角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

草履職人の認知度不足。

2015年05月11日 | 実演日記




今日の草履は、東京都杉並区のおじさまのオーダー草履です。二年前の桜まつりで初めてお買い上げくださり、このたびはお買い換えでお立ち寄りでした。一つは在庫からお選びでしたが、洗い替え用にもう一足オーダーとなったのがこちらです。七十代も後半かと思うおじさまですが、とってもお洒落な配色をご指定くださったのが嬉しいですね。明日の便で出発いたしま~す(^^)/

桜まつりからゴールデンウィークにかけて、ご愛用者のお訪ねが相次ぎます。遠く県外からお買い換えのお客様もいれば、県内のご愛用者が桜見物ついでにお立ち寄りも多いです。お買い上げの有無にかかわらず、ひとまず顔を見て行こうかと思ってくださるのがとても嬉しいですね。立て続けにご挨拶をいただくと、ちょっとした「著名人」になったような錯覚を覚えるものでした。

「今日の草履」のおじさまは奥様と共にお訪ねです。開口一番おっしゃるのは、『二年前に買ってまた欲しいと思って来たんだけど、場所が分からなくなってねぇ。何人かに訊いたんだけど、誰もあんたのこと知らないんだよぉ』。
人生はうかつに喜ぶと落とし穴があるものです。

有名になることが目的ではないにしろ、地元民にはもう少し認知度が上がる努力が必要かもしれません。明日から四日間お休みしたら、またあまり休まず頑張ることにいたします。ひとまず自分に「お疲れさま~(^^)/」。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最上の商い。

2015年05月10日 | 実演日記
世の中はゴールデンウィークの疲れがあるのでしょうか。日曜日といえど今日の角館は散策される姿が少なかったように思います。それでも出会いのご縁は必ずあるもので、岩手県一関市からお越しのご一行様が草履実演を愉しんでくださいました。ちょうどお昼時間のためレストラン北蔵が満席で、みなさん草履実演を眺めながら席待ち時間を潰していたんですね。

ひとりのおじさまが奥様へのプレゼントにご注文をくださると、ご一緒のおばさま三人が続けてオーダーとなりました。ひとりのおばさまが、『レストランを待たされたうえに余計な出費をしたわね~』。言葉と裏腹におばさまのお顔は笑みに満ちています。続けて私が、『これで私もごはんが食べられますよ~』で一同大笑いとなりました。
お金を支払う側が笑顔になる。手前味噌ですが、これが最上の商いだと思っています。

今年の桜まつりでご縁のあったお客様から、お手紙やメールをいただいています。先日届けられたメールをご紹介しましょう。


こんにちは、沙佳屋さん。

本日、秋田角館から嬉しいお荷物が到着しました。早々と創ってくださって感謝しております。

可愛いおばこが着ていた着物の生地の様・とっても気に入りました。ありがとうございました。

主人も落ち着いた品格のある紫系と兎の生地でとっても喜んでおります。

早速、二人でパタパタ履いております。

最初は、土踏まずが刺激され、なんと申しましょうか~むずかゆいというのか、こしょばいというか、

今は心地よくほんわか温かくなってきました!(*^^*)
これですね♪この感触ですね。

毎日履くのが楽しみです。

今回は、桜はみられませんでしたが、沙佳屋さんの草履に出会えたこと、旅のいい思い出になりました!

今度は紅葉の季節、またリベンジで是非桜を観に行きたいと思います。

これからもすてきな草履を創ってください。

ありがとうございました。



お金を支払う側の笑顔を見られたら、お金をいただく側は達成感と満足感に溢れます。この最上の商いが続くよう、お休み明けも精進して参ります。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12日から15日までお休みです。

2015年05月09日 | 実演日記








今日の草履は、東京都文京区のご夫婦のオーダー草履です。お好みのイメージはお伝えいただいたものの、基本的に「完全おまかせ」でした。製作者としては最も緊張するオーダーです。とにかく気に入ってくださることを願って、本日の便で出発しています。

こちらのご夫婦はもうずいぶん前からのご愛用者で、何度もネットでご注文をいただいています。ブログやfacebookもご覧くださり、角館草履と角館の草履職人を深くご理解くださっているお客様なんですね。そのご夫婦がこのゴールデンウィークに、草履お買い換えのためお訪ねでした。それが在庫完売のため、その日はお持ち帰りが叶わなかったわけです。
ゴールデンウィーク後半はそうしたリピーターさんが複数でした。製作数量に限りがあるのはお客様もご承知とはいえ、ほんとに恐縮なものです。

