角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

二十年ぶりの紙風船。

2016年02月12日 | 地域の話
冬場でも角館から車で一時間足らずのところに、「仙北市上檜木内」という集落があります。普段は山間の小さな集落なのですが、毎年2月10日だけは人でごった返すんですね。それは小正月行事の一つ「紙風船上げ」。巨大な紙風船にガスバーナーで熱風を送り込み、キンキンに冷えた冬の夜空に放します。いくつもの紙風船が真っ暗な空へと吸い込まれる様子は、「幻想的」という言葉が最もしっくりくるでしょう。二十年ぶりに観てきました。















江戸時代の科学者平賀源内が、阿仁鉱山視察の途中同地区に伝えたと云われます。その後地域の先人たちが「五穀豊穣」「家内安全」を願い、また冬の娯楽として現在まで続けられてきました。上檜木内地区は小さな集落が点在していて、その集落毎に紙風船を上げます。仮設のテントやビニールハウスでは温かい食べものを提供していて、それも集落単位でした。強い団結力が傍目にもよく分かりましたね。

その翌日、つまり昨日のこと、千葉県からお越しのおばさま四人グループがお立ち寄りでした。うちのおひとりが、『一年ぶりね~。あれからずーっと履いてるわよ~!』。昨年に引き続き二年連続の紙風船見物だそうです。言われてみて一年前の記憶が蘇りました。おばさまはこのブログもお読みくださっているとのことで、『ブログ面白いわよ。本になるんじゃないの!?』。さすがにそういう予定はございません。

明日と明後日は角館の小正月行事「火振りかまくら」です。横手市の「かまくら」や湯沢市の「犬っこまつり」も開幕間近で、秋田県の冬行事が出揃いました。
雪と寒さに明るいイメージは少ないですが、そんな土地で脈々と伝えられてきた行事ばかりです。過疎化、少子高齢化が避けられない現実だからこそ、未来へ伝える工夫が重要と思います。それこそ「本」にして遺すべきじゃないですかね。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 見ている子どもたち。 | トップ | 人生の軌道修正。 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
㈱わらび座造園 (山田みき)
2016-02-13 14:45:35
ナイスショット!一昨年の、わらび劇場”げんない”の名シーン角館武士、小田野直武の”雪蛍と申します”のセリフが蘇りました。隣人が亡くなっていても気付かない?!世の中。小正月行事を改めて感動の気持ちで見ています。村は家族!と言ったリキノスケしかり!苦労し、助け合い、喜び合う、悲しみも分かち合う。そんな嘗ての”村”の質感。もっと大きな規模で再生して行くのかも知れません。フランスから御客様。”日本、優しい、美しい、本当に好きです。”海外の方の言葉に、どこかで人の為に”優しい”事をしている日本人を思います。
返信する
ひたむきな心 (草履職人)
2016-02-13 20:30:59
みきさん

やはり「げんない~直武を育てた男~」を知っている人は、
紙風船にそのストーリーを重ねますね。
春からの全国公演に紙風船は登場するのか、観客の一人として
気になっていますよ(笑)

外国人が日本のこうした行事を感動と共に観ています。
それはどこかに「美しさ」を感じるからではないでしょうか。
それは必ずしもビジュアルではない、ひたむきな日本人の
心の美しさです。

地元民が土地を愛し、人を愛し、未来を願う。人様に
見せるためではない、ひたむきな心ですね(^^)
返信する

コメントを投稿

地域の話」カテゴリの最新記事