリカ人女性)

 「ビザがないだけ。でも難民申請している。泥棒もしていない、人だましていない、殺していない。日本のやり方100%悪い。保険もない。わたし死んじゃって関係ない?」(クルド人男性)

  そもそも「収容されるかどうか、仮放免になるのかどうか、特別残留許可がおりるのかどうか…など、すべてにおいて基準がなく、入管側の恣意的な判断で決まる。そして理由を明かさない」(「イオ」5月号)。

  事実、大村でも「今までは1年くらいで仮放免されてきたが、昨年から許可されなくなった。なぜなのか理由は示されていない」(柚之原氏)。
 大村入管の被収容者たちが今年はじめ提出した「要望書」によると、「収容者120人中収容期間が1年を超えている者は大半を占めており、2年から3年の者は40人以上もいるという異常事態」(「イオ」7月号)です。
 仮放免されても、その期間中は労働が禁止されているため、家族の生活は危機に瀕します。

 収容期間の長期化にともない、「自殺や自殺未遂が相次いでいる」(前出中国新聞)という深刻な状況になっています。先の牛久入管では、「2010年に日系ブラジル人と韓国人の2人が自殺、14年3月にはイラン人とカメルーン人が相次いで病死、17年3月にもベトナム人が病死」(「イオ」6月号)しています。

  「入管施設の収容期間は法的な上限がない。法務省のまとめでは7月末時点で全国17の入管施設に拘束中の1309人のうち709人(54%)が半年以上の収容で、過去5年で最高の割合。5年以上の収容者もいる」(同中国新聞)

  「そもそも入管の収容問題の根本的な原因は、日本の難民受け入れ政策(受け入れ拒否―引用者)と外国人労働者政策にある…国益のために(外国人を労働力として―同)利用しながら、不都合になると突き放す。日本政府によるダブルスタンダードは根底の部分で、戦後の在日朝鮮人政策につながっている。在日朝鮮人の収容と強制送還を目的として1950年から機能し続けてきた大村収容所の跡地で、現在もなお外国人に対する人権侵害が横行していることも、もちろん偶然ではない」(「イオ」7月号・黄理愛記者)

  私たちのすぐ近くで、いまこの瞬間にも、無法状態の入管施設内で外国人に対する人権侵害が横行し、被収容者の体と命が危険にさらされ、家族の生活が危機に瀕しています。この現実を直視し、絶対に許してはいけません。


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