ゴールデンウィーク中のオーダーは、もう数日で編み上げられるところまできました。そこでそろそろ休息をいただきます。12日から15日までの四日間、手を休めるため「草履を編まない日」としました。30日間連続実演は、さすがに疲労感がありますね。16日から再開し、残りのオーダーも出来るだけ早くお届けしたいと思います。どうかもう少しお待ちくださいませm(__)m


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハーフの姉弟。

2015年05月08日 | 実演日記




今日の草履は、一昨日ご紹介の奥様用です。「赤系おまかせ」はこんなデザインにしてみました。ご夫婦ペア感が強くて、私としては満足しています。本日の便で出発しました。喜んでくださることを願っていま~す(^^)/

仙台市からお母さんと子ども二人がお立ち寄りでした。お母さんは日本人ですが、姉弟は明らかにハーフです。でも言葉は違和感のない日本語でしたから、お母さんも交えしばらくおしゃべりとなりました。女の子は中学一年、男の子は小学三年です。
お父さんがイギリス人で、実際イギリスでずいぶん暮らしたんだそうです。その土地は結構な田舎町で、無農薬の野菜を自家栽培し、子どもの遊び場はもっぱら草原や森林、木登りをしない日はないような生活だったといいます。

その後事情があって、お母さんの実家である仙台で暮らすことになりました。家庭内では日本語を多用していたお陰で、子どもたちもすぐに学校へは慣れたそうです。しかし男の子の様子が次第に変わってきました。それは仙台という都会生活が肌に合わなかったこと。そして友達との遊びがゲーム中心だったためです。木登りばかりして遊んでいた少年は、ゲームを友達との「遊び」には思えなかったのでしょう。

角館を訪れたのは、三人でキャンプを楽しんだ帰り道でした。おそらくそれも姉弟のことを考えての遊びメニューだったと思います。そのキャンプ中、お母さんは沢へケータイを落としてしまい、使えなくなったそうです。子どもたちを写真に撮りたいお母さんはしきりに残念がったのですが、男の子がお母さんへ言ったのは、『ケータイをイジっていないお母さん、ボク好きだよ!』。
草履職人のおっさんもこの子が大好きになりました。

二人も私を認めてくれたようで、ずいぶんいろんな話を聞かせてくれましたよ。そして最後に『おじさんの草履履きたい!』。お母さんもそれを笑顔で認めてくれ、入念な配色選びとなりました。
角館で草履を編んでいたおっさんをときどき思い出してくれるように、しっかりと編み上げてお届けするつもりです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GWが終わりました。

2015年05月06日 | 実演日記




今日の草履は、東京都世田谷区のご夫婦のオーダー草履です。在庫がほぼ枯渇してからのご来店だったため、やむなくオーダーとなりました。写真を掲示している定番配色以外に「おまかせ」でもお作りする旨お伝えすると、『それも面白そうだね!』。こちらがご主人ご希望の「紫系おまかせ」、奥様ご希望の「赤系おまかせ」は明日の製作となります。明後日の便までもう少しお待ちくださいませ。

ゴールデンウィークが今日で終わりました。桜まつりは昨日で終わっていて、桜そのものはずいぶん前に終わっています。「桜ざんねん旅」は今日もありました。しばらく前にホテル等の予約を済ませているお客様には、自由な旅程の変更ができません。桜がないと分かってても来てくださるお客様を、私たちはより大事にしなくてはなりませんね。

4月20日に迎えた今年の満開は、いかにも早すぎました。それでも関東地区から満開を目指して訪れる方々は、思いのほか多かったです。聞いてみると宿泊は最初からあきらめて、日帰りで満開を愉しむお客様なんですね。リアルタイムで開花情報を得て、天気予報が晴れと満開日を照らし合わせ旅程日を決める作戦というわけです。とあるおばさまに『よくその作戦を思いつきましたね』と言うと、『なに言ってるのよ~、三年前にあなたが教えたんじゃない!』。確かにそんなお話を何人にもした憶えがあります。

今年の桜まつりの人出集計は、このあと数日のうちに発表されるでしょう。例年「GW中の祝日」「満開」「好天」の三つが重なると、一日二十万人を超える人出があります。もしかしたらですが、今年はそんな爆発的な人出は一日としてなかったかもしれません。それだけいつもとは違った桜まつりになりました。
土手の出店を撤収してきた知人は、『こういう年の撤収は特別疲れる…』。私もかつてはテント商いをした経験がありますから、気持ちはよく分かります。

手前味噌ですが、角館草履はおかげさまで今年もほぼ完売となりました。オーダーを賜っている分は、数日のうちにお作りして発送いたします。全体のお客様は少なくとも、実演席の出会いは今年も愉しいことばかりでありました。初めてご縁のあったみなさま、お買い換えのリピーターさま、誠にありがとうございましたm(__)m
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

応援する人 される人。

2015年05月04日 | 実演日記




今日の草履は、東京都江戸川区の男性のオーダー草履です。茶の唐草をベースにあとはお任せで承りました。ご自分用のほかに母の日プレゼントを含め、合わせて四足のご注文です。ご家族に履かせてあげたいとする男性の心をしっかりお届けするべく、明日の便で草履たちが出発いたしま~す(^^)/
今日も母の日プレゼントにお二人がお買い上げでした。メールによる通販を合わせると、母の日までにお届けするのはもうそろそろ期限と思います。今年もたくさんのお母さんへ草履が届くことになりました。お母さんの笑顔は家庭平和の根幹ですから、及ばずながら私も応援したいと思ってます。

朝ドラ「まれ」が面白くなってきました。主人公の純粋さがよく表現されています。市役所勤務のまれが上司に「お前はなんのためにこの仕事をしているんだ」と叱責されたのに対して、「頑張っている人を応援するためです!」と答えるシーンがありました。自分のことは差し置いて、まずは人様のために働く。まさに彼女はそういう人間です。視聴者はそんな彼女を応援する気持ちでドラマを観ているのでしょう。

4月29日の昼ごろでしたか、ひとりのおじさまが汗をかきながら私を訪ねて見えました。『あ~、これか~。かあちゃんがここの草履を買ってこいって言うんだよ』とおじさま。言葉は明らかに標準語なのですが、上半身の半袖シャツは下着に見えましたし、いわゆる観光でお訪ねとは思えませんでした。詳しくお話を聞くと、なるほど…です。

『小桜舞子って知ってる? ウチのすぐ近所でさ、小さい頃から知ってるわけよ。貧乏歌手でスタッフなんか何人もいないから、俺たちがボランティアで全国ついて回るんだ。車代も宿代も自分持ちだから、結構たいへんなんだけどね。けどやっぱり応援してあげないとさっ!』

小桜舞子さんというのは演歌歌手で、デビュー曲が角館を題材にしています。桜まつりと秋のお祭りに必ず角館を訪れ、ミニコンサートを開くんですね。私は話こそしたことはありませんが、お顔はデビュー当時から知っています。知人には「付き人」のような人もいますよ。
おじさまは舞台設営の手伝いをしている途中、奥様から言いつけられた草履をお求めのため、小走りで西宮家まで来てくださったわけです。

応援してくれる人がいるということは、即ち頑張っているからでしょう。叱咤激励も含めて、誰かに応援されているのは極めて心強いものです。また一方で、応援したい人がいるのも幸せなことではないかと思います。それは汗にまみれた半袖シャツのおじさまの、なんともいい笑顔に表れていました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

嬉しいはビタミン剤。

2015年05月02日 | 実演日記




今日の草履は、北海道寿都町の女性のオーダー草履です。「和柄が好きなんです~」のご希望により、綺麗で豪華な同柄色違いを組み合わせてみました。届くまでどんな配色か分からない女性は、封筒を開けていったいどんなお顔をするのでしょう。ドローンでカメラを飛ばしたい草履職人であります。明日の便で出発ですよ~(^^)/

この二、三日、北海道からお越しのお客様とご縁が続いています。北東北同様まだ暑さを感じるには早い北海道ですから、今日も30℃に近い角館でこれが話題になりますね。
北海道からお越しの別の男性は、『桜を観たくて来たんですけど、ぜんぜんでしたぁ。さっき家に電話したら、満開だから早く帰っておいでって言われましたよ』。男性にしたら笑い事ではありませんが、思わず吹き出してしまいました。「桜ざんねん旅」は今日もずいぶん聞いています。

一ヶ月ノンストップ実演は三分の二超えが消化しました。正直疲れがないと言えばウソになりますが、愉しい出会いは日々続いています。桜ざんねん旅に少しでも笑顔を作られれば、それは即ち草履職人にもビタミン剤となるわけです。
昨日は三女の誕生日で、二十歳を迎えました。三女から私とカミさんへ、「おかげさまで二十歳になりました」とプレゼントを貰っています。思いも寄らない三女からの「謝意」は、疲れた体に大きなビタミン剤となりました。あと九日間、しっかり務め上げたいと思います。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする